第9話
え~、只今絶賛戦闘中です。
いきなり過ぎないかと私に言われても困りますよ、街を出て10分もしないうちに突如茂みから出てきた奴と遭遇しちゃったんですから。それに私は強い魔物が目的なら無駄な戦闘は避けて逃げようと提案したんです、けどリオ達は「たいした魔物じゃないから大丈夫」とかなんとか言ってさっさと戦闘開始しちゃったし。
??? ???
??? アクティブ
??? ???
??? アクティブ
リオ達はあぁ言っていましたが私では種族すら識別できません。まぁなんとなく想像はつきます、なんせ見た目はまんまサイですから。
それにしてもリオ達は宣言通りというか、2頭のサイもどきを2人1組に別けて相手しても余裕のようです。1組はタロンが大盾で攻撃を防いで動きが止め横合いからリオが槍で突き刺し、注意が逸れた瞬間にタロンがメイスで殴打するという流れを繰り返しています。もう片方の組はキリカがスピードで撹乱させながら少しずつ短剣で削り、隙をみてアイリが魔法を直撃させていました。ジュドーは両方の戦闘を見ながら回復役に専念していたようですが、誰一人攻撃を喰らわないので暇を持て余している状態ですね。
私の名前が出てこなかったから遊んでいると思いましたね? ちゃんと私だって戦っていますよ。リオ達が戦っているのをサイもどき(大)とするなら、私の相手はサイもどき(小)と言ったらいいでしょうか。もちろんサイもどき(大)より弱いとのことですが・・・。
??? ???
??? アクティブ
・・・・はい、識別できませんでした。
あっちはサイもどき(小)より強い相手に2人で余裕なのに対して、私の方はフルルとトルテの3人(?)がかりなのにかなり厳しいと言わざるを得ません。このままだと私だけ負ける可能性がありますのでMP消費をケチって出し惜しみをしている場合じゃありません。
「フルル、トルテ、強化するからお願いね! <サモンエンチャント・アタック><サモンエンチャント・ディフェンス><サモンエンチャント・スピード>」
もともとトルテのスピードはサイもどき(小)より優っていたようなので割かし攻撃を避けていましたがステータス強化されたことによって余裕で相手の攻撃を避けるようになり、逆に咬み付いたり引っ掻いたりなどの攻撃頻度は上がったようです。フルルはトルテよりスピードはありませんし【物理抵抗[微]】を持っているとはいえレベル差があるから一撃一撃けっこうHPを持っていかれていましたが、ディフェンス強化したことでダメージが減り【自己再生[微]】も相まって若干HPに余裕が出てきました。
召喚モンスターが積極的に攻撃をしているさなか、私の攻撃頻度は若干少なめとなっております。なぜなら、先程私の剣を角でパリィされて体当たりを喰らってしまったからです。う~ん、正面から行き過ぎましたかね? まぁ、そんな訳で2匹の攻撃で注意が逸れた時に側面からチマチマ斬りかかっていました。
数分後塵も積もればなんとやら、何度目かの武技<スラッシュ>を当てた時にサイもどき(小)は光の粒となって消えていきました。<スラッシュ>は【剣 Lv5】になった時に覚えたもので、武技とは簡単に言ったら必殺技でしょうか。
《アビリティ【剣 Lv6】が【剣 Lv7】にレベルアップしました》
《アビリティ【魔力の器 Lv5】が【魔力の器 Lv6】にレベルアップしました》
《アビリティ【魔法の才能 Lv5】が【魔法の才能 Lv6】にレベルアップしました》
《アビリティ【回復魔法 Lv4】が【回復魔法 Lv5】にレベルアップしました》
《アビリティ【召喚魔法 Lv5】が【召喚魔法 Lv6】にレベルアップしました》
《アビリティ【識別 Lv3】が【識別 Lv4】にレベルアップしました》
《召喚モンスター『フルル』がLv6からLv7にレベルアップしました》
