エクルにて
僕には良く出来た兄が居た。
何時も、“兄”“兄”“兄”と嘲笑う人々。
それが、怖かった。顔なしの欲望だらけの人間が僕を煽りたてるんだ。
「エクルのお兄さんはいい人ね。」
「エクルのお兄さんの方が人当たりがいいわ。」
「エクルは才能の有る人なのにね?なんで、お兄さんに愛想が負けるの?愛想以外はお兄さんより優れてるのにね。」
「エクルよりお兄さんの方が好きぃ!」
あぁ……あぁ……あぁ!五月蝿い!五月蝿い……五月蝿い!黙れ……黙れ黙れ黙れ黙れ!
そんな日々に終止符が打たれた。
ノワール公爵家が養子にして下さったのだ。
周囲は同情の目が多かった物のもう兄と僕をくらべる人は居なかった。
なのに!なのにだ……
今まで一言も会話したことの無いアザレア様がいきなり話し掛けてきて
シナモン家が……兄と話したはずの無い事を言い当てたのだ。
家名は瞳の色を現していたから家名を当てられたのは別になんとも思わない。そう、アザレア様がもう少し歳が上ならば。
一定の年齢になると勉学を教えてもらう。
アザレア様はまだ、勉学を教えて貰っていない段階だ。
瞳の色が家名をあらわすなんて知ってるはずが無い。
あぁ……恐ろしい……怖い怖い怖い!
死んでしまえと思った。
でも、年頃の少女の様に泣いて助命懇願したのだ。
あぁ……なんて綺麗な涙なのだろうか……
僕の周りには純粋に恐怖によって涙を流す様な人はいただろうか?
否誰も居なかった。三歳にもなれば世渡り術を学び本音と建前を上手に使い分けた立派な狐が出来上がる。
でも、彼女はどうだ?事実をネタに脅そうと言う訳でもなく。
あぁこんなに清らかな人間が居たのか……
もし、僕の手でその清らかな花を手折ってしまえたらどんなに清々しい事か……
あぁ……僕のアザレア待っていて……君の好みの人間になろう。そして、僕に惚れてしまえばいい。
ニヒヒ思った以上にくらい過去が!
ってのは冗談です。
もっともっと病んでしまえ!
って思います。いやはやエクルは可愛いです。
幸せになって欲しいですな。




