第7話
【月甘草】 原材料 ランク1 品質C+ 重量1
月の光を浴びて咲く花から栄養価が高い
甘い蜜が取れる草。
【星狼の牙】 原材料 ランク1 品質C 重量1
星狼から取れる堅固で鋭く尖った牙。
【星狼の皮】 原材料 ランク1 品質C- 重量1
星狼から取れる魔力を含んだ皮。
【星狼の肉】 原材料 ランク1 品質C 重量2
星狼から取れる肉。
《アビリティ【鑑定 Lv2】が【鑑定 Lv3】にレベルアップしました》
ドロップアイテムを換金する前に鑑定したらレベルアップしました。上がるのは嬉しいのですがアイテムの説明が簡単過ぎではないでしょうか。
「すみませ~ん」
「どうしました?」
「クエストの報告をしたいのですけど」
「それではプレートの提出をお願いします」
クエストプレートと月甘草を手渡す。
「・・・はい、無事依頼完了の確認がとれました。お疲れ様でした」
《通常クエスト【月甘草の採取】をクリアしました》
《通常クエスト【星狼の討伐】をクリアしました》
《通常クエスト初回クリア特典としてアビリティポイントを2ポイント獲得しました》
「こちらが報酬となります」
受付のお姉さんから受け取った報酬は微々たる金額でしたが、アルバイトして初めてお給料を貰った時と同じような感慨深いものがありました。
「ちょっとお聞きしたいのですが、こちらで素材の買い取りってやってます?」
「はい、行っていますよ」
詳しく話を聞いたところ昨日私が寄った素材を買い取ってくれたとこも冒険者組合が運営しているみたい、所謂出張所と言ったところでしょうか。
素材の精算を終えて時刻は午前9:30、只今組合の掲示板と睨めっこ中です。といっても面白そうなクエストは見当たらなかったのでそこまで粘ることなくその場を後にしました。
さてこれからどうしようかと考えを巡らせながら通りを歩いていると1匹の子猫が擦り寄ってきます。どこかで見たことあるなぁと思えば昨日迷子になっていた子猫でした。
「どうしたの、また迷子になっちゃった?」
「にゃ~ん」
違うよとでも言いたげに顔を左右に振って近寄ってきたフルルをペチペチと猫パンチで叩く、なんとも微笑ましい光景です。とはいえ子猫がここに居るということはあの娘がまた探しているだろうなぁと考えていると、案の定子猫が来た同じ方向から少女が走ってくるのが見えました。
「待ってよ~シャモン! あっ、昨日のお姉ちゃん!」
「おはよう、またいなくなっちゃった?」
「さっきまで一緒に歩いていたのに急に走り出すんだもん。でもそっか、お姉ちゃんに気付いたからなんだ」
「だったら今回は私が悪いみたい、ごめんね」
「ううん、平気だよ。ねぇねぇお姉ちゃん、この丸いのとワンちゃんはお姉ちゃんの?」
「えぇ、私の友達。仲良くしてあげてね」
「触っても良い?」
「良いわよ」
「プニプニしてる~」「柔らか~い」などはしゃぎながら少女は嬉しそうにフルルやトルテに触り、フルル達も少女を気に入ったようでポヨンポヨン跳ねたりペロペロと顔を舐めたりしている。
「お姉ちゃんはもう朝ごはん食べた? もしまだなら一緒に食べよ」
十分堪能したのか少女は子猫を抱えてそんな事を言ってきます。正直朝食はすでに取り終えていますがプレイヤーの【満腹度】が減っていたのでその提案に乗ることにしました。【満腹度】というのはその名の通りプレイヤーの満腹の度合いを計るもので、これが0%になると空腹状態となりステータスは大幅に減少し一定時間おきにHPが減っていきます。
子猫を抱えたままの少女をトルテに乗せて道すがら色々とお話しました。少女の名前はライカといって、どうやら家族で食堂を経営してるそうです、朝食を誘ってきたのはそういうことだったんですね。
ライカに連れられて入ってお店は『来々満福亭』という名の大衆食堂といった感じです。そういえば、食堂ということはフルルとトルテは入って大丈夫なんでしょうか?
