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 「ふーん、そう。道に迷ったんだね」少年はライといった。

 恵美は、進められるがままに、イスに座り、ここに来たいきさつを話し始めた。

 「コンビニって、なに?」

 「…………はい?」

 ちょっと待ってよ。

 恵美は信じられなかった。

 わたしとだいだい同じ年ってことは十三歳くらいよね。中学一年で、コンビニを知らない人がいるとはね……。

 「まあ、何でも売っているお店屋さんかな」

 「ふーん、そうなんだ」ライは神妙な顔でうなずいた。ウソをついているようではなかった。

 恵美は、ライの後ろに座っている、老婆が気になって仕方がなかった。

 着ているのは、確実に魔法使いの話で出てくるローブ。

 鋭い目と、とがった鼻が、いかにも魔女らしい。

 その魔女が、口を開いた。

 「なんだい、わたしのことが気になるのかね。人間界のお譲ちゃん」

 きゃ。

 恵美は、飛び跳ねそうになった。

 思考を読んだわ。それに人間界だって!ってことは、もしや、ここは魔界!?

 「いいや、ここは、マクニ。魔界の連中とは違うのさ」

 「で、でも、魔法使いなんでしょう?」恵美は、恐る恐る魔女に聞いた。

 「いかにも。わたしは、魔法使いのカーニャ・ストロンディアルだ。こいつは、孫ではなく、わたしの弟子だ」ライを指さして、カーニャが言った。

 「魔法使い……。本当に? あ、あの、魔法を使って見せて」

 「よろしい」

 カーニャは、指をパチンと鳴らすと、スッと消えた。

 「わっ……、消えた」

 「どうだい」見えないのに、カーニャの声が聞こえた。

 「す、すごいです!」

 また、パチンという音が聞こえて、カーニャの姿が現れた。

 「ライ、この少女に、ここの世界を案内しなさい」

 「えー、どうしてさ」

 ライは、ほほをふくらせた。

 「この世界に、人間界からの訪問は、二十年まえにあったきりだ。とっても珍しい者なんだぞ」

 「案内したからって、なんになるのさ」

 「いいから行け。マクニではなく、リンやクウクに行け」

 「またこのパターンか……」

 ライは、ため息をついているが、恵美は、ワクワクしていた。

 魔法の世界が見られる。なんてすばらしいんだろう。

 今日は、まったくもって、ついている日だ。恵美はそう断言できた。

 


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