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「ああ、なるほどね」全てを理解したとき、ライの疑問は見事に解消された。
ライが、ロゼに最初にあったときの疑問。カーニャの家に来るときは、泥まみれになるはずなのに、ロゼはそうではなかったこと。
ロゼが、宙に浮いていたからだった。
おそらく、カーニャが、ロゼを気に入らなかったのも、きっとそのせいだろう。ライは、そう考えていた。
振り向いた瞬間に、足と思考をライは見た。
微かだが、足が浮いていたし、そうする理由も分かった。
分かったと同時に、ライは、背中に氷を入れたような感覚があった。
また、ライも同じだったからだった。
ロゼと理由は異なるが、ライの足もまた、一ミリほど浮いていた。
ライは、生まれたときから、手足が思うように動かなかった。
手は、生活には不自由しないものの、うさぎのトラップを作るなど、細かい作業を行うには、不可能に近かった。また、足は、手よりもひどく、歩くと足全体に、チリチリとした痛みが走った。
心配したライの両親は、マクニ一の魔法使いカーニャに、ライを預け、自分の魔法力を高めて、自分の病気を治すようにと考えた。
負けず嫌いのライの性格と、カーニャが与える試練 (ライに言わせれば『人使いが荒い』となるが) によって、ライの手足は徐々に回復し、手は、ウサギのトラップが時間はかかるが作れるほどに、足は、魔法で浮かせれば痛みがなくなり、走れるまでになった。
ちなみに、ロゼが一センチ、ライが一ミリ。この九ミリ差は、魔法力の差とも言えよう。
「さあ、着いた」
歩き始めて、およそ六時間。ライとロゼは、一度も休むことなく、マクニから程遠い、リン (緑育成区域) に着いた。
ライとロゼが尋ねる、シャルントが住むところである。




