表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/9

第6話

 午後9:00になりました。

 いつもならお気に入りの小説を読みながら静かな時間を過ごしているのですが、私は今IDOにログインしています。思った以上にこのゲームが気に入ったようです。


「おいで、<サモン『フルル』>」


 リオ達からそれとなく注意を受けていたので人の目が無いとこでフルルを召喚してから広場へと出る。広場は夜にも関わらず、いや昼間は仕事とかで出来なかった人達がいるからむしろ夜だからこそなのかな、昼間よりも多くの人達が行き交ったいました。

 とりあえず知り合い探しを兼ねてフレンドを確認すると当然のようにリオはログインしており、あとはジークとジュドーがいますね。


『あんまり夜更かししないでちゃんと寝るのよ』


『始まったばかりなんだからそれは無理だね♪』


 予想通りのリオの返信に若干呆れつつ行き交う人達の話に出てきていた冒険者組合に向かうことにしました。どうやらそこは街で起きてる問題事を仕事として斡旋してくれて、成功したらちゃんと相応の報酬が貰えるとのことなのです。

 組合前に着くとちょうど6人組のパーティーと思われる人達が出てきて私の事をジロジロ見て去っていきます。どちらかというと私よりフルルを見ていた気がしますがあんまり良い気がしませんね。


 冒険者組合の中は受付に2人居るだけで他は誰もいません、もしかしてあんまり流行っていないのでしょうか?


「あの、すみません」

「はい、こんばんわ。何か御用かしら?」

「ちょっとお聞きしたいのですが、ここは仕事を斡旋してもらえるのですよね?」

「そうですよ」

「その割に人があまりいませんけど」

「ふふっ、先程まで食事を終えてこちらに来られた方々で賑わっていましたよ。今は皆さん依頼を受けて出てしまいましたから」


 言われてみればそうですね、人が居ないから流行ってないと思うのは早計でした。


「依頼は私でも受けれますか?」

「大丈夫ですよ」

「特に制限とかもないんですか?」

「はい。ですが依頼のランクが上がるにつれ手数料も上がっていきますし、失敗しますとそれ相応の賠償金が発生します。それと失敗ばかりしますと街の人達の評価も下がっていきますから」


 なるほどねぇ、制限は無いけど自分の実力をよく考えて身の丈に合った依頼を受けなさいってわけですか。なかなか面白そうなシステムなんだけど、評価が下がったらどうなるのか分からないとこがちょっと怖いです。ここは安全を考えて1番簡単そうな依頼にしておきましょう。


「ところでランクはどう分類されてます?」

「一般にあるのはA~Gまでで、難易度が一番低いのがGとなっています」

「ん? 一般じゃないのがあるんですか?」

「えぇ、まぁ。国単位で対処しないといけないような高難度の依頼はAより上のSがあります。ですがそういうのは主に軍が対応しますので冒険者の方々に回ってくる事は殆どありません、それにもう100年以上ランクSの依頼が出たことはありませんので実質ランクAまでと考えて頂いて結構です」

「それじゃ最初なので、ランクGで比較的簡単な依頼をお願いします」

「そうですね、今ある中で簡単ものといえば【月甘草げっかんそうの採取】と【星狼スターウルフの討伐】です」

「あの~、採取は分かるんですけど討伐がなんで簡単な部類なんですか。もしかして星狼は弱かったりします?」

「いえ、弱いというわけではありませんが月甘草から採れる蜜は星狼の好物ですので、月甘草の採取には星狼の討伐が必須となっているんです。なのでこの2つは殆ど1つの依頼と考えてもらってけっこうです」

「なるほど、ではそれでお願いします」

「畏まりました、それではこちらのプレートに手をお乗せ下さい・・ありがとうございます。こちらがクエストプレートとなります、どうぞお受け取り下さい」



《通常クエスト【月甘草の採取】が開始されました》

《通常クエスト【星狼の討伐】が開始されました》



 受け取った5センチ×10センチの小形プレートは淡く輝いています。物珍しそうにプレートをひっくり返したりして見てみると表面に【月甘草 0/10】【星狼の討伐 0/10】【無期限】と書かれていました。



「そのプレートには依頼の進捗や達成条件そして依頼期限が表示されています。万一プレートを無くされた場合依頼は失敗となりまして、素材がミスリル銀ですので多額の賠償金が発生します」

「ちなみにその金額はおいくらですか?」


 受付のお姉さんが教えてくれた金額は驚愕ものです、とてもじゃないですがそんな大金払えたもんじゃないです。なのでプレートは素早くアイテムBOXに収納~、どうやらコマンドのクエスト欄からでもプレートの内容と同じ事を確認できたので特に問題ありませんでした。しかし、クエスト欄から確認できるならプレートを渡す必要はあるのでしょうか?


 やって来ました草原です、思ったより人が少ないようですがそれだけ目的の物が見つけ易いと考えましょう。月甘草は夜に光るそうなのでそれを目印に歩くこと10分目的の物が見つかりました、というより戦闘中のようです。



トルディン Lv1



星狼 Lv1

??? アクティブ


星狼 Lv1

??? アクティブ



 私と同じソロプレイヤーのようです、もしかして同じ依頼中でしょうか。昼間倒した狼より一回り大きく毛色は青みがかった感じですが、星と関連付けるようなものが見られませんけどなんで星狼なんでしょうか? そんな事を考えながら見ているとその理由が分かりました。1匹の星狼の全身が突然輝きだしそれに合わせてトルディンに向かって猛スピードで突進していく、その光の軌跡があたかも流星のように見えたからです。


