助かった様です
どれくらいの時間が流れただろう。もう永遠にすら感じられるこの時間。
体中には激痛が走り、ついに吐血してしまった。もしかしたら、もうすぐ私は、天に召されるのかもしれない。
最後にライアンに一目だけでも会いたかったな…
その時だった。
「マリア、大丈夫か?」
この声は、ライアン?そんなはずはない、こんな辺鄙な場所にライアンがいるなんて。きっと会いたいという強い思いが、幻想を見せてくれているのだろう。
そう思ったのだが…
バリバリっと、勢いよく扉を壊す音が。
「マリア!!!」
目の前に現れたのは、やっぱりラアインだ。
「お前…なんて事だ!おい、今すぐ医務室に行って、医者をかき集める様伝えてくれ。マリア、しっかりしろ。すぐに助けてやるからな」
近くにいた男性に指示を出すと、私を抱きかかえたライアンが、走り出した。ふと空を見ると、薄暗くなっていた。
「すまない、俺が目を離したばかりに。とにかく、すぐに楽にしてやるからな」
「ラ…イ…ア…ゴホゴホ」
「バカ、無理に話すな。吐血しているじゃないか。クソ、どうしてこんな事に。マリア、ごめんな。もう二度と怖い思いをさせないと約束したのに…本当にごめんな」
何度も謝るライアン。その時、私の頬に冷たい水滴が落ちてきた。雨?
ふと顔を上げると、ライアンが泣いていた。ライアンが泣いている。ライアンが泣いた姿なんて、初めてみた。
…いいえ、違うわ。私が誘拐されたとき以来だ。
”ごめん、マリア。俺が非力なばかりに、お前に怖い思いをさせてしまった。俺、絶対に強くなって、マリアを守るから。だから、もう二度とあんな怖い思いはさせないから”
そう言ってポロポロと涙を流していた。
あの後すぐに騎士団に入団したライアン。もしかして私を守るために、騎士団に入団したの?
なぜだろう、苦しくてたまらないのに、あの時の記憶がはっきりと蘇って来たのだ。
そうか、ライアンはあの時から、ずっと私を守ってくれていたのね。それなのに、私ったら…
ライアンにあなたは悪くない、私が何も考えずに行動したから悪いの。そう言いたいが、話すことが出来ない。
そうしている間に、医務室に着いた。既に何人もの医師が待機していた。
「この症状は、きっと毒を飲まされたのでしょう。とにかく、すぐに毒を特定しないと」
目の前で医師たちが慌ただしく動いている。その間も、体中が痛くてたまらない。あまりの痛さに、うめき声を上げながら涙を流す。
「マリア、痛いのか?苦しいのか?クソ、頼む、早くマリアを助けてくれ。このままでは本当にマリアが死んでしまう」
必死に医師に縋りつくライアン。私…本当にもうダメかもしれない…
「毒が分かりましたよ。すぐに解毒剤を作りますから、もう少しだけ我慢してください」
私に向かって話しかけてくれる先生。そして…
「よし、完成したぞ。もう大丈夫ですよ。すぐに楽になりますから」
そう言うと先生は、注射を打った。注射なんて大っ嫌いだったけれど、体中が痛すぎて、正直注射の痛みなんて感じなかった。
でも解毒剤を打ってもらっても、まだ息苦しくて体中が痛い。
「おい、マリア。大丈夫か?先生、まだマリアが苦しそうだぞ。一体どうなっているのですか?」
心配そうな顔で私の手を握ってくれるライアン。
「そんなにすぐに解毒剤は効きませんよ。少しずつ効いてくるはずです。それから、マリア嬢に使われていた毒はちょっと厄介で、解毒する際激しい眠気に襲われます」
先生が言った通り、次第に痛みが和らいできて、呼吸もしやすくなってきた。ただ、それと同時に、強い眠気に襲われる。
「ライアン…ありがとう…あい…して…い…」
どうしても気持ちを伝えたくて、“愛している”と言おうとしたのだが、先生が言っていた通り、激しい眠気に襲われてしまい、そのまま私は意識を手放したのであった。
次回からしばらくライアン視点で話が進みます。
よろしくお願いしますm(__)m




