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第18話~忌まわしき記憶、キトスチューム・ブーラとの因縁~

 キトスチューム・ブーラとの戦い。ブラゼルは自身が過去に戦った時のことを思い返していた。

 …いや、あれは戦いというよりも、ただの蹂躙に近しいものだったかもしれない。まず最初に殺された…否、あれは食われたといった表現が近しい事になったのは…教官のジュダイクスミヤマクワガタ。

 猫の着ぐるみの頭部、その隙間から職種のようなものが伸び、ジュダイクスミヤマクワガタのその胴体にぐるりぐるりと巻きついて。猫の着ぐるみの頭部の隙間へと吸い込まれていった。…そのあとに聞こえてきたのはボギリ、ゴギリ、グギリ、ボリボリボリ、という人間達が煎餅を食べるときのような音。

 その時そばにいた、当時の魔操虫の卵達はただただ立ち尽くしているほかなかった。少しして…本栖湖支部のアカアシクワガタ…イエタダが声を上げる。


『外界生物だ!皆の者、それぞれの呪文を放つでござる!』


 新しく魔操虫になったとは思えないような落ち着きよう。イエタダのその指示に従うかのように次々と魔操虫達が呪文を唱え、キトスチューム・ブーラへと放っていく。

 しかしてキトスチューム・ブーラにはどれもこれも大して効いていないように見える。…平然としているためだ。

 その中でコブタテヅノカブトのブラゼルが賭けに出る。


『土属性なら!"ラデット"!』


 そう唱えると同時にキトスチューム・ブーラの頭上に現れるやや大きめの土塊。それはキトスチューム・ブーラに乗っかっている猫のような生き物ごと頭部に直撃したものの。猫の着ぐるみの部分がが猫のような生き物に回復魔法をかけたことで立て直されてしまう。


『っ!効果あったと思ったのに!』

『ブラゼル!攻撃の手を緩めるな!"ポロ"!』


 どこか悔しがる様子のブラゼルの隣で、カウプホソアカクワガタのストルムが自身の持つ属性の魔法をキトスチューム・ブーラへと放って行った。

 空気の刃がキトスチューム・ブーラに命中する。しかしそれも大して効いていないように見えた。


『弱点は風属性じゃない…!?』

『どんな敵にだって弱点はあるはずです!次は闇属性を!』

『っ!"シャルク"!』


 角がいびつに発達した黒い体のカブトムシ、シムソンコブサイカブトのリチャルドのアドバイスに従い、ブラゼルが魔法を放つ。しかしてその魔法もまたそんなには効いていないように見えた。

 規格外の頑強さを見せるキトスチューム・ブーラ。果たしてその外界生物に弱点はあるのか。考えに考えるブラゼル。そのさなかエアクスタテヅノカブトのボルビが呪文を放った。…炎属性の呪文である。


『僕達だって教官の敵を取らなければいけないんだ!"バファイ"!』


 やや大きめのオレンジ色の球体。それもまたキトスチューム・ブーラに命中し、着ぐるみの表面に煤を残す。が、本体にはあまりダメージを与えられないように見えた。


『まだダメージが小さいっていうの…!?』


 絶望するボルビ。そのボルビの胴体に触手が巻き付き。ボルビがキトスチューム・ブーラの着ぐるみの隙間へと吸い込まれていく。

 叫ぶボルビ。その叫びもむなしくボルビは着ぐるみの隙間に消えていき。教官の時と同じように人間達が煎餅を食べるときのような何やら固いものを食べるような音が響き渡る。


『ボルビぃっ!!!』


 ブラゼルが叫ぶ。気の合った仲間だったのだろうか。その叫びは友が失ったのを悲しむようなものに聞こえる。

 攻撃を仕掛けていく魔操虫の卵達だったが、それらはキトスチュームにとって蚊に刺された程度のようなもの。なかなか倒れない、なかなかどこかへ行こうともしない。…その最中で次々と魔操虫の卵たちが犠牲となっていき。残るはブラゼルただ一匹だけとなった。

 必死の抵抗。ブラゼルが炎魔法を、闇属性の魔法を唱えていく。しかしてそれらもキトスチューム・ブーラには効いていない。


『っ…もう、終わりだ…っ!』


 死を覚悟するブラゼル。しかしてそのブラゼルに、キトスチューム・ブーラは触手を伸ばすことはなかった。

 おなかがいっぱいになったのだろうか。キトスチューム・ブーラは急に後ろを向くと。のっしのっしとどこかへと去っていく。

 助かったのかそう考えるブラゼル。それと同時に、いつか仲間の仇をとる、とブラゼルは誓う。


***


 そして今、ブラゼルはタカオ、ノブナリ、トモユキの三匹とともにあのキトスチューム・ブーラと戦っていた。

 そのキトスチューム・ブーラにはあの時の戦いの名残だろうか、着ぐるみの表面には煤のような黒い跡が残ったままとなっている。

 ようやく、ようやく仲間の仇を取れる。そう思い力がこもるキトスチューム・ブーラ。しかし頑強あの時と変わっていないのか、タカオ達の攻撃はどれもこれも効いていないように見えた。

 キトスチューム・ブーラの着ぐるみに乗っかっている猫のような生き物がメガホンを使い何やら応援のようなものをする。…と、キトスチューム・ブーラがヤマネコのような鳴き声を上げ始めた。


「っ、アイツ…!まだまだ本気を出すという事なのか…!?」

「皆さん、相手はまだ何かを隠し持っています!気を付けて!」


 まだまだ油断ならないキトスチューム・ブーラとの戦い。その戦いの結果は、果たして。

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