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1;01 What is chirida? 〜チリカって何?〜

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 「まったく、カーニャも人使いが荒いよ……」

 ライは今夜、魔法術に使う、うさぎを捕まえるため、トラップ (罠) を仕掛けていた。

 「えさをここに置いて、そして、縄をこうして……」ぶつぶつと、ひとりごとを言いながら、作業を続けていく。

 だが、なかなか作業は終わらなかった。なぜならライは、とても不器用だったからだ。

 「………」だんだん無口になっていくライ。

思い通りに上手くいかないので、腹が立ってきていた。おまけに、真夏の暑さが腹立たしさを増幅させた。サンサンと照りつける太陽をにらみつけ、ライは、黙々と作業を続けた。

 数時間後。

「よし、完成!」ライは、汗だくになりながらも、完成したばっかりのトラップらしき物を、満足げに見つめた。

「あとは、うさぎが、かかるのを待つだけ!」

だが、残念な事にライが大声で叫んでしまったため、うさぎは危険を察知し、逃げていってしまった。その事を知らないライは、トラップらしき物の近くの茂みに隠れ、うさぎがトラップに捕まるのを待っていた。


 日はトップリと暮れ、夜空に星が瞬き始めた頃。

 ライはまだ、茂みに隠れていた。

 「………おかしいな」そのとき、ライの頭に激痛が走った。あれが始まる直前だと、ライは思った。

 『ライ!そんな馬鹿な事やってないで、早く帰ってきな!珍しく客が来た』

 ライが魔法使いになるために弟子入りしているカーニャからだった。

 そのカーニャの声が聞こえてくるのは、近くにカーニャがいる訳でもなく、電話をしている訳でもない。カーニャは、ライに魔法で頭の中に話しかけていたのだ。

 『うう、頭が痛くなるから、やめてくれよ』ズキズキする頭を押さえながらライは魔法を使って返事をした。

 『なに、ばかなこと言っているんだい!それはお前の魔法を受け止める力が、弱いからだろう!』

 『わ、分かったから、そんなにおっきな声を出さないでくれよ』

 『いいかい、早く帰ってくるんだよ!』プツンと切れた音がライの頭に中に響いた。

 カーニャからの魔法が解けた音だった。とたんに、ライの頭痛が治まった。

 「本当に人使いが荒いよな………」

 苦労して仕上げたトラップらしきものを片付けながら、ライはそう呟くのだった。

 


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