「綺麗~、あっ、殺られた」


 まともに体当たりを受け吹き飛ぶトルディンが消滅していく。見た限りやはり森の狼と一緒で1対複数という状況は避けた方が良いかも。こちらは2あちらも2この状況は幸いかな。


「フルル、無理に攻撃しなくていいからもう1匹の注意だけ引きつけておいて」


 分かったとばかりにフルルは身体をプルプル震わせる。私達が駆け出すと星狼も私達を敵と認識したようで向かってきました。1匹の星狼が大口を開けて跳びかかってきたところに剣を横一閃させる。空中では避けられないでしょと考えていましたが甘かった、剣を咥えて伸し掛ってきたのです。


「このっ!」


 咄嗟にお腹を蹴り上げると目の前を鉤爪が通り過ぎていく。いくらゲームとはいえ蹴り上げなければあの鉤爪が自分の顔に当たっていたと思うと少し恐怖を感じますよ。フルルを一瞥すると必死に攻撃を避けながら体当たりをしたりして私の願いを叶えてくれている。私も負けていられないと思いながら星狼の体当たりを避けようとするが身体をカスリ体勢を崩されてしまう。そこに追撃とばかりに噛み付こうともう一度跳びかかってくる星狼に向かって腕を突き出すとその腕に噛み付かれた。


「いっつ! でも!」


 腕に噛み付いたことで剣が空いた状態で無防備となっている星狼に剣を突き刺す。腕から口を離し叫び声を上げたところに膝蹴りを当ててから何度も斬りつけ、仰向けに倒れたところに少しでも勢いをつけるためジャンプしてから胸に思いっきり剣を突き刺した。

 光の粒子が出てきたことで倒したことを確信しフルルの方に目を向ける。HPは半分近くまで減っているようですがまだ無事です、なんとか間に合いました。私は走り出しフルルを意識している星狼の側面から2連撃を当て体当たりをするように剣を突き刺す。どうやらフルルが少なからずダメージを当ててくれていたようで星狼はそれだけの攻撃で消滅していった。



《召喚モンスター『フルル』がLv3からLv4にレベルアップしました》



フルル グミスライムLv4(+1) 属性 無

 生命力 5(+1)

 精神力 1

 筋力値 3

 器用値 1

 敏捷値 3(+1)

 魔力値 1


 アビリティ  

 弾力[微] 物理抵抗[微]



 フルルのステータス操作を急いで終え回復魔法で治療を始める。


「ごめんね、ありがとう」


 回復も終わり月甘草を回収しようとしたところでふとある事に気付きました。最初に倒したはずの星狼がその場に伏せの状態でいるのです。


「変ねぇ、たしかに倒したと思ったけど。それに・・・」


 先程までと違って襲ってくる気配は見られず頭を撫でるとグルル~と喉を鳴らしながら嬉しそうに顔を擦り寄せてくる。これってもしかしてミルファさんの言っていた魔物が認めてくれたってことなのかな。


<我が名はユナ、我が力をもってこの者に祝福を与え、我の使い魔となせ>


 フルルの時と同じように光輝く魔法陣が出現し、消えた後には星狼の頭上に緑マーカーが表示された。


「やった♪ よ~し、君の名前は『トルテ』よ」



トルテ 星狼Lv1 属性 無

 生命力 10

 精神力 5

 筋力値 12

 器用値 10

 敏捷値 20

 魔力値 8


 アビリティ  

 体当たり 夜目


 フルルと違って能力値がかなり高い、それともこっちが普通でフルルが特別低かっただけかな。まっ、どっちでも良いか。とりあえず月甘草を採取しフルルをペロペロ舐めながらじゃれているトルテを落ち着かせて次の目的地へ向かうとしますか。



《アビリティ【剣 Lv4】が【剣 Lv5】にレベルアップしました》

《アビリティ【魔力の器 Lv3】が【魔力の器 Lv4】にレベルアップしました》

《アビリティ【魔法の才能 Lv3】が【魔法の才能 Lv4】にレベルアップしました》

《アビリティ【回復魔法 Lv3】が【回復魔法 Lv4】にレベルアップしました》

《アビリティ【召喚魔法 Lv2】が【召喚魔法 Lv3】にレベルアップしました》

《アビリティ【識別 Lv2】が【識別 Lv3】にレベルアップしました》

《召喚モンスター『フルル』がLv4からLv5にレベルアップしました》

《召喚モンスター『トルテ』がLv1からLv2にレベルアップしました》



 途中まで2~3匹ばかりだったのに最後の目的地でいっきに6匹とか巫山戯るなと言いたいですよ。まぁおかげで大量Lvup出来ましたから今回は良しとしておきましょう。ほんとトルテが仲間なってくれていて良かったです。



フルル グミスライムLv5(+1) 属性 無

 生命力 6(+1)

 精神力 1

 筋力値 4(+1)

 器用値 1

 敏捷値 3

 魔力値 1


 アビリティ  

 弾力[微] 物理抵抗[微] 自己再生[微]



トルテ 星狼Lv2(+1) 属性 無

 生命力 11(+1)

 精神力 5

 筋力値 12

 器用値 10

 敏捷値 21(+1)

 魔力値 8


 アビリティ  

 体当たり 夜目



 おや? ポチポチとステータス操作をしているとフルルのアビリティが増えていること気付きました。どうやら可能性の1つとして特定のLvに達すると新アビリティを獲得するようです、これは嬉しい知らせですね。


 初クエストは無事に終わり仲間が増え戦利品は大量に手に入りLvも上がって新アビリティ獲得、もう大成功と言っても良いよね♪ てな感じに今にもスキップしそうな勢いで意気揚々と街への帰路についた。


ここまで読んで下さりありがとうございます。


次回投稿は7月1日(水)の0時を予定しております。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