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俺の名は山田大樹、25歳、職業介護士。日本人だ。見た目は一言で言えばブサメンの部類に入るのだろう。
決してイケメンの部類には属さないだろう。
まぁ、負け惜しみではないが、これでも前世の俺は比較的モテた。
顔に関しては、ブサイクの部類には属してはいたが、弓の腕と高ランクの狩人の為商売人の女限定だが、そこそこいい思いはさせてもらった。
前世だとか、なに言ってんだだって。
まぁ、確かに事情を知らない奴が聞いたらそう思うか。
だがな、これは事実だ。
そして、これから話すことは、俺がなぜ日本人に転生したのかの理由にも繋がっている話だからよく聞いていけよ。
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俺の前世の名前は、ジョン・スミス
ブランコ騎士小国と戦争状態にあるハンザ帝国の国境沿いの開拓村の出身だ。
俺は、その開拓村の猟師の三男だった。
俺が前世の時に得意としていた魔法は、土属性に属する鍛冶系統魔法(但し木工品に限る)、強化系統魔法の二つだ。
俺は、鍛冶系統魔法で弓矢を成形し、強化系統魔法で弓矢を強化したり身体能力を強化したりしながら、森の獣を狩りながら二十歳までは猟師として暮らしていた。
二十歳を越えた頃の俺は、このまま此の村で一生猟師として暮らしていく物だと考えていた。
だが、そうはならなかった。ハンザ帝国が国境である森の樹海を越えて騎士小国に攻め込んで来たのだ。
猟師の三男坊であった俺は、当然兵士として召集され、国境沿いにある最前線の砦に弓兵として配属された。当時此の最初の戦は騎士小国の圧倒的な敗北で幕が閉じられ敗戦交渉に入るのだろうと誰もが考えていた。
その理由は、騎士小国は此の世界における知的生命体としては底辺に位置する人間種ということと、それに加えて軍として用意出来る人数が最大で五千。それに対して、ハンザ帝国は魔法に優れたハイエルフとエルフの混合軍が今回の国境の攻略戦に用意した軍勢は約二万。なので、ハナから戦にもならないと帝国は考えていた。
だが、結果的にはそうはならなかった。