《召喚モンスター『トルテ』がLv4からLv5にレベルアップしました》
おぉ~、さすが私より高レベルのモンスターだけあって経験値をいっぱいもっていますね、アビリティはほとんどで召喚モンスターもレベルアップしましたよ。
フルル グミスライムLv7(+1) 属性 無
生命力 8(+1)
精神力 1
筋力値 5(+1)
器用値 1
敏捷値 4
魔力値 1
アビリティ
弾力[微] 物理抵抗[微] 自己再生[微]
トルテ 星狼Lv5(+1) 属性 無
生命力 12
精神力 5
筋力値 12
器用値 12(+1)
敏捷値 24(+1)
魔力値 8
アビリティ
体当たり 夜目 危険察知
「おつかれ~」
ちょうどフルル達のステータスアップ操作を終えた時にリオ達が声をかけて近づいてきました。
「思ったより時間かかってたね」
「あのねぇ、最初に言った通り私はリオ達みたいにレベルを上げてるわけじゃないの」
「それもあるかもしれないけど、ユナは装備も考えた方が良いよ。それ、まだ初期装備の物でしょ」
たしかに初期装備です、今まで特に問題無かったからお金は装備品以外に回していました。
「初期装備は壊れないから初心者が慣れる間使ったりするけど、大抵みんなすぐに買い換えたりするよ」
改めてリオ達を見るとみんな私とは比べられない豪勢な装備をしています。
「リオ達は新しいのに買い換えているのね」
「私達の場合まだ終わってないから半分は店売り、もう半分は自分達で作製したものよ」
「自作かぁ」
「そう、結局店で売られている装備にも限度があるからね。だから早いうちにアビリティレベル上げも兼ねて皆で素材集めて別々の装備を作っていってるの」
「ジークが金属装備、アイリが布&革装備、キリカが弓、ジュドーがアクセサリーといった感じに役割分担してね」
「なるほど」
「私達は仲間内しか作らないけどユナだったら素材持ってきてくれれば色々装備作ってあげるよ」
「ありがとう、機会があったらお願いするね」
「一応生産を主に活動しているプレイヤーはいるから、他の人達はそういった人達に頼んだりしてるわ」
「所謂生産職と呼ばれるプレイヤーなんだけど、あの人達は怒らせたりしない方がいいよ」
「もし怒らせたらどうなるの?」
「生産職側に問題があったなら他の生産プレイヤーに頼んだりできるけど、もし依頼する側に問題があればすぐに横の繋がりで生産職全員にそのプレイヤー情報がいきわたり生産を皆から断れるようになるね」
「お店の物には1日の在庫数や1人1日何個までといった制限があるから、生産を断られるようになっちゃうと自分達の行動にも制限がかかってきてまともに遊べなくなるよ」
「かといって生産職が偉いというわけじゃない。もし偉ぶってる生産プレイヤーがいたりするとすぐにBBSとかで晒されて逆に依頼がこなくなったりするらしいから」
「互いに支え合ってるってわけだ」
「ユナはなにか生産系のアビリティ取ってたりするの?」
「持ってるのは【料理】かな、一番Lv高いよ」
「料理かぁ、たしかにお店の料理ってちょっと味気ないのが多かったりするよね」
「でも空腹システムがあるとはいえ店売りのもので十分賄えているから取っている人は少ないんじゃないかしら」
「ポーションでも若干満腹度が増えたりするしね」
「そうなんだ。私の場合は単に美味しいもの食べたかっただけだし、料理作るのも好きだったからかな」
「たしかにユナって料理にこだわるとこあるよね~、お菓子も手作りが多かったし」
「へぇ~、せっかくだから料理作ってみてくれない? アビリティがどこまで有効かも見てみたいし」
「別に良いよ、材料もあるし休憩がてら作りましょう♪」
数分後、料理を堪能した皆に大絶賛されました。
ここまで読んで下さりありがとうございます。
次回投稿は8月1日(土)の0時を予定しております。