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三題噺もどき5

体育祭の跡

作者: 狐彪
掲載日:2026/06/18

三題噺もどき―はっぴゃくはちじゅうなな。

 




 グローブを片手に、思いきりボールを振りかぶる。

 ――写真が黒板に写されている。

 個人的にうまく撮れたつもりだったが、ピントが若干ズレているような……ちゃんと見なければ気づかない程度ではあるんだけど。

「これいいね」

「そう?ならいいや」

 パソコンにつないだハブに、私のカメラのSDカードが差し込まれている。

 次に写されるのは、同じく野球部だが、走っている様子。

 先日の体育祭の、部活動対抗の際に撮った写真である。

 この時は、私たちも一応選手扱いではあって、あと少しで走らないといけないというタイミングだったので、大変だった。

「何枚くらい出すんだっけ?」

「とりあえず、コレが埋まればいいって感じ」

 言うのが遅くなったが、今は部活動中である。

 放課後のガランとした理科室に、数名の写真部部員が集まっている。

 雨のせいか、空気が冷えていて少し寒い。ここ数日はずっとこんな感じの気温だ。暑いのよりはいいんだけど、この時期に寒いと思うとは思っていなかった。

「……」

 今日やることは、先月末あった体育祭の写真を選別して、廊下に張り出すものを決めることだ。その中でまぁ現像してほしいものがあれば、写真部に言ってくださいみたいなことをしている。大抵は顧問を通じて、他の部活の顧問から来ることの方が多い。あとは、同じクラスの人とかであれば。

「文化祭もあるんだよね」

「まぁ、それはそれぞれだから」

 2学期始まってすぐにある文化祭は、写真部の展示が行われる。

 大会に出したものを出したり、他に何枚かそれぞれ展示をする。写真を売ったりもして、それを部費に回したりと、まぁ、文化祭もそれはそれで大変だったりする。

「これとか」

 次に写されたのは、1年生の学年種目。

 いやしかし、この若々しさというか……たいして年齢変わらないのに眩しく感じるものがあるよな。写真を撮っていると、時間が溶けるような感覚になり、あっという間に終わってしまったから、どんなもんかと思ったが、案外いいのを撮っていたようだ。

「2年生のから何枚か出した方がよくない?」

「それは昨日したのよ」

「あ、昨日部活結局したの」

「したよ」

 先程から会話をしているのは、私と部長である。

 他の部員はそれぞれで会話をしたり、それぞれのカメラで写真を見たりしている。

 もちろん、黒板の写真も見つつだけど。さすがに、1,2年生からの意見は出てこない。

「あと何枚くらい?」

「でもそんなに……」

 コレが埋まるくらいと先程言った、コレのサイズはよく見る大き目の方眼用紙だ。

 写真のサイズはそのまま、L判で出すし、少し文字を入れたりするので、そこまでたくさんは貼らない。

「これ最後のやつ?」

「そう」

 体育祭通しての最終競技。

 写真に写る生徒達は、体育服は汚れ、靴も汚れ、時折膝に絆創膏を貼っている人も居る。こりゃ洗濯が大変そうだな……とふと思ったことを思い出した。

 そんな中でも、表情は笑顔に溢れ、心底楽しいのだと語っている。

「これ1枚出そ」

「ぇ~」

 写真を撮るのは好きだが、表に出されるのはあまり好きではない。

 大会は出さないといけないから別だけど、学校内で出さなくても……あの子に見せるだけで充分なんだが。

「いいじゃん」

「いいけど……」

 部長の決定には、ただの一部員である私は逆らえない。

 副部長は別の子なので。私はほんとにただの一部員。

「あと何枚か」

「もうあんまり撮ってないよ」

 一応の撮影係のメインは1,2年生だったのだ。

 カメラを持ってはいたし、それなりに撮ってはいたけど枚数はない。

「いや、結構ある方だよ」

「ぇ、そうなん」

 その後も、写真を写しながら、これはどうだこれはと、選別していった。

 貼りださないものの中では、何枚か大会に出せばと言われたが、まぁ色々あるので大会には無理だろう。許可取りに行くのがな……。











 お題:グローブ・洗濯・溶ける

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