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【完結】動物と話せるだけの少女、森で建国して世界の中心になりました  作者: なみゆき


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2/12

1ー断罪、そして追放

 ある日の午後、王宮の大広間には重苦しい空気が漂っていた。

煌びやかなシャンデリアの下、貴族たちが整列し、王族の前に立つ私は、まるで罪人のように視線を浴びていた。


ペットを通じて知り合った人々も多くいたが、皆、不安そうな表情を浮かべていた。



陛下が開口一番宣言した。


「ミナ・クローバー。貴様を、王国法第百八条“動物への不敬罪”により、ペットの世話係を解任し、本日付けで王都より追放とする!」



その宣告が響いた瞬間、場内はざわめきに包まれた。 驚きと戸惑いが広がり、誰もが私を見つめていた


私はただ、ぽかんと口を開けていた。


目の前には、ふわふわの白毛をなびかせたミルフィー様――王女殿下の溺愛ペット。

そのつぶらな瞳が、まっすぐこちらを見ている。


「ニャー」

「ニャー」


……いや、それ、私にはちゃんと聞こえているからね?


『このドレス、目が腐るニャ。蛍光ピンクとか正気の沙汰じゃないニャ』


「ニャー」

「ニャー」


『この部屋、香水の匂いで鼻が死ぬニャ。空気清浄機を呼べニャ』




「この子が、ミナの前では何度も“ニャー”って言うのよ! そして私に、一生懸命伝えてくるの。 ミナが 怖いって!ミナに いじめられたって!!」



いやいや、違う。

――完全に誤訳です王女様。


けれど私は言い返せない。

“動物語がわかる”なんて言ったら、余計に面倒になるから。



こうして私は、王女殿下の暴走とミルフィー様の毒舌の板挟みにされたのであった

それに、王女の私に対する怒りは、もう止まる様子がない。


そしてミルフィー様が「ニャー」とまた鳴く。


『ミナ、あんたは悪くないニャ。むしろ被害者ニャ』



そう、ミルフィー様は私にだけは優しい。

毒舌家でありながら、ひそかに私を庇ってくれていたのだ。それを王女殿下が暴走して誤訳している。


「ほら、また、ミナにいじめられた!!って伝えてくるでしょう!!」



私は“動物語”を理解できるが故、犬の「ワン」も、猫の「ニャー」も、インコの「ピヨ」も、意味として聞こえる。


彼らの言葉は、私の耳に、まるで人間の言葉のように届く。


けれど、それは誰にも話したことがない。

話せば、気味悪がられるか、都合よく利用されるか

――どちらにせよ、私の居場所はなくなる。

だから私は、黙っていた。




ミルフィー様の常日頃からの毒舌を、王女殿下が誤解していることも、訂正しなかった。


それが、私の選んだ“平穏”だった。


でも、その平穏は、今日で終わった。


「ミナ、貴方のような者に、動物使いの資格はないわ!  今すぐ王都を去りなさい!」


王女殿下の声は、怒りに震えていた。



私は静かにうなずき、何も言わずにその場を後にした。



 *


私は、部屋に戻り、荷物をまとめた。

長年使ってきたブラシ、動物たちの好物、そして、彼らからもらった小さな贈り物。

それらをそっと包みながら、私は深く息を吐いた。



王宮のペットたちが、私を見送るように静かに鳴いていた。


『ミナ、絶対戻ってきてニャ』

『ミナさん、あの人たちバカですワン』

『ミナちゃん、また会おうクエッ』



彼らの声が、私の背中を押してくれた。

誰も気づいていない。

この王宮で、動物たちの本当の声を聞けるのは、私だけだった。


こうして私は、動物たちの言葉を知る者として、誰にも知られず、王都を去った。



振り返ることなく、でも確かに―― 私の物語は、ここから始まる。

お読みいただきありがとうございます。

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