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TS村娘は冒険者になる  作者: りゅうせい
第2章サウスプントの街
24/24

村娘はお風呂に入る

前半は説明回。後半はお風呂回。

 魔法に執着を見せたせいで、クリシアから訓練するぞと言われたあたしはそんな気分じゃないので、逃げることにした。



 街中を全力疾走して、なんとか撒くことができた。

 ちょうどお腹も空いてきたので、オリバさんの宿屋で昼ごはんを食べよう。

 中に入るとシェアリーさんが向かえてくれる。


「いらっしゃい。あ、リアナちゃん。おかえりー」

「ただいま。お腹減ったよー」


「あら、リアナちゃん。おかえりー、クランの仕事はどうだった?」


 中のテーブルにはなぜかトリスお姉さんが座っている。


「ただいま、トリスお姉さん。仕事は特に問題なかったよ。今日はどうしてこの店に」

「そりゃあここのお昼ごはんが美味しいからだよ。やっぱり姉さんの料理って絶品だね」


 まあね。なんてったってお母さんは『調理』の加護持ちだもんね。

 そうそうお母さんにも顔見せなくちゃ。何日か依頼で出かけることは伝えてはいるけど、心配はしているだろうから。


「ただいま、お母さん」

「おかえり、リアナ。仕事はどうだった?」

「うん、ぼちぼちやってるよ」

「そう、がんばってね」

「はーい。あ、ジョセ兄はどうしてる?」

「がんばっているみたいなんだけどね。でも、あの子ったら2日に一度しか帰ってこないのよ。まったく」

「へー、ずいぶん活動的だね」

「そうよ。冒険者ってそんなに楽しいのかしら」


 まあ、ジョセ兄は楽しんでいるんだろうなぁ。

 無事でいてくれるならいいけど。

 今はジョセ兄とは顔を合わせづらい。しばらく前にケンカしてからほとんど口を聞いていないのだ。

 いいかげん仲直りしないと……。



「それで、クリシアとは上手くやってるの?」

「うん。まあ、それなりに……。でもクリシアは高ランクの冒険者になりたいみたいで、あたしはほどほどに稼げればいいと思っているから、温度差があるかも」

「ふーん、なるほど。まあ、私から見てリアナちゃんなら訓練をさぼっていてもDランクぐらいまではいけると思うから、Dランクまでは付き合ってあげてよ。Dランクになってからも温度差があるなら、そこでパーティーを解散しても遅くはないわ」

「うん。トリスお姉さんがそう言うなら、そうする」


 まあ、現状維持かな。Dランクになれば、クリシアもパーティーメンバーを探すのに困らないだろうし。

 あ、そうだ。トリスお姉さんにちょうど聞きたいことがある。


「実は今日、魔法屋に行ってきました」

「あ、そうなんだ。高かったでしょ」

「はい。FランクどころかDランクの依頼の料金でも魔法を買えるだけお金を貯めるのって大変じゃないですか?」

「そうね。魔法無しでDランクの魔物を数十匹狩れるぐらいの実力がないと魔法には手が出ないでしょうね」


 そう言うトリスお姉さんは魔法を4つも身につけている。


「じゃあ、トリスお姉さんはそれだけ実力があって、お金もたくさん稼いでいるってことですか?」

「そうよ。私のパーティーがCランクになりたての頃は、要人警護をやったり、森のなかに数週間もこもってDランクの魔物を大量に狩ったりしていたわね」


 へー、やっぱり冒険者が魔法を買うのは大変なんだな。


「でも、そこまでして魔法を身につけても狩りではすぐに役立つわけではないのよ」


 そこからはちょっとトリスお姉さんの愚痴を聞くことに。


 聞いている内に冒険者にとって魔法がどういう存在なのかわかってきた。


 実は戦闘用の魔法というのは戦闘においてそれほど強力な威力は発揮しないそうだ。

 どちらかというと、戦闘を有利にすすめるためのものが多い。

 なので、強くなるためには闘気術と身体能力、武器の扱いを鍛えるのが基本となり、ほとんどの冒険者はこれだけで十分だと思っている。

 なぜなら魔法は大金を使った割に戦力の上昇が僅かなので、あまり積極的に手を出しづらい、要するにコスパが悪いのだ。

 だけど、闘気術だけでは、いずれ壁にぶつかることになる。

 それは冒険者の間ではCランクの壁と呼ばれており、このランクからは装備と魔法による戦力の強化がないと厳しくなるのだといわれている。

 Dランクの魔物までは闘気術と身体能力を鍛えてきた人間なら数人がかりで倒すのは難しくない(ただし、ここまで鍛えるのに数年はかかる)。そして、Dランクの魔物を一定数狩り続け、冒険者ランクがDからCランクへと昇格したパーティーはCランクの魔物と戦い、壁にぶつかることになる。

