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侵された樹海と琥珀色の希望  作者: 鹿方剛助
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第13章~偽りの真実、英雄に迫る危機~

 ファブラルス本部は談話室。やや広めのホールのようなその場所で、二匹の甲虫が会話を交わしていた。

 一匹は体格が小さく、顎の根元の斧のような突起が特徴的なプラティオドンのアクラス。もう一匹は青みが勝った白い羽が特徴的な、ヘルクレスオオカブトに酷似した姿を持つカブトムシ、ヘルクレスリッキーブルー。二匹の間にはピリピリとしたムードが流れており。何やら穏やかではない空気が漂っている。


「ブルーノはん、ウチに教えるんや。・・・自分が言う計画、それは一体どういうことかということを。」

「おおっと。口の中に何か滑りのよくなる物でも含まされたか?・・・やれやれ。ついつい口が滑ってしまった。アクラスは何故、この地球上に突如として見たことのない生き物・・・我々が外界生物と呼ぶ奴らが来たか知っているか?」


 アクラスの言葉にブルーノは答えを返したのち。続けて問を投げかける。その問いを投げかけられ、アクラスは首をかしげた。


「ブルーノはん、それはウチら魔操虫が散々調べとる議題でっしゃろ?8年かかっている今でも、その答えはいまだ不明なんや。・・・自分はその答えを知っとる言うんか?」

「クっクック、その通りだ。俺は森の昆虫たちの味方である愛知県に住む人間のペットでなぁ?その人間様のいう通りにゃ・・・外界生物はケニアはサバンナの動物たちが儀式を行い、喚びだしたのが原因だ。そのため、我々魔操虫はケニアへと向かい…そこにいる動物たちを一匹のこらず我々魔操虫の持つ呪文で一網打尽にしてしまおうという算段よ。」

「・・・。」


 ブルーノが返してきた言葉。それにアクラスは再び首をかしげる。・・・なぜならばその説には不審な点がいくつもあったのだ。

 一つ。ケニアというのはアフリカの国。その国に住む動物達が喚び出したというならば、なぜ日本に目的地を定めたのか。

 二つ。ケニアに棲む動物たちが呼び出したというならば、なぜケニアの外界生物の密度が極めて低く、S区とT区にだけ外界生物が密集しているのか。

 説が立証したと仮定してのその不審な点を中心として考えるアクラス。考え込むアクラスに。ブルーノは悪魔のささやきを吹き込む。


「ケニアのサバンナに棲む動物共はどうしても人間のせいにしたいらしくてなぁ?人間の事を悪しざまに広めているらしいんだ。確かに人間は森林を伐採し、我々の住処を狭めていった。・・・だが俺の事を育ててくれているあのお方は違う。あのお方は、自然の事を第一に考えてくれておられるのだ。」


 一人の人間に心酔しているかのような様子を見せるブルーノ。そんなブルーノに、アクラスは問を投げかける。


「自分は不審には思わへんのか?自分の説が本当だというならばいろいろと不審な点がいっぱいあるで?」

「そこは魔操虫達を洗脳すればいい事よ。あのお方の事を妄信させ、そして刷り込ませれば・・・どんな疑惑さえもはねのけ、一つの説は真実となる。その説のウラを知ってしまったからこそ、あ奴は死ぬ運命にある。」

「・・・ブルーノはん、その奴の名を教えてくれへんか?自分ににらまれるようになった、その奴の名を。」

「そ奴の名はタエキチよ。あ奴、以前T区にて行われた合同作戦で・・・そこの支部に所属するアクティオンゾウカブト、タエオンにこの異変に関する余計なことを吹き込まれたみたいでなぁ?ある日俺に詰め寄ってきた。・・・"ケニアの動物たちが外界生物を喚び寄せたわけじゃなかったじゃないか。真実は違ったぞ"とな。・・・だからこそ、口封じのためにタエキチは死んでもらうことにした。」


 恐るべき計画の一部を明かすブルーノ。驚くかのような様子を見せたのち。アクラスは続けて問を投げかける。


「どうやって死んでもらうんや?殺すにしたって、やり方がうまくなければ・・・」

「クックック、そろそろアイツが召喚魔法を発動させているころよ。発動させた暁にはあ奴の召喚した外界生物…カイザルティランは暴れに暴れ、タエキチを亡き者にするであろうな?・・・おおっと、このことを伝えようとしたところで無駄だぞ。どんな虫でも、あの地点までは・・・間に合うまい。」


 不気味に笑うブルーノ。それとほとんど時を同じくして、タエキチが率いるグループとタカオが率いるグループが合同任務を行っているところでは・・・ブラゼルとノブナリが力を合わせ。外界生物たちと優勢に戦って行っていた。

 ノブナリの呪文が、ブラゼルの呪文が、それぞれ外界生物たちへと襲い掛かり。その体に傷をつけ・・・そして倒していく。そのさなか、タカサゴミヤマクワガタのイルゾンただ一匹が動きを止め。何やらぶつぶつとつぶやいている。


「イルゾン、何をしているんだ!お前も闇魔法で攻撃をしろ!」


 タカオの呼びかけ。それさえも無視をし・・・イルゾンはつぶやきを続けている。・・・よく聞くと、それは数字のようにも聞こえた。


「スィー、ジュウー、バン・・・」

「何をしているんだイルゾン!早く唱えろ!」

「・・・サー、ヤー、イー・・・リン!」


 叫ぶイルゾン。それと同時に、オオクワガタのタエキチの周りにどす黒い体の獣脚類の恐竜ににた出で立ちの、とげとげしい刃を持った外界生物。カイザルティランが現れた。

 ブルーノに操られ仲間を殺すようなことを行動に起こしたイルゾン。タエキチの身に、危険が襲い掛かる。

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