壊滅
慌てて白川は捜査本部へ向かった。
「なんてこった・・・。」
捜査本部で見せられたのは、SPDOがどこも破壊され、Sランクも、能力無効能力を持つ警備員達もSPDOにいる人間ほとんどが殺されている写真だった。
その写真を見て、皆動揺を隠せなかった。
本部長が咳払いすると、室内は一気に静かになった。
本部長が言うには
「凶器はコンクリート。犯人は以前脱走したS+の人物と思われる。」
その言葉にまた室内は騒然とした。
「おそらく、犯人は相浦だろう。無機物を凶器にするテレキネシス(念動力)の力をもっている。それに、生き残ったSPDOのAランクから聞いたところ、相浦と特徴が一致した。コンクリートの破片で右手と左足を補っていたそうだ。相浦は幼い時に右腕と左足を病気でなくしている。SPDOを出た後は、おそらくどこかに潜伏していたんだろう。」
捜査本部は本部長の推測に静まり返った。皆青ざめて改めて写真を見ている。
「これだけ目立つ人物なら、まだどこかに居るかもしれない。そこでだ、我々は引き続きSPDOの状態を捜査する。白川の班は相浦を捜査しろ。最悪殺しても構わん。」
白川は鳩が豆鉄砲を食らったような顔をした。
「なぜ私達の班なんですか?」
白川が問いかけると
「他に能力を持つ班が居ないからだ。」
と完結な返事が本部長から返ってきた。
ー貧乏くじ引かされちまったな。これからどうしろってんだ。
悩む白川を尻目に、他の班はほっとしたようだった。
「そういうことで、人手が足りないから、今回までは富野さんに働いてもらおうと思って・・・。」
白川は川内のご機嫌を伺うように言ったが、すでに川内はご機嫌ナナメだった。いつ白川の机が拳で破壊されないか、白川は心配でしょうがなかった。
「しょうがないわね・・・。緊急事態だもの。」
川内は長い髪をかき分け、ため息をついた。
「それにしても、無機物だけ動かせるテレキネシスってのも厄介ね。拳銃を携帯できないわ。」
「そうなんだよ。困ったもんだ・・・。」
白川は煙草に火を点けると、髪をかきむしった。