「ただいま~!」
「おかえりライカ、なかなか帰ってこないから皆心配したよ」
元気よくお店に入っていったライカを迎えたのは私より少し年上だろうと思われる好青年です。ライカと青年が話し始めこれは手持ち無沙汰になるかなと考えたが、すぐに話は終わり青年が近づいて来た。
「ライカがお世話になったそうで、ありがとうございます」
「いえいえ、私としては偶々ですのでそこまで気にしなくて大丈夫です」
「ライカから聞きました、皆揃っていますのでどうぞこちらへ」
ライカに手を引かれて連れて行かれたのは調理場を挟むように建てられている家族が食事を取る場所のようで、そこには既にライカの父親・母親・姉と思われる人達が座っていましす。
お互い簡単に自己紹介を済ませ食事をしながら色々話をしているうちに大変気が合い話もどんどん弾んでいってかなり楽しい時間でした。
「それで、父さん誰か代わりは見つかった?」
「いや、やっぱり駄目だった」
「そう、それじゃどうするの?」
なんでもギリギリの人数でやっていたのに従業員が昨日急遽2人辞めてしまったそうです。それで急募したそうなのですが昨日今日では人が集まらなかったという話でした。困っている人達をこのまま見捨てるのもなんですし、それにこれもなにかの縁でしょうね。
「あのぉ、良ければお手伝いしましょうか?」
「・・良いのか? こちらとしては助かるのだが」
「はい、特に予定もありませんし代わりの人が見つかるまでなら」
「報酬とかそんなに高く出せないけど大丈夫?」
「報酬はどうでも良いんですが、できれば空いた時間に調理場をお借りできませんか?」
「そんなのでいいのなら」
ダンカンさん-ライカの父親ね-達は娘のライカが世話になったのにお店までと申し訳なく思っているそうですが、私として料理作りは好きだし定食屋で働いたこともあったので特に問題無いと思っています。ついでとばかり手に入っていたポイントで【料理 Lv1】を獲りましたけど。
《アビリティ【料理 Lv1】が【料理 Lv2】にレベルアップしました》
《アビリティ【料理 Lv2】が【料理 Lv3】にレベルアップしました》
《アビリティ【料理 Lv3】が【料理 Lv4】にレベルアップしました》
《アビリティ【料理 Lv4】が【料理 Lv5】にレベルアップしました》
《アビリティ【召喚魔法 Lv3】が【召喚魔法 Lv4】にレベルアップしました》
(う~ん少し甘くみたいたかな、どんどんレベルアップしちゃいましたよ)
どうやら『来々満福亭』はかなりの人気店だったみたいでお昼前から沢山の「仕込み→調理→配膳」をかなりの速さで長時間こなしていくことになりました。
「いやー、ユナが居てくれて助かったよ」
「ほんと、しかもいつもよりスムーズに出来たわね」
「前は1人多かったんですよね?」
「そうだけど、前の2人はユナと比べるとそこまで器用じゃなかったから」
「ねぇねぇ、ユナお姉ちゃんと遊んでもいい?」
まだ幼いライカは皆が働いている時は裏庭で1人で遊んでいるそうです、今日はフルルとトルテに遊んでもらってもらいましたけどね。
「ごめんね今からちょっと試したことがあるの、ダンカンさん調理場お借ります」
「おお、仕込みがあるが片方は使ってもらって構わんよ」
寂しそうな顔のライカにあとで遊ぼと約束し調理場へと向かう。
(とりあえず沢山ある星狼のお肉でも焼いてみますか)
【オオカミステーキ】 食料 ランク1 品質E 重量2
オオカミ系の肉を焼いたでけのお肉。
「硬い、スジとかそのままで焼いただけだからしょうがないけど」
次にスジ切りして焼いてみた。
【オオカミステーキ】 食料 ランク1 品質D 重量2
オオカミ系の肉を焼いたでけのお肉。
「う~ん、少しは柔らかくなったけどまだ硬い。まぁその辺は考えがあるから次は臭みとりかな」
スジ切りした肉をハーブを加えながら焼いてみました。
【オオカミのハーブステーキ】 食料 ランク1 品質C 重量2
オオカミ系の肉をハーブを加えて臭みをとり焼かれたお肉。
「うん、臭みとりはこんなもので良いわね」
「さっきから何を作っているんだ」
「あっ、ダンカンさん。丁度良かったこれ食べてみて下さい」
今のとこ一番の出来のハーブステーキを食べてもらいました。
「これはオオカミの肉か?」
「そうです」
「オオカミの肉は臭みがあって硬く食えたもんじゃなかったが、これは柔らかくて臭みがないなあ」
「下処理をちゃんとすれば食べれますよ」
「良かったら教えてもらえないか?」
「構いませんけど、まだそれは完成ではないですのでもう少し待って下さい」
最後の仕上げとばかりに家でよくやっているハチミツを使って下処理を済ませていく。
【オオカミのハーブステーキハチミツ仕立て】 食料 ランク2 品質B 重量3
オオカミ系の肉にハチミツを揉み込み
ハーブを加えて臭みをとり焼かれたお肉。
《アビリティ【料理 Lv5】が【料理 Lv6】にレベルアップしました》
「うん、とりあえず完成しました」
「どれどれ・・・・・こ、これがオオカミの肉か! こんな柔らかいオオカミ肉は食べたことがない、しかも臭みも無くハチミツの風味がなんとも」
「皆さんもどうぞ?」
このステーキはダンカン家族に好評で、しかもダンカンさん達は料理人であるので休憩時間もなんのそのこれに合うソースの開発にかかる。
結果夕方までにソースは完成し新商品としてメニューに並ぶと、瞬く間に街中に広まり『来々満福亭』の名物料理となりました。
ここまで読んで下さりありがとうございます。
次回投稿は7月11日(土)の0時を予定しております。