番外編ー動物語スピーチコンテスト
森と王都の関係が少しずつ落ち着きを見せ始めた頃
―― 王都から、また一通の手紙が届いた。
「“動物語スピーチコンテスト”を開催したい、ですって?」
私はパンの耳を焼きながら、首をかしげた。
どうやら、動物語講座の評判が王都で広まりすぎて、「話せるようになったら披露したい」という声が続出したらしい。
開催場所は森の中央広場。
審査員はフクロウ(発音と文法)、インコ(表現力)、フェレット(面白さ)。
私は、司会を務めることになった。
出場者は王族から庶民まで、そして一部の動物たちも混ざっていた。
最初の登壇者は王女殿下リゼ。
「ニャー……えっと、“こんにちは”です!」
ミルフィーが冷ややかに見つめる。
『発音が甘いニャ。あと、語尾が高すぎるニャ』
次は王子殿下フィン。
「ワン! ワンワン! ワンワンワン!」
ベルクがそっぽを向いて一言。
『うるさいワン。何の意味もない言葉だワン』
続いて登場したのは、王妃。
「ピヨ……ピヨピヨ……ピヨ?」
金魚が泡で「……無視」と返した。
一方、動物たちのスピーチは堂々たるものだった。
•インコが「人間との共存について」熱弁。
•フェレットが「ポケットの可能性」について語り、貴族の財布を盗みながらのマルチタスクぶりで、会場拍手喝采。
•カメが「ゆっくり生きることの美学」を語り、説明の途中で爆睡。
私は、焚き火のそばで静かに見守っていた。
「……なんだか、すごいことになってるな」
最後に、ミルフィーが登壇した。
『ニャー。人間は、動物語を学ぶべきニャ。でないと、猫の気持ちなんて一生わからないニャ』
その言葉に、会場は静まり返った。
そして、ゆっくりと拍手が広がった。
こうして、“動物語スピーチコンテスト”は大成功を収めた。 人間と動物が、言葉を超えて心を通わせた瞬間だった。
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