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次は絶対に幸せになって見せます!  作者: Karamimi
本編

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35/62

どうか諦めて下さい

「待って、どうして泣いているのだい?」


私の腕を掴んだのは、ヒューゴ様だ。


「申し訳ございません。何でもないのです。どうか私の事は放っておいてください」


「放っておけるわけがないだろう?初めて君に会ったあの日の夜も、君は悲しそうにしていた。それに僕の誕生日の時も、泣いて出て行ったではないか。君は一体何を隠しているのだい?どうして僕をそこまで頑なに拒否するのだい?」


ポロポロと涙を流す私に、必死に訴えてくる。


「頼む、何か隠しごとをしているのなら、どうか教えて欲しい。そうでないと僕は、君を諦める事が出来ない。このままでは僕は、ずっと前に進めないんだ」


ずっと前に進めないか…


「もし…過去に戻れるとしたら、ヒューゴ様は戻りたいですか?」


真っすぐとヒューゴ様の目を見て、そう聞き返した。


「過去に?君は何を言っているのだ。それに今、僕の事を名前で呼んだよね?」


「実は私は今、2度目の生を生きているのです。1度目の生の時、14歳になったばかりの私は、王宮でデビュータントを迎えました。そしてそこであなた様に出会ったのです。迷子になってしまった私を、あなた様が助けてくれました。初めての王宮で迷子になった私を少しでもリラックスさせようと、“月がとっても綺麗だよ”そう言ってほほ笑みかけて下さいました。その笑顔を見た瞬間、私はヒューゴ様に恋をしたのです」


目を大きく開き、固まっているヒューゴ様。さらに私は話を続けた。


「私はどうしてもヒューゴ様と結婚したくて、すぐにお妃候補になりたいと父に頼みました。そして15歳の誕生日の時、無事お妃候補に選ばれたのです。それ以降、王妃になる為、必死に頑張りました。そして念願かなって、私はあなた様の正室として輿入れしたのです。でも…」


「でも?」


「あなた様は結婚後、一度も私を訪ねてきてくれることはありませんでした。6年間一度も…寂しくて孤独で、自分の生きる意味が分からなくなりました。私はただ、ヒューゴ様に愛されたかっただけなのに…他の貴族の友人たちは子供も生まれ、幸せに暮らしているのに…その時思ったのです。もう一度人生をやり直すことが出来たら、今度は私だけを愛してくれる人と結婚したい。そして温かい家庭を作りたいと…そう願いながら、私は眠りについたのです。そして次に目覚めた時、14歳のデビュータントの日に戻っていたのです」


あの時の苦しみは、今思い出しても胸が張り裂けそうになる。もう二度と、あんな思いはしたくない…


「自分が14歳に戻った事に気が付いた時、もう絶対に間違えない、今度こそ幸せになる!そう心に誓いました。ですから、今回の生であなた様を愛する事はありません。あなた様を見ると、あの時の辛かった時の記憶が蘇るのです。あり得ないと思うかもしれませんが、これが私が隠していた事実です」


あの時の感情が再び蘇り、涙が次から次へと溢れ出した。


「すまなかった…その、君のいう事を信じるよ。そうか…以前の僕は、君をそこまで傷つけてしまったんだね…6年間もずっと僕を待ち続けてくれていたのに、僕はなんて酷い事をしてしまったんだ…」


ヒューゴ様までポロポロと涙を流している。


「私の話しを信じて下さり、ありがとうございます。でも、1度目の生の時の私は、あなた様と結婚したい一心で、先陣を切ってマウントを取り合っていましたし、何よりあなた様が心から愛していたクラシエ様を傷つけました。だから、私がヒューゴ様から愛されなかったのは当然なのです」


「クラシエ嬢?どうして彼女の名前が出てくるのだ?」


「あなたは1度目の生の時、クラシエ様を心から愛していたのです。私と結婚した後、クラシエ様を側室として迎え、何人かの子供を産んでおりましたので。正室である私には子供はおりませんでしたので、きっとクラシエ様の子供が、次の王太子になっていたでしょう」


「そうか…僕はあの女に夢中になっていたのか…本当に1度目の生の僕は愚かだったのだな…そもそも、どんな理由があるにしろ、正室でもある君をないがしろにするなんて…君が僕とだけはもう結婚したくないと思う理由もわかるよ…本当にすまない。謝っても許されるとは思っていないが、今この場で謝罪させてくれ」


深々と頭を下げるヒューゴ様。


「どうか頭をお上げください。ただ…もし私に少しでも悪いと思ってくださるなら、どうか今お妃候補に名乗りを上げている令嬢たちを大切にしてあげて下さい。彼女たちもきっと、1度目の生の私と同じように、あなた様を愛していると思います。ですから、どうか彼女たちを平等に愛してあげて下さい。お願いします」


もう二度と私と同じ思いをする令嬢を作りたくはない。そんな思いから、ヒューゴ様に深々と頭を下げた。


「わかったよ。それにしても、君は本当に心の優しい子だね。どうして僕は、1度目の生の時、君を大切にしなかったのだろう…本当に自分の愚かさが嫌になる。でも、これも僕が背負った罪なのだろう。そうか、君に初めて会った時、なんだか懐かしい感じがしたんだ。きっと1度目の生の時、会っていたからなんだね」


そう言って、ヒューゴ様は寂しそうに笑った。


「ありがとうございます。ヒューゴ様。それでは私はこれで」


「ああ…あの、マリア嬢。今日は話してくれてありがとう、これで僕も、前に進める気がするよ…」


「こちらこそ、話しを聞いてださり、ありがとうございました。なんだか心が軽くなりました。どうかヒューゴ様も、お幸せになってくださいね」


「君って子は…最後まで僕の心を乱すのだから…」


そう言って泣きながら笑ったヒューゴ様。私が一番最初に愛した人、どうか幸せになってください。


心の中でそっと唱え、その場を後にしたのだった。

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