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リリーフ・オブ・ザ・ライフ~inTS  作者: タカハシあん


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第13話 タカナシ

 何度も狩りで成長した子供たち。五年目の子と四年目のロックは一人前と言ってもいいだろう。大人たちにも負けてない成果を出しているよ。


 もうオレがついてなくてもいいので、また山小屋へと行ってみる。


 薪をルームに入れてテレキボードで向かった。


「ん? 黒煙?」


 遠くに黒煙が上がっているのが見えた。なんだ? 火事か?


 もう秋だっていうのに可哀想に。がんばって冬を越えてくださいな。


 薪を小屋に出し、外でコーヒーを飲んでいたらペガサスがこちらに飛んで来るのが見えた。なんだ?


 明らかにこちらに向かって来ているな。暖炉の煙に気がついたか?


 なんだろうな? って眺めていたらペガサスの背に人間が乗っていた。明らかに人生をナメたような顔をしていた。


「こんなところにガキがいるとは。バケモノか?」


 金属の鎧を纏いながらよくペガサスは飛べるものだ。どんな体の構造してんだか。


「そうだね。あながち間違ってはいないよ。よくそんな存在の前に現れたものだ。なにか特別な力でも持ってんの?」


「そうだな。こんな力を持っているよ」


 と、手のひらに火の玉を作り出した。


「へー。この世界にも魔法があったんだ。もしかして、異界人の末裔とかなの?」


「そうだ。偉大なる魔法使い、タカナシの末裔だ」


 タカナシ? 小鳥遊のことか? 小鳥遊さんは、魔法を与えられたヤツもいたんだ。それでも死ぬとかゴブリン駆除ってそもそも鬼畜ゲーだったのでは?


「ふふ。小鳥じゃなくペガサスってのが笑えるよ。天馬に変えたら」


 天馬が遊ぶでタカナシと呼べばいいんじゃね?


「……お前、異界人か……?」


「そうだよ。ほら、黒目でしょう。気がつかなかったの?」


 視力、悪い系?


「こいつはいい。連れて帰れば出世間違いなしだ」


 どんだけ自信があんだ、こいつは? 相手の力量もわからんのか? って、今のオレ、女の子で見た目は十歳くらいだったわ。


「女の子を拐うとか万死に値するよ」


 絵に描いたようなカスで逆に笑ってしまうな。


「異界人って、ゴブリンに負けたヤツが転生したんだろう? 魔法戦士として鍛え抜いたおれに勝てるわけないだろう」


 その末裔が自分だってわかってる?


「その小鳥遊さんは、何年生きたて何匹駆除した人?」


「三年生きて四万匹を倒したそうだ」


「へー。三年も生きれたんだ。なかなか優秀じゃん。強い魔法をもらったんだね」


 あのクソ女の話では三年以上生き抜いたのは三人で、ほとんどは一年もしないで死んでいたと言ってたっけ。三人の一人が小鳥遊さんなんだ。まあ、知ったからなんだって話だけどよ。


「そうだ。魔法に長け、一族に偉大なる力を授けてくれた。火を出すだけではなく拘束することも魔法もあるぞ」


 男の指先から光の線が出てオレに巻きついた。


「それを力で破ることはできん」


「じゃあ、これでは──」


 男の心臓をテレキで絞め上げてやった。


「────」


 苦しみ出す男。光の線が霧散した。


「オレもその世界で二年半は生きてきたんだよ。魔法を使う相手ともあったし、魔法と戦う術も学んだ。状態を維持する系の魔法は術者の意思が途切れると消えてしまう。小鳥遊さんは知らなかったのかな?」


 知らなかったんだろうな。対策をとってないところをみると。


「そして、殺すなら殺される覚悟を持てと教わらなかったのかな?」


 それも教わらなかったんだろう。


「オレは自ら学んだよ。殺しに来たヤツは殺して構わないってね」


 心臓を握り潰してやった。


「だから腐れ外道は嫌いなんだ」


 コミュ症ではあるが、腐れ外道をオレは人とは認めない。ゴブリンより劣る下劣な生き物だと思っている。そんな生き物に一切の情をかけてやるつもりはない。惨めに死ね、だ。


「使えそうなのはあるかな?」


 腐れ外道に配慮は不要。死んでも仏にはならない。肉体はただ生ゴミ。着ているものは資源。いらないものは可燃物。金貨は大事に使わせてもらいます。


「そうだ。魔法が使えるなら魔石があるはず。──あった」


 心臓辺りを切り裂くと、青い魔石が現れた。


「意外と大きいじゃん」


 爪先くらいある。下手な魔物より大きかった。


「魔石があるなら魔法使いに売れるな」


 前の世界では魔石は魔法使いにとって外付けタンクみたいなところがあった。他に異界人がいれば喜ばれるだろうよ。人間の、ってのに抵抗がなければ、だけど。


 オレはまったく気にしないので血を払ったらポケットに入れた。


「魔法の鞄とかはなさそうだな」


 あれば欲しかったな~。前の世界ではあったのに残念だ。


 剥ぎ取ったものをルームに運び入れ、またコーヒーを淹れて一服する。


「わたしは無視か」


 突然、女性の声がした。はぁ?


 カップを捨てて捻りナイフを抜いた。他にもいたのか!? どこだ? まったく気がつかなかったぞ!


 辺りを見回すが、誰もいない。そもそも隠れる場所はない。げ、幻聴だったのか?


「わたしだ。お前の目の前にいるだろう」


 いるのはペガサスだけ。え、お前が話しかけてきたの? てか、しゃべれんの?


「やはり異界人にはわたしの言葉がわかるようだな」


 は、はい。わかっちゃったりするようです……。

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