3;01 It just is not my day today! 〜今日はまったくついていない!〜
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今日は、まったくもって、ついていない日だ。恵美はそう断言できた。
コンビニから家に帰る途中だったのに。
なぜだか、知らないところに来てしまった。
近道しようとしたのが、行けなかったのだろうか。
ちょっと、そこの林を抜けて、すぐ家だったのに。
いつものように、ちょっと遠回りになるけど、道路を歩くんだった。
なに?この家は。
まったく、タイムスリップでもしちゃったのかな。
三匹のこぶたの長男が建てたような家。
おおかみが、フーって、吹いたらすぐ、飛んでいってしまいそうな家。
ワラっていうのかな。そんなので出来ている。
恵美は、恐る恐る、その家に近づいた。
話し声が聞こえる。
恵美は、耳をすました。
「こんなのも分からんのか。……じゃから、『ラルシュソウ』をつんで来いと言ったんだ。これは、『ガルタンソウ』じゃろうが。ちゃんとつんで来い」年寄りの声が聞こえた。
「ええー、カーニャ、もう夕方だよ。じきに、夜になるよ」孫だろうか、子供の声もする。
「だからなんだ。はやくつんで来い!」
「はいはい」
こっちに近づいてくる音がする。
恵美は慌てた。
どこかに隠れなければ。だか、あたりに隠れられそうなところはない。
「あれ? お客さん?見慣れない人だねえ。ささ、入って入って」
気付かれてしまった。
恵美は、自分と同じくらいの少年に進められるまま、三匹のこぶたの長男が建てたような家に入っていった。