表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/35

1;04

 4

 「本当に、申し訳ないです」先ほどからロゼは、大変申し訳ないことをしたと思っていた。

 カーニャから、悪夢を見られなくする薬草を、もらっただけではなく、カーニャの弟子のライが、悪夢の根本的な原因を、解決してくれるというのだ。

なんて親切な人たちなのだろう。ロゼは泣きたいぐらい嬉しかった。

 「とりあえず、シャルントじいさんのところに行ってみるか。あのじいさんは、もの知りだから、なにか教えてもらえるかもしれない」

 「は、はい」ロゼは突然話しかけられて、少し驚いた。ライは、先ほどから黙って、ロゼの前を歩いていたからだった。

 ロゼは歩くことが苦手だった。

 地面の上に立った二本の足で自分の体重を支えることが、どうしても信じられなかった。といっても、ロゼの足が自分の体重を支えられないほどのものではない。物理的に、無理だと感じていたからだった。

 だから、魔法を使って、一センチほど宙に浮いて、進む。ロゼ以外の人は、そのような事をしないで、ふつうに歩く。よって、足を動かさないで進むロゼは、マクニの街なかでは、大変に目立った。それがいやだったロゼは、足を動かすことにした。少し宙に浮きながら。

 ロゼは、今までに、自分が歩いている姿を他人に見られても、気づかれたことがなかった。

 「ああ、なるほどね」ライが、突然つぶやいた。

 「はい?」

 思わず返事をしてしまったが、自分に話しかけてきたのだろうかと、ロゼは少し不安になった。

 「うん、なんでもないよ、……そうかそうか」ライは、ロゼを少し振り向いて、笑った。

ロゼは、そんなライを見て、ゾクッとした。

 振り向いたライの視線が、ロゼの足元へ、一瞬だが、そそがれたような気がしたからだ。同時に、ロゼの頭にチクッとした軽い痛みが走った。

 思考を読まれた。ロゼはその一瞬にして理解した。

 さすが、マクニが誇る大魔法使いカーニャの弟子だ。

 おそらく、ライは、ロゼの足を見て、宙に浮いていることを確認し、そして、思考を読み、確信を持った。

 ロゼは、つばをゴクリと飲んだ。

 そして、魔法を解いて、自分の足で歩いてみようかと考えた。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