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 三人は海の中に入っていた。

 「わたし、海って初めて。すごいなぁ」執拗に感心しているのはキリアだった。

 キリアは、羽があるので、ほかの二人よりも、ゆっくりと進んでいた。

 「ね、ライとロゼは、海は初めて?」

 「マクニは、山奥にあるんですよ。そうそう行けるもんじゃありませんよ」ライが苦笑しながらそれに答える。

 「ああ、そうか……。それじゃ、三人とも海は初めてか」

 「ええ……まあ……」


 「もっと、深いところに行ってみますか」

 ライは、そういうと、どんどん深いところに潜っていく。

 「あっ、ちょっとまってよ」

 キリアが慌てて追いかけようとするが、慌てれば慌てるほど、進まない。見かねたロゼは、泳ぎ方を教えた。

 「キリアさん。足を曲げないでゆっくり動かして、手を前の水をかき分けるように動かしながら、進んでください」

 「あ、進んだ進んだ。ロゼ、教えるのうまいね。実は、海に来たことあるんじゃないの?」キリアはニッコリとロゼに微笑みかけた。

 「えっ…………ないと思いますけど」ロゼは、自問自答をする。

 海に来たことがあるのか。

 最近では、なかったような気がする。

 では、昔は?

 「………………」

 思い出せない。

 どうしてだろう。

 ロゼは、自分の頭を軽く叩いた。

 思い出せ……。思い出せ……。

 「うわー、なになに、この魚!きれい!」

 キリアは突然、黄色い魚を指差して、歓声を上げる。

 「ああ、それは、キイロチャントルという魚です。他にも、赤、だいだい、黄緑、緑、青、紫の色があって、群れになって泳ぐさまは、虹のようです」

 「へぇー…………」魚をさわろうとするキリア。

 「ですが、気を付けてください。地上とはちがって、大きいものが強いのではないのです」

 「どういうこと?」

 「小さいものが強いのです。集団となって、大きな魚を食料とします。それに、頭もいい」

 「そんなこといっても、大きいほうが、強いに決まっているわよ」

 「いいえ、そうではありません。小さい魚には、鋭い牙がありますし、大きい魚には、それがありません。小さい魚は、大きい魚に食べられそうになったら、すばやいですから、すぐに逃げることが出来ます。大きい魚はその分、水の抵抗が大きいですから、追いかけることは無理です」

 「ほー、くわしいね。それじゃあ、大きい魚は、何を食べているわけ?」

 「海藻です」

 「なるほど」

 キリアは、海水の中で、腕くみをしながら、大きくうなずいた。

 なぜ、こんなにも、くわしいのだろう。

 またロゼは自問自答をする。

 本で読んだから?

 誰かに聞いたから?

 いや、ちがう。

 そんなこと、記憶にない。と、いうことは……。

 実際に見たからだ。

 ロゼは、ゴクリと、つばを飲んだ。

 「おそいよ」ライがいつの間にか戻ってきて、ロゼとキリアの手を引っぱった。

 「着いてきて。見つけたよ、住居跡」



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