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リリーフ・オブ・ザ・ライフ~inTS  作者: タカハシあん


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第11話 ファンタジー

 これと言ったこともなく一年が過ぎ、この世界で二度目の春がやって来た。


 今年の冬はそこまで雪が多くなく、暖かい日も多かったので過ごしやすかった。自然とは気まぐれなもんだよ。


「小屋の周りも発展したな」


 降ってもテレキで雪かきしていたのでイーダたちも活発に動いており、冬の間に小屋が十軒も建ってしまったよ。


「もう村だな」


 外敵もいないので柵で囲うこともなく、夜に見張りに立つこともない。そのせいか、去年は六人も子供が産まれたよ。お盛んだよ。


「久しぶりに前に住んでいた村にでも行ってみるか」


 外の様子も見ておかないと時代に取り残される。突然、侵略者とか来たらイエティには成す術もなかろうて。銃とか持たれていたらオレでも危ういからな。


「イーダ。前に住んでた村まで行って来る。なにもなかったら五日くらいで帰って来るよ」


「わかった。無事帰って来てくれ」


「あいよ」


 サーフボード改めテレキボードに乗り飛び上がった。


「どっちだっけ?」


 二年も前になるからどっちだったか忘れちゃったよ。


 とりあえず上昇して山の配置を見て思い出す。たぶん、あっちだ。


 方向を変えながらなんとか山間を抜け、平地に出た。


 一旦、地上に降りて遠視をするが、前に立てた棒がないのか全然見えない。まあ、去年はあの豪雪だったしな。倒れたり腐ったりしても仕方がないか。


 地上に人がいても見つからない高度で飛び、見覚えのない森が見えて来た。


「村とは違うほうに飛んで来たか?」


 まっ、構わないか。いろんなところを見て回るつもりだったしな。


 しばらく飛んでいると、左手に煙が上がっているのが見えた。村か?


 そちらのほうに方向を変える。


「お、やっぱり村だ」


 村と言っても小さな村だ。建物も十数軒だけ。柵に囲まれていた。開拓村かな?


 周辺を見回すが、煙が上がっているのはここだけ。近くに村はないようだ。よくこんな辺鄙なところに住んでいるものだ。


 村で動いている者は見て取れない。なにを仕事にしてんだろう? 


 方角を確認したら山に向かう。


 頂上に石を集めて山にし、そこに棒を突き立てる。ここを起点に周辺を調べるとしよう。


「まずは石の小屋を建てるか」


 石を集めてセメントをこねて二畳くらいの小屋を作った。


「ん? なんだ?」


 小屋の上でコーヒーを飲みながら一服してたら空をなにかが飛んでいるのが見えた。


「ペガサス?」


 みたいなのが団体で飛んでいた。


「この世界どうなってんの?」


 前の世界もいろんな種族がいたが、そこまでファンタジーではなかった。てか、この世界で知的生命体を繁栄させなくていいのか? あの女にとってこの世界はなんなんだ?


 ペガサスはこちらに気づくことなく飛び去り、空の彼方へと消えて行った。


「そう言えば、この世界も空を飛ぶ鳥が少ないよな。どんな進化論が働いてんだ?」


 まったくいないってわけじゃないが、地球のように普通に見れる頻度ではなかった。お、珍しい、って感じだった。


「地球が異常だったのか?」


 まあ、世界の謎を解きたいわけじゃないしな、なんでもいっか。


 コーヒーを飲んだら小屋の周りを整備して四メートルくらいのポールを立てた。


 風が強いので針金で四方に張って固定する。これならちょっとやそっとの風では倒れまいて。


 その日はホームに入って一泊。セメントを買って外に出た。


 標高があるので壁も作っておくとしよう。あ、暖炉も必要か。ちょっと大仕事になりそうだ。


 三日ほど山小屋に泊まって拡張していった。


 一人が住むには充分なスペースが取れ、暖炉もちゃんと燃えててくれる。


「一旦帰るか」


 薪も欲しいし、そう急ぐこともない。方角を確かめながら戻り、棒を突き刺しながら帰った。


 それから定期的に通い、夏までに小さな灯台を作るまでに至った。


「なかなかの出来だ」


 自分でも満足な出来に笑みが溢れてしまった。


「山は夏が終わるのが早いな」


 まあ、元々ここの夏は短く、気温も二十度に上がることは少ない。普通の人間なら生きるのは大変だろうよ。オレも大体は厚着をしているからな。冬になったら使い捨てカイロは必需品だ。


「冬になったらここも埋もれてしまうんだろうか?」


 ここでも二千メートル以上はある。ちなみにここにはもっと高い山がたくさんあります。行ったことはないけどな。登山の趣味はないし。


 夏と秋は本当にあっと言う間に過ぎるよな。よけいに一年が早く過きてしまう感じだよ。


 本格的な冬籠もりの準備が始まり、出来た頃には雪が降って来た。


「また子供が産まれたんかい」


 洞窟に行ったら一メートルくらいの子供が四人もいた。毎年産んでね? そんなに産んで大丈夫なのか?


「洞窟暮らしも大変じゃないか?」


 ここは五十人がギリギリって感じだ。小屋の周りにも住み出したから問題はないと思うが、この調子で増えていったら洞窟を拡張するか新しい家を建てるしかないだろうよ。


「そうだな。マリーダのところを村にしてもいいか?」


「別に構わないが、大雪のときは大変だぞ。住むなら半地下の家がいいかもな」


 指輪物語で観たホビットの家みたいのがいいんじゃないか? 冬の間に一つ作ってみるか。イエティの家らしくていいんじゃないか?


 ふふ。冬の楽しみが出来たぜ。

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