婚約破棄をしたが、逆に断罪をされて追放された皇子の話
「第一皇子よ。追放する。皇位継承権剥奪の上、廃嫡、辺境の開拓村で平民として生涯を過ごせ」
「陛下、私はイジメをするエリザベスを窘めただけです」
「もう、良い。フリップス公爵令嬢は、第二王子と婚約、第二王子が皇太子に指命されるであろうよ」
「連れて行け」
「「はっ」」
サリーは付いて来てくれるのだろうか?
「皇子、いえ、ルドルフ様、サリー嬢は逃亡、どうやら、我が帝国から独立を企てている商業連合のハニートラップだったようです。マン男爵家は・・正妃様の息が掛かった家で、どうやら・・フリップス家も含めての謀略の匂いがします」
そんな。我は、間違っていたのか?エリザベスにイジメられていると、サリーから報告を受けたから、我は、卒業パーティの場で、婚約者を断罪。婚約破棄の上、国外退去を命じたが、衛兵は動かず。我の腹違いの弟、正妃腹の第二王子が、出てきて、我の断罪が始まった。イジメはサリーの証言のみであることを看破された。
更に、父上と正妃が来られて、逆に罪を宣言されてしまった。
我が母上は側妃だった。母上が生きておられたら、どんな状況だっただろう。
将来の側近候補は、我が、サリーと親密になるなと苦言、いや忠言を言い。我が、遠ざけたのだな。
母上は伯爵家出身、側妃から生まれた我では、エリザベスと結婚する以外に、王位に就任することはできなかったとシミジミ思う。
☆1年後、辺境の開拓村。
「あ~過去の事を考えても仕方がねえ。やってられるか!ソフィー、弓と矢を持ってこい!魔害獣を討伐するぞ!」
「はいよ、ルドルフ君」
「お~ら、畑を荒らす魔物よ。森に帰れ!」
ヒュン、ヒュン
「ギャァ」
「グヘ」
「ルドルフ様は百発百中だ。俺らも続くぞ!」
「「ヨッシャーーーー」」
・・・私は村長だ。一時はどうなる事かと思った。元皇子を預かれと勅命が来た。
逃がしたら、村ごと処罰される、ここから、最も近い村まで、3日掛かる。
だから、ここは罪人流しにもってこいの村だと思われた。
あの馬鹿皇子、最初に来た時、何て言ったと思う?「従者とメイドはどこにいる」だ。
目眩がした。
だが、我が娘ソフィーが機転を利かせた。
「ルドルフ君は、騎士様の野営したことないんだぁ?ここは騎士様の野営で暮らす村なんだよ。都会育ちの君じゃ。無理かな。可哀想だね」
「何?我を何だと、思ってやがる。騎士団の実習訓練ぐらい朝飯前だった!」
「うわーすごい、ルドルフ君が、ここまで出来るなんて、私は何てことをルドルフ君にいってしまったの」
シュンと床に座り込みソフィはうなだれた。
「ハハハハ、な~に、炊事洗濯はソフィー嬢が教えてくれたから出来たのだ。気にすることはない!」
☆
「え~とルドルフ君、近所のお婆ちゃんの畑を耕してくれる紳士を探しているけど、紳士はどこにいるか知ってる?」
「何だと、我に聞くとは!やってやる!」
「キャールドルフ君、すごい、優しい!立派な紳士ね」
「は~皇子様、ありがとうごぜえますだ」
「うむ、これからも頼るがよい!」
☆
「入会地の手入れ、魔物が出るから強い人探しているけど、ルドルフ君、知っている?」
「やってやるとも!」
☆
「草刈りは」
「朝飯前だ!」
☆
「え~と、収穫は」
「おう、任せておけ!」
「大変、収穫を狙って、畑に、魔害獣が出た。ルドルフ君、私が戦うからルドルフ君避難して!」
「何だと!我に避難しろとは、やってやるとも!」
「ガオー」
「エイ、ヤー」
「ギャ」
「すごいー魔アナグマを退治するなんて、これでお肉が食べれるよ」
しかし、これで良いのか?と思うぐらい、この手が一年通じた。
全く、何て、馬、いや、猪突猛進な方なのだ。
しかも、奴、ゴホン、元皇子は顔だけは良い。支配階級の特権、武術もやっていたから
村の若衆よりも強い。
この村ではモテにモテてやがる。
「「キャールドルフ君―――――」」
「おう、ご令嬢たち、今日は天気がいいなー」
「何?一緒にピクニックに行こうだと、どうしようソフィ」
プイ「好きにすればいいよ」
「ちょっと待て、ソフィーよ」
☆☆☆1年後
カーンコンカーンコン
「え~病めるときも健やかな時も・・・・この結婚に異議のある者は申し出よ」
「ちょっと、待ちなさい!」
「異議あってよ!」
ルドルフとソフィの結婚式に元婚約者と男爵令嬢が現れた。
「殿下、帰れるのよ。第二皇子が亡くなったの。貴方が唯一残った直系男子よ!私と一緒に帰りましょう」
「ちょっと、待ちなさい。王妃の奴、商業連合の独立の約束を反故にしやがった。この機を逃すわけにはいかないわ!商業都市連合の独立の旗頭になってよ。殿下は私と結婚するのよ!」
「お前ら、何言ってる。我は父上の命令によりここで一生過ごすと決まっておるわ」
「私がイジメられているのを助けてくれたじゃない!今度も助けてよ!」
「あれは嘘だったんじゃーないのか?」
「嘘だけど、嘘じゃ無い。学園で平民派と貴族派でバッチバチでやり合っていたのよ!貴方は知らなかったでしょう!」
「あら、私は人の証言だけでは信用できないと言っただけよ」プイ
「おい、エリザベス、いや、フリップス公爵令嬢よ。弟が亡くなったら大公殿下の子息が王位を継ぐのではないのか?」
「大公殿下の令息には、婚約者がいるの。それに、殿下と違って馬鹿ではございませんわ。ハニートラップは効きませんのよ。ね、サリーさん。(クス)。それで、貴方と再婚約をすれば皇宮に残れるのよ。公爵閣下が後ろ盾になるわ。どう、悪い話ではございませんこと?」
「ピギーー、悪役令嬢め。余計なことを」
「直球だな!」
「なあ、ソフィよ。どうしたらいい?」
「う~ん。大伯父様に聞けばいいと思うよ」
「「!!!」」
前辺境伯が現れた。元皇子の監視役だ。結婚式なので出席していた。
「今日はめでたい席だ。帰れ。帰らないと、魔物追物の代わりに矢を射かけるぞ!」
「ヒィ」
「キャ」
二人は慌てて逃げ出した。
「なあ、ソフィよ。我は一生お前の言う通りに動くぞ!」
「あ、それ、やめて、重いよ。ほどほどが良いよ!」
うむ、私は前辺境伯だ。第一皇子だったルドルフから権限が無くなったら、余計なことをする馬鹿から、ただの馬鹿になったな。いわゆる怠け者の馬鹿。これで良いのか?
その後、帝国は若干の混乱が生じたが、大公の令息が帝位を継いだ。内乱が起きなかったのは、元第一皇子が帝都に帰還しなかったおかげだと言う者もいる。
最後までお読み頂き有難うございました。