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リリーフ・オブ・ザ・ライフ~inTS  作者: タカハシあん


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第25話 お風呂

 五時間くらいしてエリーダが起きた。


「……お腹空いた……」


 ヒーリング交換が出ているのだろう。顔に赤みが出てきているよ。


 お粥を温めてやり、味付けに鯛味噌を少し付けてやった。


 胃も回復してきているようで、あっと言う間に完食。バナナもパクパク食べてしまった。回復力タケー!


 腹が膨れたらまた眠りについたので、テレキボードを出してきてサーグのところに運ぶとする。


「よかった。帰って来ないから心配しましたよ」


 暗くなっても帰って来なかったオレを心配してか、たくさん火を焚いて待っていた。


「ごめんごめん。ちょっと異界人の子孫を拾ってね。空いている荷台に寝床を作ってよ」


「わかりました。すぐに」


 女たちに指示を出し、すぐに空の荷台に寝床を作ってくれた。


 エリーダを寝かせたらイーダたちに商売のことを聞かせてもらった。


「ウワサが広がっているようで、五日から十日はいて欲しいと頼まれました」


「村の連中はアタシらを歓迎しているの?」


「全員が、とは行きませんが、概ね歓迎はされています。不審なところもありません」


「捕まるようなら抵抗しないで捕まってね。アタシが速やかに助けるから」


「なにかありましたか?」


「いや、なにかあったわけじゃないよ。これは習性みたいなものさ。前の世界は殺伐としてたからさ」


 村が追い剥ぎみたいなことをやっていた。オレも情に負けて村に泊まったら魔法で眠らせられたことがあったのだ。それから歓迎してくれる村は疑うようになったんだよ。


「そのときは穏やかに対処してください。変なウワサが流れても困りますので」


「了解。見せしめは十人だけにしておくよ」


 あのときの村人は全員殺した。女も子供もだ。オレは敵に容赦はしないと決めたからな。


「……そうならないことを願います……」


「そうだね。あ、女の子の服を用意しておいてよ。アタシ、服を繕うとか出来ないからさ」


 器用だとは思うが、小学生の頃、雑巾を縫ったくらいの経験しかない。エリーダはまだ自分のことを守れないのだからこの世界の服を着させておこう。


「わかりました」


「アタシは、あの子の看病するからなにかあったら声をかけてよ」


 そう言ってエリーダが眠っている荷台に向かった。


 ぐっすりと眠るエリーダにヒーリングを掛け続け、目覚めたらお粥とバナナ、リンゴを食べさせて、二日目くらいから肉を食べさせた。


 自らもヒーリングを無意識で掛けられるようになったようで、五日目には顔がちょっとふっくらとしてきた。


「いい感じになってきたな」


 まだまだ痩せこけてはいるが、皮と骨、とは言えなくはなった。もうちょっとだな。


「食べる量も増えたし、風呂に入るか」


 軽く洗ってから八日が過ぎた。一応、体は拭いてやったが、肉も付いてきたので風呂に入れて髪を洗ってやるとしよう。髪も切ってやらんとならんしな。


 隊の女たちが用意してくれた服を持って前の川に向かった。


 前に掘った穴は残っており、水を入れ換えしてパイロで沸かした。


「お湯に入るの?」


「ああ。気持ちいいぞ。まずは体を温めるか」


 体を洗うにしてもふやけさせてからのほうがいいだろう。オレはいつも温まってから体を洗う主義なのだ。


 もう一人で服を脱げるようになったので、オレは自分の服を脱いでお湯に入った。


 大自然の中で入る風呂もいいものだよな。今は女なので周りに気を付けないといかんけど。


 エリーダも服を脱いで恐る恐るお湯に入った。


「熱くないか?」


「大丈夫」


 長く伸びた髪を頭の上で纏めてやる。オレも髪が長いからお団子ヘアーに出来るようになってしまったよ。


 十五分くらい入ったらお湯から上がり、お湯を交換する。結構、お湯が汚れたよ。人ってどこまで汚れられるんだろうな?


 パイロで温めたら桶でお湯を掬い、エリーダの頭に何度も掛けて髪の汚れを流した。


 ある程度落ちたらシャンプーで髪を洗ってやる。てか、まったく泡立たんな。それほど汚れているってことか?


 三度洗ってやっと泡立った。ふぃ~っ。


 洗い終わればバスタオルで髪を包み、今度はボディーソープで体を洗ってやった。


 垢擦りしてやりたいところだが、あまり綺麗にすると風邪を引かんとも限らない。体は段階的に綺麗にしてやるとしよう。


 また水を出してパイロで沸かし、十分くらい浸かったら上がるとする。


 パイロとテレキを合体させて熱風を吹かせ、エリーダの長い髪を乾かした。


 子供を一人、風呂に入れる大変さよ。世なお母さんお父さんは凄かったんだな。オレはもうヘトヘトだよ……。


「喉が渇いただろう。ちょっと待ってな」


 ルームに入って特濃牛乳を持って来た。オレは風呂上がりに牛乳派なのだ。


 コップに注いでエリーダに飲ませる。


「美味しい!」


 それはなにより。この特濃牛乳4.4は神である。女神と自称するクソは死ね!


「もっと飲みたい」


「ああ。でも、飲みすぎると腹が緩くなるもう一杯だけな」


 まだ腹が強いわけじゃない。あまり飲みすぎないようにしないとな。


 もう一杯注いでやり、オレも空になったコップに注いで一気飲み。生きてるって実感するぜ!

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― 新着の感想 ―
やつれた子供がフクフクしていく描写好きです。^_^ 元気になったエリーダちゃんがイエティの子供たちとコロコロ遊び回るところとか見てみたいですね。
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