 弱点を調べ上げて、入念に準備を重ねてもギリギリの戦いになり、相性次第では討伐を諦めることも多いそうだ。

 魔法は威力は弱いが、属性に寄っては弱点をつけるし、わずかだがパーティーメンバーの能力の底上げもできる。

 とはいえ、魔法を買う為には大金が必要なため、無茶な依頼をうけて大怪我をしたり、借金をして返すことができず破産したりする冒険者も多いのだとか。



「魔法を身につけてもすぐに収入が増えるわけじゃないから、借金してまで呪文書を買おうなんて考えないほうがいいよ」

「うん、わかった」


 Cランク以上を目指さないなら、無理に魔法を身に着けなくても良さそうな気がする。


「でも、高ランクの冒険者になったら、収入の大半が呪文書の購入になってしまうんじゃあ……」

「うん、まあそうね。でも、Dランクの依頼料金なんて、たかがしれているし、Dランク冒険者って一番人口が多いから、依頼の取り合いになるのよ。依頼の多い時期はなんとかなるのだけれど、依頼の少ない時期はまともな依頼にありつけず、生活が苦しい冒険者も多いのよ」


「結局、冒険者って不安定な仕事なのよね」


 あたしを強引に冒険者にしておいて今さらそんなこと言わないでほしい。


「まあ、でもCランクの魔物を安定して狩れるようになったら、収入は一気に増えてうはうはよー」


 急にニンマリと笑い出すトリスお姉さん。


「要は魔法があるってのは手札が増えるだけなのよ。要するにこの増えた手札を使いこなす工夫が必要ってこと。この工夫ができればお金もがっぽりよ」


 指で丸を作りお金のジェスチャーをするトリスお姉さんはいやらしい笑みを浮かべる。

 この人、女の子だけじゃなくお金も好きな人だったのか?


「そういうわけで、リアナちゃんも冒険者の仕事にがっかりしないで、高収入目指して頑張ってみてね」

「うーん、でも、Cランクの壁を突破するのは厳しそうだなぁ……」

「よし、じゃあ私がお金持ちの気分ってのを味あわせてあげよう!」

「え……あ、ちょっと待ってください」


 この間もいろいろ奢ってもらったばかりなのに、今日も何かを奢ってもらうのはさすがに悪い気がする。


「今さら気にしないでよ、リアナちゃんも街の娯楽ってのを一度は体験してみなよ」


 うーん、どうしよう。

 そう言えばあたしは街に来てからというもの何気なく立ち寄った広場で歌なんか歌ってみたり、目についた酒場でお酒お飲んでみたり、行き当たりばったりな生活だった。

 この機会にトリスお姉さんから街の娯楽って物を聞いてみるのもいいかもしれない。


「見つけましたわ!」


 クリシアが絶妙なタイミングで現れる。


「あら、クリシアちゃんもおかえり。ちょうどよかった。それじゃあ、3人で行きましょ」

「え? 行くってなんの話?」


 クリシアはなんのことかわからないまま手を引かれて連れて行かれる。

 仕方ないので、私も後ろから付いていく。




 トリスお姉さんに連れられてやって来たのは、街の中心付近にある公衆浴場。

 庶民にも開放されているここは手頃な値段で入れるものの、毎日来れるほど安くは無い。村にいた頃はいつも水浴びをしていたし、街に来てからは濡れタオルで体を拭くぐらいしかしていないため、この世界での風呂にはまだ入ったことがない。

 お金持ちの気分を味あわせてくれるって言っていたけど、お風呂のこと?


