アルマジロくんとの距離
合わせる顔なんて、ない。
どうして、あたしは生まれてきたんだろう。
あの人に会うことができないあたしに、生きている意味なんてあるのだろうか。
口にするだけ口にして、好きだと言いつづけた癖に。
「本当に、おまえってうざい」
アルマジロくんがあたしの目の前に立っていた。
放たれた言葉は、すぐに理解できなくて、あたしは呆然と彼を見つめる。
「アルマジロくん?」
「二度と顔を見たくねぇよ」
きっぱり言い切られたせりふにあたしは、言葉を失う。
やっぱり、あたしに生きている意味なんてない。
どうして、最初からちゃんと死ななかったんだろう。
欲深いことに、どうして生きることを選んでしまったんだろう。
アルマジロくんに触れることができないあたしに、何の意味があるの?
好きだけじゃ、どうしてだめなんだろう。
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身体を起こすと、太陽の光が部屋に降り注いでいた。
彼の声も表情もすべてが夢だったみたい。
頬に触れると、涙がカサカサに乾いていた。
「あぁ、本当に馬鹿みたい」
息を吸うのもおっくうなのに、登校して何食わぬ顔で授業を受ける。
自分がすっごく罪深い人間のような気がした。
チャイムが鳴って一日が終わるのをぼんやりと眺めている。
「ホームルームを始めるぞ」
教室に担任の野々宮先生が入ってきて、あたしは机に肘をついてあごを乗せた。
清掃の当番のことを話しているんだと思う。
確かに聞こえてきているはずなのに、頭が働かない。
ぼんやりしていた瞬間、ガラッとドアが開く音が響いてびくっとした。
あたし以外のクラスメートも驚いて、教室のドアに目を向ける。
だれが入ってきたのかわかると、「きゃーっ」と歓声が上がった。
歓声の中心にいるのは、アルマジロくん―――?
「な、なんで」
あたしはアルマジロくんがまっすぐにあたしへ向かって歩いてくるのを何も言えずに見つめていた。
アルマジロくんはあたしの前に立つと、服の上からあたしの腕を掴んだ。
「ちょっと来て」
彼の声音は荒く、怒りがこもっていた。
あたしは何も言えずに体を震わせた。
「まだ、HR中だよ?」
なんとか告げた言葉を、アルマジロくんは鼻で笑った。
「だから?」
軽くあしらわれてしまえば、二の句が告げない。
「こーでもしなきゃ、あんた、逃げるだろう?」
まさにその通り、反論できなかった。




