第一話
文化祭が終わってしばらくたった。
あの頃はまだ蒸し暑さが残っていたが、もはやそんな季節ともおさらばして、はっきりと秋と呼んでも良い頃合いになった。
夏が過ぎると秋が来る。
至極当たり前の事だが、それでも一抹の虚しさとでも言う物が学校中を支配しているのは言うまでもない。
時折、校舎を通り抜ける風は、廊下を行く生徒たちの首筋を舐めて回っているようで段々と防寒対策をする生徒が見受けられるようになってきた。
放課後の到来を告げるチャイムが鳴ると、あっという間に生徒が居なくなった。
文化祭の準備で遅くまで残っていた彼らも、部活やらバイトやら、それぞれがそれぞれの行くべき所へと向かっていく。無論、その事においては俺も例外ではなく、荷物を片して、鞄を背負い、廊下を吹き抜ける風に攻撃されながら、あの場所へと向かった。
文化祭が過ぎ去った校舎は本当に静かなもんで、3年生は受験に向けて大忙し、2年生は2年生で部活のリーダーとしててんてこ舞い。1年生はそれについていくのに必死で、教室に残っておしゃべりをする生徒は少ない。
時々、吹奏楽部が奏でるメロディーが風に乗って耳に届く程度の事だろう。
しばらくして、俺が行くべき所。生徒会室の前につくと、中からやけに笑い声が聞こえてくるのに気づいた。
恐る恐る扉を開けてみると、俺と目があった奴は元気に挨拶を寄越してきた。元気な奴は、今度は早く扉を閉めてくれと言ってくる。
━━━なんでコイツここに居るの? コイツが居るべき所はここじゃないよね。てか、本当なんでいるんだよ。
そんな思いが届いたのか、届かなかったのか、春はそこから動こうとしない。はい、届いていませんでした。
それどころか、先輩方から出してもらったお茶とお菓子を貪っている。
「お前、何でいるの? 野球部のマネージャーじゃなかったけ?」
春は俺の言葉に少し顔を曇らせたが、すぐに持ち直して話し出す。
「いや、ほら。寒くなってきたし。うん」
━━━いや、それ理由に成っていないからね。
てか、ガバガバ過ぎるだろ野球部。もっと厳しいと思ってたわ。
そんな春を意外にも受け入れているのが、一見厳しそうな神代会長と学園のアイドル淡路副会長だ。
最近、思い始めたんだけど副会長がアイドルデビューあると思います。学園のアイドル幾夜ちゃんだよー。なんて、言っても良いと思います。むしろ、推奨します。
とやかく考えていると、会長が春の肩を持って話し掛けてくる。
「まぁ、いいじゃないか。それよりもあの話はもう聞いたか?」
「いや、何の事かわからないんですけど」
「そうか。じゃあ、早速だが説明をする」
そう言って会長は次から次へと情報を伝えてくるが、それは余りにも膨大で、一気に受けとる事が出来なかった。要は校内向けに新聞を作るらしい。
「わかりましたが、一体どんな内容にするんですか?」
「それを今から君たちに考えてもらう」
━━━まさかの丸投げですか、そうですか。
そんな思いと同時に先輩たちの行動に合点がいった。
春もこれに巻き込むために、無下に扱わずきちんともてなしていたという訳か。
文化祭を終えて以来、初めての生徒会としての仕事。
唐突に言い渡されたものの、俺は意外にもそれが完成した時の事を考えてしまった。
楽しみで仕方なかった。
そうして、俺の、俺たちの青春がまた幕を開けた。
どうしても続きが書きたくなったので、書くことにしました。
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よろしくお願いします。