「さてと、リアナちゃんも初仕事を終えたわけだし、ここで一緒に汗をかきましょ」


 なぜ風呂なのかわからないけど、せっかくなのだから入ってみるか。


「クリシアもお風呂入る?」


「お風呂? いいですけど、リアナはあまり近づかないでください」

 ガーン

「な、なんで?」

「一昨日の晩、リアナが怪我をしている私にいやらしいことをしてきたこと、忘れてはいませんわ」

「いや……あれは……その、勘違いしちゃって……いけそうな雰囲気だと思ったんだけれどな……」

「珍しくあなたが落ち込んでいたので抱きしめただけです。そんな雰囲気はありませんでした」

「そんなー」


「うっふっふ、リアナちゃんは変態だねー。クリシアちゃんは私と洗いっこすればいいよ」

「むうう、変態じゃないのに……」

「あ、トリスさんも近づかないでください」

「え、なんで?」

「トリスさんもリアナと同じ雰囲気がします。ちょっと身の危険を感じるますわ」

「あはは、トリスお姉さんも避けられてるじゃん」

「むうう、仕方ない。今日はリアナちゃんと洗いっこしよ」

「あ、ダメ。トリスお姉さんはあたしにも近づいちゃダメ」

「えーなんでー」

「だって、トリスお姉さん、いつもこっちが気づかない内にセクハラを始めるじゃないですか」

「えーいいじゃん。リアナちゃんだってクリシアちゃんにセクハラしようとしてたんでしょ?」

「あれは違うよ……。あたしはただクリシアと友情以上の関係を育もうとしただけだもん。ね、クリシア」

「ね、って言われても私はリアナと友情以上の関係になったつもりはありませんわ」

「そんなー」


「ま、親睦を深めるのは別の機会にしましょ。今日は素晴らしい体験をさせてあげるわ」



 中に入ると、男性、女性、個室専用と書かれた入り口が3つある。

 個室専用ってなんだろ?


「それじゃあ、こっちに行くよ」

 そう言って個室専用と書かれた入り口に向かうトリスお姉さん。


「ちょっと待って下さい。個室専用ってなんですか?」

「ああ、個室はそのまんまの意味で、個室にある小さな風呂を使うことよ。ここの浴場は庶民向けからVIP向けまで幅広くやっているのよね。大浴場は男性用と女性用に分けられていて手頃な値段で開放されているのよ。個室の方は金持ち向けにいろんな種類があって、いろいろサービスも受けられるのよ」

「じゃあなんで個室の方に行くんですか。個室の方が高そうなんですが……」

「大丈夫、今日はあなた達パーティーの初仕事完了祝だから奢ってあげるから。ほら、入って入って」


 そのまませかされるようにしてこのVIP専用みたいな部屋に入れられる。個室専用の入り口は他の入り口よりも明らかに高級そうな素材が使われていて、本当に入っても大丈夫なのか少し不安になる。

 あたしとクリシアが中に入るのを確認すると、トリスお姉さんは何やらここの店員に何かを伝えていた。何をする気なんだろう。


 個室の中は10畳ほどの広さで、真ん中に円形の石で作られた風呂が置かれている。

 風呂は大人が6~8人一緒に入れるぐらいの大きさで、すでにたっぷりとお湯が張られている。

 個室を使用すると、その個室の風呂は自分たちだけの貸し切りにできるため、この大きな風呂をあたし達は3人で入ることになる。

 部屋の装飾も凝っていて、壁は大理石が使われており、四隅には魔道具と思われる明かりが室内を明るく照らしている。

 庶民が使うにはずいぶん豪華な部屋である。



「トリスお姉さん、着替えはどこですればいいですか?」

「ああ、着替えとかは全部任せてしまえばいいよ」

「え、任せるって誰に?……」


「「「失礼します」」」

 急に入って来たのは3人の女の子。



「ソニンです」

「シェレナです」

「セアです」

「「「今日はよろしくお願いします」」」


 3人はあたしと同じぐらいか少し年下ぐらいの年齢の女の子たちだ。

 自己紹介と挨拶をした以上、間違えて入ってきたわけではなさそうだ。


「えっと……トリスお姉さん。これはどういうこと?」

「うん、これは店員の女の子に身体を洗ってもらうサービスだよ。さっき頼んでおいたんだ」

「いや、ちょっと待って。身体ぐらい自分で洗えるよ!」

「ダメダメ、せっかく来てもらったんだから、彼女たちに全身を綺麗にしてもらいなよー。ちなみに、エッチなサービスじゃないから勘違いしちゃダメだよ」


 3人共、髪を水に濡らさないためか三つ編みのお団子状の髪型をしている。そして、3人共セクシーな下着姿だ。大事なところは隠れているものの、布の面積は小さめで正直目のやり場に困る。

