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リリーフ・オブ・ザ・ライフ~inTS  作者: タカハシあん


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第26話 懐柔

 村に人がやって来て、滞在が長引きそうなのでオレとエリーダは少し離れることにした。


 どこがいいかとテレキボードで探していたら山小屋を発見。降りてみたらしばらく使ってないようで屋根が腐り落ちていた。


 オレもこの世界に来て数年が過ぎており、DIYもやってきた。このくらいなら問題なく直せるってものだ。


 サイキで屋根をひっぺがし、均一の木を切って来て新しい屋根とした。五日くらい保てればよし。


 エリーダには部屋の掃除をしてもらい、オレは暖炉の掃除だ。


 終われば薪を割り、サイキで水分を抜く。生木は煙が出るからな。


 小屋の中が綺麗になればルームからエアーマットと毛布を運び出し、セットしたら風呂作りを開始する。


 サイキで石を集めて振動で岩をくっ付けて隙間を塞いだ。サイキックパワー!


 あとはトイレだ。穴掘って便器を置いて完成。あ、壁と屋根は必要か。誰が見なくてもプライバシーは大切なので。


 トイレットペーパーは自然に溶けるものを使用しよう。携帯おしり洗浄器を壁に掛けておくか。


「エリーダ。掃除はどうだい?」


「うん。終わったよ」


 ちゃんとジョイントマットが敷かれており、テーブルの上にはカップが置かれていた。


 小さくても女は女だな~って思うよ。オレにはない感性だ。


 いつまでいられるかわからんが、これと言ってやること、いや、やることはあるか。エリーダを太らせるという目標が。


 大した料理は出来ないが、エリーダに手作り料理ってのを教えておこう。教育上、必要なことだと思うからだ。


 食材は村で仕入れることが出来たので、料理本を見ながら似たようなものを作ってみた。


 葉物野菜はベーコンと一緒に炒め、芋は茹でてポテトサラダに。山羊の肉は臭みがあるのでスープカレーにした。


 パンは出発前にたくさん作ったので焼く必要はなし。スープカレーに浸けて食べるとなかなか美味い。あ、エリーダには辛かったかな?


「辛くない?」


「とっても美味しいよ!」


 辛党なのかな?


 食事が終わればお昼寝だ。今は肉を付けることが肝心だからな。


 起きたら読み聞かせ。オレも小さい頃は親に童話を読み聞かせてもらったものだ。


 そんな日を五日くらい続けたら一旦サーグたちのところに行ってみた。どうよ?


「大反響すぎて持って来たものがなくなりました」


「それは凄いな。結構な量だったのに」


「はい。もっと持って来るんでしたね」


「まあ、仕方がないさ」


 さすがの魔法の鞄の数も容量も限られている。それは馬車も同じ。限られているのだから欲張るな、だ。


「村で買えるものはあったんでしょう?」


「はい。肉をたくさん買えました。山羊のチーズも安く手に入れられました」


 他にも芋やニンニク、その他いろいろの農作物が仕入れられたそうだ。


「町での暮らしは薪とか必要なの?」


「はい。薪売りとかよく町を歩いてますね」


 大きい町とか煤だらけだな。スモッグ公害とかあるんだろうか?


「ここで買っていったほうがいいかな?」


「住む場所も決めてないのでまだ必要ないかと思いますよ。でも、空荷もなんですから荷台の半分は積みますか。邪魔なら売ればいいんですからね」


「じゃあ、頼むよ。また五日後に来るから。しっかり休んで旅に備えてね」


「はい。ありがとうございます」


 問題なさそうなので山小屋に戻り、エリーダを肥やすとする。


 五日はあと言う間に過ぎ去り、エリーダも三十五キロとなった。それでもまだ細いが、外を駆けられるくらいにはなった。


「エリーダに背を越されるのも時間の問題だな」


 まだ頭一つ分の差はあるが、成長速度を考えたらエリーダのほうが上だ。五年後くらいにはオレのほうが妹扱いになってそうだわ。


 サーグたちのところに向かうと、いつでも出発できるくらいの準備は出来ていた。


「ゆっくり休めた?」


「はい。ただ、ここに残りたい者と我らに付いて行きたい者が出て、どうしましょうか?」


「うん? いいんじゃないの。残りたいなら残ればいいし、付いて行きたいなら付いてこればいいさ」


 オレはサーグたちの応援と人間の世界を見るのが目的だ。


 サーグたちが成功してくれるならオレの後ろ盾ともなり、いろいろ用立ててくれる支援者ともなる。長く生きなくちゃならないのならサーグたちが成功してもらわないとオレが困るってものだ。


「それに、この村は農作物や家畜が多い。繋がりがあったほうがいいでしょう。定期的に交流を持ったほうがいいよ」


 宿屋をやるなら食料供給地はあったほうがいい。誰も手を出してないのならオレたちが手を出しておけ、だ。


「確かに。なら、残る者に金を渡しておきますか」


「いいんじゃない。村長にお酒でも渡しておいてよ。懐柔しておこうか」


 安いワインでもここでは高級酒だ。五本も渡しておけば喜ばれるだろうよ。


「わかりました。それならこちら主宰で結婚式を行いますか。酒、どのくらい出せますでしょうか?」


 結婚式ね~。まあ、懐柔するにはちょうどいっか。


「紙パックのなら百かな? 足りなければもっと買うよ」


 一リットルのが千円。百パックなら十万円。倍でも二十万円。まあ、必要経費として安いものだろうよ。


「ありがとうございます。では、すぐに進めます」


 笑みを浮かべながら駆けて行くサーグ。充実しててな~。

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