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 「それじゃ、ロゼ、そこの石に座って」

 ライは、ロゼが石に座るのを見届けてから、静かに目をつぶった。

 キリアは、自分にも魔法がかかったら怖いからと、木の陰に隠れていた。

 そんなこと心配することないのに、ライはそう思った。

 「──────────」

 『呪文の声』で、ライはロゼに術をかけた。

 目をつぶった真っ暗な頭の中で、ライは呪文を唱える。

 そして、ロゼの頭の中に入り、原因を探っていく。


 十分ぐらいたったのあと、ライは静かに目を開けた。

 のちにキリアは、木の陰から見ても分かるくらい、へびのような恐ろしい目だったと、語った。

 ロゼは、目をつぶっていた。

 まるで、眠っているかのように安らかな顔だった。

 ロゼは、フッと目を開けると、「もう、終わったのですか?」と、たずねた。

 ライは、静かにうなずくと、その恐ろしい目をロゼに向けた。

  ロゼは、一瞬たじろいだ。が、すぐに微笑んだ。

 「分かったのですね?悪夢の原因が」

 「…………うん」

 そう、ライは、知ってしまった。

 分かってしまった。

 ロゼの悪夢の原因が。

 そして、ロゼの正体が。

 「行こう」

 ライは、静かに言った。

 「サクリへですか?そこに、わたしの悪夢の原因があるのですか?」

 ロゼは何も知らないのか。本当に知らないのか。と、ライは思った。

 「教えてください。わたしの悪夢の原因を」

 ライは、首を横にふった。

 「どうして、教えないのさ。元はと言えばこれは、ロゼの問題だろう。どうして、隠す必要がある?」

 いつの間にか、木の陰から帰ってきたキリアが、言う。

 もっともだ。

 ライは思った。

 もっともだ。だけど、こればっかりは……。ライは、キリアを無視して、言った。

 「行こう。カリトへ」

 


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