01話
プロローグの一部をこっちに持ってきました。
視界が元に戻ると、そこは無数の兵たちが戦っている戦場を見下ろす小さな丘だった。
「……幻術、か?」
しかし、戦場を包む熱気と歓声が、それが現実であることを告げていた。
ルナウが大声でこう叫んだ。
「魔王様が出陣なされました!皆の者、我が国を守るのです!」
その声に呼応するように、兵たちが歓声を上げる。
戦場が、大きく揺れた。
「この感覚は懐かしい……」
目をつむると、天下を取るために戦った戦場の日々の風景がよみがる。
その瞬間、信長はすべてを理解した。
「面白い。天はわしを魔王にしたならば、わしは魔王として、天下を取るまでよ」
信長は大声で叫んだ。
「出るぞ!」
「えっ?わ、わかりました!」
近くにいた兵が慌てて一頭の馬を引いてくる。
「では行くぞ!」
信長は馬に乗り、戦場に向かって飛び出した。
「ちょっと!魔王様!お待ちを!」
制止の声を背に、信長は戦場へと突っ込んでいく。
「ふん。力がみなぎっておる」
信長は腰についていた剣を抜き、敵兵を紙のように吹き飛ばしていった。
「こんな時に勝家や利家がいれば……」
信長は家臣たちのことを思い出した。
共に戦った仲間たちのこと思い出すだけで胸が痛くなる。
光秀め……。
信長が、思いに浸っていると、背後の兵士が大きな声を上げた。
「魔王様!前に敵将の姿が!」
信長が目を開けると、そこには金の鎧を着た、大きな槍を持った将がいた。
「お前がこの国の魔王か!俺の槍術をくらえ!」
敵将は目にもとまらぬ速さで槍を抜いてきた。
しかし、信長は容易に剣で防いだ。
「ふん……。その程度の槍術でわしを殺せるとでも?利家の槍の方が何十倍も鋭いわ!!」
信長は剣を弾き返すと同時に、敵将を睨め付けた。
その瞬間、胸の奥から熱が込み上げる。
「なんだ、この感覚は……?」
全身を巡る、圧倒的な力。
「……これが、魔王の力か」
信長がそう呟いた瞬間、魔力が噴き上がった。
大地が震え、空気が歪む。
敵将が後ずさる暇もなく、信長は剣を振り下ろした。
次の刹那、剣から放たれた黒い閃光が敵将を飲み込み、
金の鎧ごと跡形もなく消し飛ばす。
その時だった。
背筋がゾクリとした。
明らかに異質な気配。
空気が重く沈み、兵たちがざわめく。
「魔王様、お気をつけください!」
サムンの声が震える。
戦場の奥から、一人の男が姿を現した。
黒紫の鎧に身を包み、禍々しい魔力を放つ存在。
「ほう……ここは魔王とは、お前か」
男は笑い、ゆっくりと名を告げる。
「我が名はネクロ。いずれはこの世のすべてを手に入れる魔王だ」
信長は剣を構え、言い放つ。
「ほう……。魔王は一人でよい。おぬしはここで殺す!」
信長はすぐさま、ネクロに向かって突撃した。
「このわしこそが、この世で唯一の魔王『第六天魔王』じゃ」
「ほぉ~ん。面白い。『第六天魔王』か……やってみるがよい」
ネクロはそう言い、信長の斬撃を受け止めた。
「このネクロ様に勝てるとでも?」
ネクロはそう言って剣を跳ね返し、信長の腹に一撃加えた。
「むっ!!」
この体剣を使うには向いていなおらんのか……。
「ならば……」
信長は先ほどのように手に力を込めた。
「ふん。魔法か……。最弱魔王で有名なお前がどうするっていうんだ?」
すると、手から大きな黒い触手のようなものでが出た。
「こんな魔法で俺を殺せると思ったか」
そういってネクロは剣で触手を切った。
しかし、触手は剣をつかみそのままネクロに巻き付いた。
「な、なに!?ありえない……」
「わしの名は織田信長覚えておくがよい……」
信長がそういうと、ネクロは触手によって押しつぶされてしまった。
「ま、魔王様...…。いつの間にあんなに強くなられたのだ……」
兵士たちは驚きながら、戦場中に伝えた。
「我らが魔王様が敵の魔王ネクロを返り討ちにしたり!」
戦場は静まり返った。
信長は善平たちに向けて大声で宣言した。
「聞け」
低い声が、戦場に響き渡る。
「わしの名は織田信長」
兵たちが息を呑む。
「この天下で唯一の魔王『第六天魔王』である」
信長は空を仰ぎ剣を掲げ、はっきりと告げる。
「このわしが、この天下を統一する!」
一瞬の静寂の後、戦場は割れんばかりの歓声に包まれた。
その声を背に、信長はゆっくりと丘を後にする。
新たなる魔王の時代が、ここから始まるのだった。
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