2;03
3
「あー、それはない」話を聞くとシャルントは、首を横に振った。
「どうしてさ!ライが持って言ったんだろう!」
「ライはのう、カーニャの弟子じゃぞ。カーニャとは子供のときからの付き合いじゃが、それはそれはしっかりした奴じゃ。そいつの弟子に限って、宝玉を盗むはずがない」
「そんなことない!…………オレ、ライを探しに行く。捕まえてやる!」
「まあまあ、早まるな」
「やだ!」
「やだって、言われてものう」
「明日に備えてもうねるよ!」言うが早いがシャルゴは、寝室へと向かっていった。
「ふう、しょうがないのう」
シャルントは、イスからゆっくりと立ち上がると、自分の分とシャルゴの分のコップを手に取り、台所で洗い始めた。
次の日の朝。
「本当に、行くのかの」
「うん、必ず、宝玉を取り戻しに行くよ!」
「ライが、持っているとは、思わんがのう」
「そんなことない!あいつは、悪い奴なんだから!」
シャルントは、ため息をついた。
「どこに行くつもりじゃ?」
「マクニ。ライの師匠のカーニャって人に会ってくる」
「ほう。気を付けるんじゃぞ」
「うん」
「………………」
甘かった。
カーニャの家に行くまで、こんなにも大変だとは。
頭のてっぺんから、足の先まで、どろどろになっていた。
「うわっ。なんでこんなところに、うさぎのトラップがあるのさ」
しかもなんかぶかっこうなトラップ。シャルゴは泥まみれになりながらも、クスリと笑った。
横を向きながら歩いていたので、なにか硬いものにぶつかった。
「ああ、ガケだ……」目の前にそり立つ岩の壁を見て、シャルゴはため息をついた。