 本当にエッチなサービスじゃないんだよね……。


 そうこうする内に、女の子たちはあたしとクリシアとトリスお姉さんに対して1人づつ近づいていった。


「あの、セアと言います。お客様の名前を教えたください」

「え、えっと、リアナです」

「それではリアナ様、今日は精いっぱいサービスしますよー」


 そう言いながらあたしの服を脱がし始めるセアちゃん。人に服を脱がせてもらうことなんてあんまり無いので、ちょっと落ち着かない。

 周りを見るとトリスお姉さんもクリシアも店員の女の子達に平然と身を任せている。

 なんでクリシアも平然としているんだ。あ、そっか、昔は貴族の生活していたもんね。メイドさんに着替えの手伝いとかしてもらっていたのだろうか。


 そうこうする内にあたしはセアちゃんの手によって真っ裸にされてしまった。

 すぐにお風呂の横の椅子まで案内された後、お湯を静かにかけてくれる。


「どうですか、熱くないですか?」

「うん、大丈夫。ちょうどいいよ」

「よかったですー。じゃあ、背中から洗っていきますね」


 そう言って、セアちゃんは泡立てた石鹸をすくい、手で直にあたしの身体を磨きはじめた。

 他人に身体を洗われるというはじめての体験に初めは緊張していたあたしだけど、背中から手や足にかけて絶妙な力加減で肌に触れられていると、だんだん気持ちよくなってきて、最後は力が抜けて幸せな気分になってくる。

 なんていうか、女の子の肌ってすべすべしていて気持ちがいいのだ。基本は手で洗ってくれのだが、時々肌が密着すると、ヌルヌルっと肌がこすれて変な気持ちになってくる。

 そして、気を抜いていると、だんだんきわどいところまで手が伸びてきて……。


「リアナ様、それでは前の方も洗っていきますよー」

 ムニュ、ムニュムニュ

「ひゃっ……ちょっ、セアちゃん。どこ触ってるの」

「はい、お胸の方も洗わないと下の方は汗でかぶれることもあるのですよ」

 ムニュムニュ

「で、でも……ん……ちょっと揉みすぎなんじゃないかな」

「はっ……ごめんなさい。あまりにも素敵な弾力だったのでつい……」

「うん、ほどほどにしてね……」


 それ以上されると我慢できなくなってしまうから。なにが我慢できなくなるのかというと、それはもうゴニョゴニョだよ。


「それではリアナ様、最後にここも綺麗にしちゃいますねー」

「ストップ」

 いくら気持ちよくてリラックスしているからといって、そこはダメでしょう


「あ、やっぱりダメですか」

「当たり前です。エッチなサービスは無いって聞いたけど、これはありなんですか?」

「いえ、やっぱりダメなんですが……つい」


 セアちゃんはうっかりが多いなぁ……でも可愛いから許す。


 他3人も洗い終わったらしくて、皆で湯船に入る。3人の女の子も入ってきた。

 なるほど、6人で入るとこの大きな湯船もちょうどいい大きさだね。

 お湯の中で腕と足を絡ませてくるセアちゃん。これもサービスなのかな、だとしたらすごくいい。

 他の子はどうしているんだろう。

 前を見るとトリスお姉さんは膝の上に女の子を載せて抱え込んでいる。


「ちょっ、トリスお姉さん。そんなスキンシップやってもいいんですか?」

「もちろんよ。でも下着を脱がしたりデリケートなところを触ったり触らせたりしたらアウトだから気をつけてね」


 さっきアウトになりかけたけど大丈夫。

 トリスお姉さんは平常運転だな。

 クリシアの方は過剰なスキンシップはしていないみたいだ。だけど、肩がしっかり触れ合うぐらいには密着している。いいなー。

 でも、内心どう思っているのか気になるので聞いてみる。


「クリシアはこういう人に身体を洗ってもらうことって平気なの?」

「平気ってどういうことです? 別に不快感はありませんわ。メイドとしてはまあまあってところですわね」


 あれ、クリシアこのサービスはただのメイドさんがお風呂の手伝いをしてくれているだけとか思ってる。

 それにしても、クリシアはあんまり恥ずかしがったりも嫌がったりもしていない。

 もしかして、このサービスでエッチな気分になるのって実はおかしかったりするのか?

 いやいや、若くて綺麗な女の子に肌面積の多い格好で全身を洗ってもらうとか、エッチな気分になるでしょ普通。


 その後は時間がきたので風呂を出る。

 身体を拭いて服を着せてくれるのもサービスみたいだ。

 値段は教えてくれなかったけど、たぶん目玉が飛び出るぐらいに高いのはわかる。



「ちなみに、頼めばエッチなサービスも受けられるんだよ。ちょっと割高になるけどね」


 うん、そうだろうと思った。部屋はしっかり区切られているし、防音性も高そうだったから。

 ただ、今日身体を洗ってくれた女の子たちはエッチはNGらしい。ちょっと残念。



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