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侵された樹海と琥珀色の希望  作者: 鹿方剛助
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第4章~魔操虫への道、仲間たちとの出会い~

 大きな木の前にある虫達の集まる広場。そこにてカブトムシのノブナリとミークヒラタクワガタのサクトが虫達に紛れて歩いていた。サクトの隣を歩くノブナリはどこか疲れており。対するサクトは平然とした様子であった。


「風は雷に強くて、雷は氷に強くて、氷は土に強くて、土は炎に強くて、炎は風に強くて、光と闇は両者が弱点同士、・・・うう~、覚えきれるのかこれ…。」

「・・・。ホネートルと対峙していた時の君はどうしたってのさ。他に魔の力の危険性とか、魔の力の成り立ちとか習ったでしょ?」

「魔の力の成り立ちってのは一応覚えているぞ。2013年に外界生物が虫達に襲撃し始めたことから始まったんだよな?確か、その祖が俺と同じカブトムシの、チョウカイなんだったっけか?」

「うん。話では彼は喧嘩は三流だったけど頭を使うことに関しては秀でていたらしいからね。・・・魔の力の危険性は?」

「確か、前足の方についている装備に一撃が加えられると化け物に変化するんじゃなかったか?」

「君、ナニかと間違えてるんじゃない?自分の魔法を相手に返されるか僕達の鞘羽に刻まれている紋章に強い衝撃が加えられると体から角が生え化け物へと変貌するんだよ。・・・その時の介錯方法として自分の持っている最上級の魔法で介錯対象を攻撃する方法が取られているんだ。」

「あ、ありがとうな、サクト。」


 おさらいのような事を話し合うサクトとノブナリ。そこへスペキオシスシカクワガタと似た容姿を持つカワノエシカクワガタが通りがかる。


「あっ、新入り達じゃないか。調子はどうだい?」

「あ、こんにちは。えーっと・・・すみませんが貴方の名前は…?」

「オオっと、ごめんね。僕の名前はポーナル。ボイレアウシカクワガタのシリス、チュウゴクシカクワガタのチョーロン、アマミシカクワガタのカズキと一つのグループを組んでいるんだ。リーダーはチョーロンだよ。あと僕の属性は雷。これからよろしく。」


 カワノエシカクワガタのポーナル、彼の言葉に挨拶をするサクト。その後に投げかけたサクトの質問にポーナルはそう答えた。

 少しの間会話を交わすサクト達。外界生物と戦うコツ、今までどんな敵と戦ってきたか。そんな様々な事を話し合った後。ノブナリとサクトはポーナルと別れを告げた。

 その次にノブナリ達を待っていたのは実地訓練。青木ヶ原樹海の一角に出現した、鋭いかぎ爪のような突起物をはやした哺乳類型の外界生物を相手にしての訓練だ。・・・その外界生物の名はハクイツノ。・・・葉っぱを餌とする昆虫達にとってこのハクイツノという外界生物は餌を奪いむさぼり食らう邪魔な存在であり。その昆虫達からカマキリやカミキリムシに対し討伐依頼が来ていたのだが。そのかぎ爪のような突起物によって攻撃を弾かれてしまいカマキリやカミキリムシは諦めざるをえなかった。・・・そのためにノブナリ達魔操虫に呼び声がかかったのである。・・・なお、場にいるのは5匹。ノブナリとサクトは別々の任務を請け負うことになり、ノブナリのほかにこの場にいるのは茶色がかった体のアローコクワガタのジョージ、褐色の体をしたミラビリスノコギリクワガタのポランスキー、同じくちゃいろのからだをしたラフェルトノコギリクワガタのトラフェスに黄色の短い毛の生えた二本の角が特徴的なヒナカブトのウラディス。・・・それらを率いるのは新入りの教育を担当しているアクティオンゾウカブトだ。

 ハクイツノへと攻撃を仕掛け始めるノブナリ達。ハクイツノも反撃せんとそのかぎ爪のようになっている突起物を振り回すものの、魔操虫たちにとっては無意味も同然の物だ。

 雷に風、氷と様々な攻撃を仕掛けていく魔操虫達。その訓練も終わらせたのち。木の皮を器にしてスラグナーの死体の一部を餌にした。

 その色は黄金色。・・・蜜のような味の中にコクがあるといわれる逸品だ。


「たまらないな!これは!」

「ああ。デザートにはもってこいだぜ!」


 喜んで餌にありつくノブナリたち。彼らがスラグナーの死体の一部をなめてしばらくしたその時。一匹の甲虫が彼らの前を通りがかる。・・・その甲虫は大あごの根元の方に斧のような突起のついたクワガタムシ。・・・プラティオドンネブトクワガタ。

 その甲虫の姿を見るとほぼ同時に、ノブナリの隣にいたヒメオオクワガタのカツナリがどこか興奮したかのような様子で声をかける。


「せ、精鋭部隊のアクラスさんですよね!?」

「自分か?・・・せやで。・・・周りの者たちは・・・精鋭部隊ともてはやされとるけど。自分はそないな大したことのない、ただの魔操虫や。・・・精鋭部隊に入っているのも、ただのまぐれやで。」

「う、うわぁ!ほ、本物だぁ!簿、僕あこがれだったんですよ!貴方のことが!」

「・・・?自分の事が?ありがと。まあこないなじぶんでも・・・尊敬してくれるんやったらうれしいで。」


 ヒメオオクワガタのカツナリの言葉に、気だるげな様子でそう返すプラティオドンネブトクワガタのアクラス。その後そのアクラスというクワガタムシはスラグナーの死体の一部を木の皮の器に乗せ。それを餌に食事を始めた。

 その翌日。ついにノブナリは・・・グループの内の一匹として初めて任務を遂行することになる。

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