勝負
ちょうど都合の良いことに、雨の日が続いて、屋上に上がれなかった。
芝生にも行けないから、アルマジロくんがどこにいるのかわからなかった。
好きだという気持ちは膨れ上がっているのに、あたしの中のスイッチが入らない。
目に映る景色もグレーに染まり、カラフルな色を失ってしまっていた。
アルマジロくんに会いたい、声が聞きたいと思うのに、「会っちゃだめ」という警報が頭の中で鳴り響いている。
好きだけじゃ、何も解決しない。
好きってことだけで、どうして傍にいられないんだろう……
やっぱり、あたしには誰かを好きになるなんていう資格がなかったんだ。
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グイッと腕を引っ張られて、あたしの身体は後ろにグラッと揺れた。
「えっ?」
驚いて、振り返ると、険しい顔のアルマジロくんが立っていた。
制服の上から腕を掴まれただけなのに、あたしの体に冷や汗が走る。
「どうしたの?」
普通に声を出したつもりが、かすかに声が震えていた。
アルマジロくんの眉がぴくりと動いて、あたしの体は反応するかのように後ろに逃げようとする。
だけど、彼は掴んだあたしの腕を放そうとはしなくて、あたしはどこにも逃げられなかった。
「俺のこと、避けてる?」
直球のせりふにあたしは、言葉を失う。
図星だなんて、思われたくなくて「そ、そんなことないよ!!」と強い口調で否定した。
そんな態度こそがまさに肯定しているように見えなくて、アルマジロくんはさらに顔を歪める。
「本当に避けていないって言える?」
「言えるよ」
今度はうまく、声を出せたと思った。
偽りの笑みを貼り付けて、あたしはちゃんと笑っているはずだ。
「じゃぁ、今週の日曜日、俺とデートしよう」
どうして?とは聞けなかった。
アルマジロくんの目が本気の色を映していた。




