表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
22/35

2;01 A piece of story of adventure 〜もう一つの冒険の話〜

 1

 元に戻っている。すべてが。なにもかも。

 死んでいった動物たちも、すべてが元通りになった。

 木々は、空に向かって、突き刺さんばかりに背伸びして。

 花は、やさしい風にさそわれて、いますぐにでも、ワルツを踊りだしそうだった。

 

 その光景は、昨日見た、リンと同じ。

まったく同じ。

 

 あらしが、去ったあと、マクニの少年ライが、ほどこした魔法。

 それはそれは美しいものだった。

 シャルゴは、今まで見てきたマクニの魔法の中で、最高に美しいものだと思った。

 

 あのすばらしい声。もう一度聞きたい。

 小鳥のさえずりのよう?──いや違う。

 風のささやき?──違う。


 もっとこう──すべてを、包み込むような、やさしい声。


 すばらしかった。ほんとうに。


 だけど。

 ちがうんだ。

 シャルゴは、奥歯をかみしめた。

 『先読み』が。

 何の役にも立たなかった。

 どうして?

 他の区域にはない、『先読み』を使えるリンが『先読み』を失敗するなんて。

 今までになかった。こんなこと。

 『先読み』がリンからなくなったら、何がのこる?

 ただ単に、木を育てているだけじゃないか。

 それは、それでいい。

 だけど。

 リンにとって、『先読み』は誇りだった。

 そもそも、『先読み』は、今あった、あらしなどの自然災害を前もって知るためのあると、考えられている。

 それが。

 ライの魔法で、すべてが否定された気がした。

 『先読み』なんかなくても、魔法があれば、リンを守ることが出来る。

 そんなことを、あの魔法で言われた気がした。

 確かに、そうかもしれない。

 でも、ちがう。

 自分の身は、自分で守りたい。

 リンは、リンの住人が守るんだ。


 確かめてやる。

 確かめてやる。


 どうして、『先読み』が失敗したのか。


 あの、ロゼとかいうマクニの少女の悪夢退治なんて、もう、どうでもいい。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