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プロローグ
「あたし、結婚するから。」
私は会社で仲のいい3人の親友にそう告げた。
ファミレスの4人掛けの席で、私の向かい側が少し強引でフェロモンたっぷりのまさに俺様色男の須藤蓮が信じられないような表情をしている。
右側の中性的で綺麗、美しいという言葉が似合う、私なんかよりも男に人気の相模雅は純粋に嬉しそうだ。
蓮の右側の蓮とは違った硬派で武に長ける遠山清一はいつもとかわらない表情だった。
私達は親友だった。
少なくともこの歪な関係に気付くまでは私は彼らに友情しか抱いていなかった。
会社で気の合う仲間。
異性でも友情は成立すると信じていなかったあの頃。
私だけだった。
気付いていなかったのは。
そして、気付いたときはもうすでに私は渦中の中で、誰かしら傷付ける選択しか残っていなかった。
どうすればよかったのだろうか。
そう後悔するばかりだ。
私達の関係は歪だ。
だから、私は結婚してこの形に切れ込みをいれてやる。
――そんな私、夏目紅夜の日々。