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第15章~悲劇の後の静けさ、英雄の過去

 ダイナジョー、エンプリジョーの二種類の外界生物との戦いのさなか突如現れたカイザルティラン。おぞましい獣脚類の恐竜のような姿に口腔内に目玉のようなものが存在する正に恐怖の権化ともいえるようなその外界生物の存在は任務から帰ってきた7匹の魔操虫たちに大きな影響を与えた。

 錯乱し正常な言語が話せなくなるタカサゴミヤマクワガタ。カイザルティランにタエキチが魔法を返された場面を直視してしまいショックを受けたタカオ。・・・残りの五匹の様子はまさしくお通夜状態。交わす言葉も、少なげだった。

 暗い雰囲気の漂うノブナリ達。そんな彼らに、ヘルクレスリッキーブルーのブルーノが声をかける。


「・・・タカオと同じグループに入っている魔操虫たちよ。・・・残念だったな。事情はセグロアシナガバチのヒロコから聞いた。ヘルクレスオキシデンタリスからの話によると、タエキチは・・・魔操虫の成れの果てとも呼ばれる生物・・・マジコタッグになったと聞いている。その中でも、鞘羽の上から蜂の羽のようなものが生えたタイプだ。」

「その見た目のマジコタッグがいたらタエキチだと思え。・・・そう言いたいんだな。」

「タエキチかどうかはわからないがな。・・・マジコタッグという生物は、今まで犠牲になった魔操虫の数だけたくさんいる。・・・いや、おおよそ外界生物にやられた三割はその外界生物に食われたことによるものだったかな?・・・とにかく、だ。タエキチのように外界生物たちによって昆虫たちが殺されるような目に合うようになったか。・・・お前たちは知っているだろう?」


 ノブナリとの会話の中で問いを投げかけるブルーノ。そのブルーノの問いに。ノブナリはこう答えを返す。


「・・・人間達が原因、じゃないのか?」

「クックック、それじゃあ証拠が足りないのだよ証拠が。正解はな、・・・アフリカのサバンナに住む動物達が怪しい儀式をし、外界生物を召喚しているんだ。・・・世界を征服するためにね。」


 自身の出した答え。それに返ってきたブルーノの言葉に。ノブナリ達がどこか驚いたような表情をする。


「アフリカの動物たちが…!?まさか、そんな…!」

「信じられないだろうけど、本当のことだ。・・・その証拠集めを・・・タエキチがリーダーを務めていたグループのメンバー、ゴトウヒラタクワガタのユウタと・・・ハチジョウヒラタクワガタのユメミチに務めてほしい。・・・できるだろう?」


 誘うかのようなブルーノの甘言。それに。


「わかったぜ、ブルーノ。・・・タエキチの仇を取るためだ。・・・だろう?ユメミチ。」

「そうだ。アフリカの動物たちこそが、我々の敵だったんだ。」


 ユウタとユメミチはまんまと乗せられてしまう。

 洗脳されたかのようにブルーノのほうを向くユメミチとユウタ。それを見た後・・・ブルーノはブラゼルとノブナリのほうをちらりと見やる。


「アフリカの動物たちを証拠もなしに疑うことはできませんよ。・・・だからと言ってそれを完全に否定しているわけでもありません。」

「証拠もなしに疑うことはできない…か。確かにそうだな。ブラゼル、といったか?・・・お前の色のいい返事を待っているぜ。・・・そしてノブナリ、お前もだ。・・・新鋭甲虫が二匹とも調査に協力してくれるとなれば実に心強い。では俺はここで失礼させてもらおうか。」


 ユウタ、そしてユメミチの二匹を連れていずこかへと消えゆくブルーノ。イルゾンの喚き声が地下に続く道から聞こえ、タカオはいまだ放心状態から立ち直ってすらいない。しばらくノブナリとブラゼルは沈黙の時間を過ごすこととなった。

 そして日が傾き始めたころ。タカオがようやく放心状態から立ち直り、ノブナリ達のほうを向く。


「すまなかったな、ノブナリ、そしてブラゼル。」

「別にいいですよタカオさん、」

「ああ。とはいえど・・・タカオのあの時の様子はどうも気にかかったな。タエキチとは、過去に何かあったのか?俺からは下の奴に大勢の外界生物の相手を任せる無責任な奴だとは思ったんだが。」


 以前一緒に任務に向かった時のタエキチの印象を口にするノブナリ。そのノブナリの言葉にタカオは苦笑気味に笑ったのち。口を開いた。


「無責任…か。タエキチはあれでも、仲間思いのいい奴だったんだ。・・・回復魔法を使える魔操虫の一匹でな。俺が前に入っていたグループの支援役を・・・一手に引き受けていた。」


 まるで昔話にでも浸るかのような語り口調で話始めるタカオ。それにブラゼルも聞き入り始める。


「あの頃の俺は今以上にあたりが強くてな。グループに入れたがる奴は誰一匹とていなかった。そんな俺を拾ってくれたのが…タエキチと・・・ヒラタクワガタのカンスケ、そしてあの時リーダーを務めていた…セアカフタマタクワガタのコウエモンだ。バツグンのチームワーク。ファブラルス本部で中の上程度の実力を保ち続けながら、俺たちは外界生物たちを倒し続けて行っていたんだ。・・・その矢先だ。体中を固い外殻に包んだ、外界生物が現れた。

その外界生物ってのが魔操虫の起源ともなった出来事に深く関わりのあるやつでな。そいつと戦ったんだが・・・コウエモンとカンスケが奴の吐く灼熱の炎に焼かれて死んで行ってしまった。かくいう俺も、奴の外殻に守られた太い腕によってたたきつけられてな。・・・身動きがとれねえって時に…タエキチの奴、最大限の力使って上級魔法を唱え、あの外界生物を倒してしまったんだ。」


 話し終えるタカオ。そのタカオの話を聞き、ノブナリが一つ言葉をこぼす。


「そんなエピソードがあったんだな…。タエキチの奴、無責任そうに見えて…いい奴じゃないか。」

「ああ。・・・アイツも本当は、仲間思いのいい奴なんだ。・・・あまり誤解しないでやってくれ。」


 タカオの言葉に黙ってうなずくノブナリとブラゼル。

 この先、ノブナリをどんな運命が待ち受けるというのか。

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