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第十六章 三月十八日・信也の部屋・午後〇時
「おーう、どうした」
「パスポートを申請したらしいな。」
「刑事が来たのか?」
「俺達はどうしたらいんだ?」
「俺達は、言い訳が災いして、別件でパクられそうな状況だ。おれたちがうまく脱出できたら、おまえたちは大丈夫じゃないのか。間違っても裏切ろうなんて思うなよ。」
「ところでおまえあの金をどこにしまってある?」
「何だよ。」
「ちょっと確認したいんだ。」
「なんでだよ?」
「お前は半年前から綿密に計画を練っていた。俺達はお手伝いの手足のようなもんだ。それなのに山分けというのは怪しいんじゃないか。」
「なに言ってるんだ。おまえたちが実行したんじゃないか。俺はここにいてアリバイ工作をしただけだぜ。」
「とにかく確認させてくれ。見れば気が済む。」信也はしぶしぶと天井裏から青いバッグを取り出した。
「一応確認させてもらうぜ。」三上も天井裏を覗いたが他にはなにもなかった。
「二十三・二十四・二十五っと。二億五千万。いいか」信也はバッグをひっくり返して見せた。
「わかった。疑って悪かったな。」