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第一章 第一話 「暗殺者」

俺の名前はヴィルヘルム。


元は捨て子だったが、師匠に拾われてそう名付けられた。

しかし育ての親である師匠には感謝の気持ちなどない。

なんせ暗殺者(アサシン)の卵として15年もの間、人里離れた山奥で虐待じみた育てられ方をしてきたからだ。


しかも師匠、いやクソジジイにとって俺は自尊心を満たす為の道具でしかなく、俺を天才暗殺者として育てることで自身が所属する暗殺者ギルドに自慢したいだけなのだ。

幼い頃は置かれていた環境に全く疑問を持たず、言われるがままに人の道を外れた異常な鍛錬を続けていた俺だが、ある事件があって俺は前世の記憶を取り戻した。


前世で会社員だった俺は交通事故でトラックに激突され、この世界に転生したらしい。

当時7歳だった俺は暗殺者として天賦の才があったが、自我を取り戻してからは絶対に暗殺者などにはなりたくないと思った。

まず第一に日本人として普通に人を殺すのに忌避感がある。

そして第二に自由に生きてみたいと言う願望がある。

だって異世界転生だぜ?!

この世界魔法とかあるし魔物もいれば冒険者とかもいるんだよ!

せっかく生まれ変わったからにはこの人生絶対に謳歌してやる!


しかし元暗殺者であるクソジジイに逆らうには身体が未成熟すぎたし、クソジジイのせいで既にどっぷりと浸かってしまったこの世界から足を洗おうとすれば追手の暗殺者を差し向けられることは火を見るより明らかだった。

暗殺者ギルドは少数精鋭の秘匿主義なのだが、ジジイに顔見せと称して俺の天才っぷりを見せつけるために幼い頃から出入りさせられたせいで見なくていいものまで色々とバッチリ見てしまったのだ。クソが。


とにかく俺は今日まで、生き残りつつ逃げ抜くために鍛錬自体には更に力を入れながらも色々と準備を進めてきた。

今日は15歳の誕生日で、正式に暗殺者ギルド入りする試験が行われる。

前線を退いて長い癖に無駄に強いジジイの傍を離れられる今日こそが最大の逃走チャンスなのだ!

3歳下の妹弟子をこいつのところに置いていくことだけがちょっと心残りだが、俺以上の天才だし俺と違って暗殺者になりたいみたいだから大丈夫だろう。


ーーーコンコン


「…ヴィルヘルム、準備は良いか」


「はい師匠、今行きます」


俺は呼びにきたクソジジイに返事をして今日のためにこっそり用意していた一式を背嚢に詰めこむと、15年を過ごした何の思い入れもない小さな部屋を後にした。

今回こそちゃんと頑張って連載します

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