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 「ロゼは今まで読んだ、本をなるべく古い順から言ってくれ。ライは、その本を探して、わたしに渡す。またロゼに、作者と出版日を言ってもらう。あたしが、持っている本と、ぴったり合えば合格だ!」

 なぜ、こんなにもキリアは楽しそうなのだろう。そして、合格とは……。という、ロゼとライの疑問は無視して、キリアが、「さあ、早く早く!」と、ロゼをせきたてていた。

 ロゼは、軽く目をつぶると、頭の中の引き出しから、今まで呼んできた本の詳細のリストを取り出した。

 「まずは、『風の支社』という本です。三才のときに初めて読んだ小説です」

 「ライ、探して」キリアは、ライが魔法で探し出した本を、手に持った。

 「──はい、作者と出版日は?」

 「……マサラ・コンツエール。サクリ暦三六二五年の五月二十日出版です」

 「──正解。……すごいねぇ。感心する」キリアの感嘆を無視し、ロゼは先に進めた。

 「『昔、今、明日』作者は、サラク・ミタゴラニュ。出版は、サクリ暦三六五三年の八月二十八日……です」

 「正解──読んだ年は?」

 「…………七才のとき……です」

 「フーン。本当に、すごいねぇ。──ねぇ、ライ」

 「は、はい……」

 ライは、本棚に、もたれかかってボーとしていた。

 魔法を使って、疲れたのだろうかと、ロゼは思った。

 「ひとます、合格。これで、ロゼの記憶力は証明された」

 キリアは、ライにニッコリと微笑みかけた。

 「ライの解釈ではなかったようね」

 「まあ、そうですね」

 ライは、ため息をついた。

 「とりあえず、サクリに行って、『海の中の住人たち』の本の作者に会ってきます」

 「ああ、それがいいと思うね。なんなら、わたしも行ってあげようか?ひまだし。一を聞いたら十まで知りたいし」

 キリアは、目をキラキラさせながら言った。本当は、行きたくてたまらないのだろう。

 ロゼも、本好きなら一度は行ってみたいといわれる、サクリに行けることに、胸を踊らせていた。

 ライは、キリアの手を強くにぎるとこう言った。

 「ぜひ、一緒に来てください」

 ライの熱心な目の裏を、ロゼはまだ、知る由もなかった。


 サクリに行く途中、キリアの発した言葉に、ロゼとライは、またしても口を開けることになった。

 「あのさぁ、さっきから思ってたんだけど、どうしてライの魔法でロゼの悪魔の正体を、見つけようとしないわけ?」

 「そうだった!」ビックリマークが百個くらいつきそうな勢いで、ライが言った。

 一方ロゼは、口ばかりか目まで見開いていた。

 今までたくさんのことがありすぎて、こんな簡単な方法を、忘れていたことをキリアが教えてくれたことに、ロゼは感謝した。

 「……はは、もうすでにやっているのかと思った」

 キリアは苦笑した。



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