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リリーフ・オブ・ザ・ライフ~inTS  作者: タカハシあん


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第17話 魔法の鞄

 頭の回るヤツはさっさと殺すのが得策。その腐った頭の中てパイロを発動させてやると、糸が切れたように倒れた。


 次の標的に意識を向け、パイロで焼いて回る──が、なかなか多い敵にちょっと疲れてきた。


 前の世界では百や二百、物の数ではなかったのに、この体だと疲れるのが早いような気がする。


 超能力がこの体に合わないのか、馴染んでないだけなのか、はたまた転生したことでレベルダウンしたのか、大人数を相手するときはよくよく考えないとダメだな。


「ハァー、疲れた」


 視界から敵がいなくなったのでパイロの発動を止めた。


 あとはレナたちに任せるとしよう。


「あ、荷物を纏めるヤツを生かしておくんだった」


 二百人ともなれば物資は凄い量となる。前は少なかったからいいが、今回は一人でどうこうできる量じゃない。片付け要員を確保しないと!


 テレポして何人か捕まえた。ふー。危なかった。


「レナ。そいつらは殺すなよ。働いてもらいたいことがあるんでな」


 足を真っ赤に染めたレナに厳命する。アドレナリンが高まっていそうだから強く言っておく。


「ここを離れた者がいるかもしれないから周囲を見張っててくれ。隠れているかもだから入念にな」


「わかった。それは殺していいのだな?」


「いいよ」


 人間にはいろいろ恨みがあるようで、レナたちは人間に容赦しない。生き残りがいたら地獄を見るだろうよ。ご愁傷様です。


「逃げたら殺す。逆らっても殺す。従うなら生かしてやる。理解出来ない人、いる?」


 なんとか集めたのは五人。もうちょっと欲しかったが、いないものは仕方がない。今いる人数でがんばってもらいましょう。


「……た、助けてくれ……」


 理解出来なかった者の頭を燃やしてやった。


「これ以上、仲間が減ると苦労するのは君たちだよ。理解出来なかった者は他にいる?」


 にっこり笑ってあげると、やっと理解してくれたようでぶんぶんと頷いてくれた。


「よかったよかった。君たちの荷物、ここに集めてよ」


 アゴで始めてと指示を出した。


 四人は元気よく働いてくれ、荷物を集め出してくれた。


 オレは魔法戦士の死体を集めて装備を外し、パンツ以外は残した。


「いいもん着てるよな」


 風呂にでも入ってんのか、体は臭くなく、着ているものも綺麗にされている。魔法で清潔にしてんのかな?


 胸を裂いて魔石を取り出す。前と同じでサイズは爪先と同じくらい。人の魔石はこれが限界なんだろうか?


 魔法戦士のパンツで軽く拭き、バケツを持って来て井戸で洗うことにする。


「おーい。集めるのは中断して穴を掘ってくれ」


 もう使い道はないし、大地の栄養となってもらいましょう。


「休み休みやっていいからね。お腹空いたらなにか食べてもいいよ」


 人数が人数だしな、一日二日で終わらないだろう。最後まで働いてもらうためによく食べてよく休んでもらうとしよう。


 四人が穴を掘っている間に集めたものの品定め。食料は使えるので別の場所に分けておくとしよう。


「お、魔法の鞄らしきもの発見伝!」


 中身を見たら黒い空間が広がっており、石を入れた黒い空間に吸い込まれてしまった。


「やはり異界人の中に魔法の鞄を創れるヤツがいたか」


 前の世界でも魔法の鞄を持っているヤツがいた。小鳥遊さんも創造系の魔法をあの女からもらったのではないだろうか? いろんな能力を与えて送り込んだって言ってたからな、あのクソ女は。


 使用者を限定しているわけではないようで、黒い空間に手を突っ込み、適当なものをつかんで出してみた。


「お、パンじゃん」


 どうやら食料を入れておく鞄のようだ。たくさんのパンや酒瓶が出てきたよ。


 魔法の鞄は一つだけじゃなく、合計で三十もあった。いや、生産してんの?! 


「輸送力があるってわけか」


 異界人で創造系魔法を持っていて、輸送の大事さを知っているか。こりゃ、厄介な存在のようだ。


 伊達に三年も生き抜いたわけじゃないようだ。小鳥遊さん、スゲーよ。まだ生きてんのかな?


 おそらく生きてんな。創造系魔法なら寿命を伸ばすことも可能だろう。理不尽な死を強いられたのなら次は長生きしたいって思うだろうよ。オレは別に思わんけど。


「君たち。これの使い方知ってる?」


「は、はい。補給部なので」


 答えたのはまだ少年って呼んでもいいくらいのそばかすくんだった。


「人のこと言えないけど、君、若いね。まだ十代でしょう。よくこの一団に選ばれたね」


「魔力を持っていたのでマジックバッグの管理者に選ばれました」


「なるほど。所有者の魔力で動くタイプか」


 一度創れば永久的に使えるものなんてない。籠めた魔力がなくなれば使えなくなるものだ。その辺は上手く出来てんだよな。ふざけた能力を与えても維持させないようにしてんだからよ。


「管理者から勝手に魔力を吸い取るの?」


「はい。そうです」


 なら、ペガサスに持たせれば魔力供給は出来るってことだ。


「管理者は君だけ?」


「そこのルージーも管理者です」


 少年の視線を追うと、赤毛の少年、いや、少女か? 男っぽくしているが、よくよく見れば少女なのがわかった。


「こんなところまで女の子を連れて来るとは」


「魔力を持つ者は貴重な存在ですから」


「出世とかしやすいの?」


「貴族でない者はそうでもないです。おれたちは妾の子だったりしますので」


 なるほど。だから雑に扱われるってわけか。

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