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アルマジロくん  作者: 魚沢凪帆
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勝負

ちょうど都合の良いことに、雨の日が続いて、屋上に上がれなかった。


芝生にも行けないから、アルマジロくんがどこにいるのかわからなかった。


好きだという気持ちは膨れ上がっているのに、あたしの中のスイッチが入らない。

目に映る景色もグレーに染まり、カラフルな色を失ってしまっていた。


アルマジロくんに会いたい、声が聞きたいと思うのに、「会っちゃだめ」という警報が頭の中で鳴り響いている。


好きだけじゃ、何も解決しない。

好きってことだけで、どうして傍にいられないんだろう……


やっぱり、あたしには誰かを好きになるなんていう資格がなかったんだ。




******************************




グイッと腕を引っ張られて、あたしの身体は後ろにグラッと揺れた。


「えっ?」

驚いて、振り返ると、険しい顔のアルマジロくんが立っていた。

制服の上から腕を掴まれただけなのに、あたしの体に冷や汗が走る。


「どうしたの?」


普通に声を出したつもりが、かすかに声が震えていた。

アルマジロくんの眉がぴくりと動いて、あたしの体は反応するかのように後ろに逃げようとする。

だけど、彼は掴んだあたしの腕を放そうとはしなくて、あたしはどこにも逃げられなかった。


「俺のこと、避けてる?」


直球のせりふにあたしは、言葉を失う。


図星だなんて、思われたくなくて「そ、そんなことないよ!!」と強い口調で否定した。

そんな態度こそがまさに肯定しているように見えなくて、アルマジロくんはさらに顔を歪める。


「本当に避けていないって言える?」

「言えるよ」


今度はうまく、声を出せたと思った。

偽りの笑みを貼り付けて、あたしはちゃんと笑っているはずだ。



「じゃぁ、今週の日曜日、俺とデートしよう」



どうして?とは聞けなかった。

アルマジロくんの目が本気の色を映していた。

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