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侵された樹海と琥珀色の希望  作者: 鹿方剛助
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第11章〜新鋭魔操虫、躍進す〜

 しばしの間、ブラゼルとノブナリは元居たグループを離れ。それぞれ別々のグループで外界生物を倒していた。

 ノブナリはノブナリでオオクワガタのタエキチ、そしてタエキチがリーダーを務めているグループのメンバーであるハチジョウヒラタクワガタのユメミチ、そしてゴトウヒラタクワガタのユウタ等と共に。ブラゼルはティティウスシロカブトのルティス、アヌビスゾウカブトのビアリス、そしてサタンオオカブトのベルウス等と共に。それぞれ任務をこなしていき。なかなかの活躍をあげる。・・・特にノブナリはすさまじいまでにふくよかな体形が特徴的な棘付きのこん棒を持つトローラの群れとの戦いにおいて相手の弱点である光属性の魔法を意のままに操り。約七割もの数を一匹だけで倒すという戦果を成し遂げ・・・まるで今までの鬱憤をすべて晴らしたがごとくどこかすがすがし気な様子を見せていた。

 またあくる日の任務では。ブラゼルが富士山頂からやってきたという竜巻の中にどや顔を浮かべたやわらかそうな物体のいる外界生物…トルネスラーグ達を相手に無双の活躍を見せた。・・・そんないきさつがあってしばらくの後。ノブナリとブラゼルはアシナガバチのミハルから再び辞令を言い渡される。


「ノブナリ、ブラゼル。・・・二匹ともトモユキ、そしてタカオのいるチームに合流よ。それともう一つ。・・・貴方達新鋭魔操虫の事をミヤグニが御呼びよ。早く顔を見せてあげなさい。」


 ミハルから言い渡された辞令。それは元のグループに戻れることになった、という事であった。それと同時に、ミハルからミヤグニが呼んでいるということを伝えられる。

 そのミハルからの言葉に、ノブナリとブラゼル、二匹の魔操虫は雰囲気を明るくさせ。元気よく角を縦に振った。

 ミヤグニの待つ部屋へと向かい歩いていくノブナリとブラゼル。アリたちがせっせせっせと作り上げた穴の中は、大きめの体の甲虫二匹分の広さで。ところどころに柱が存在している。・・・その回廊のような場所を何周かのぼって行った後。ブラゼルとノブナリはミヤグニとの対面を果たす。・・・そのほかには、ノブナリと同じ時期に入ってきたヒナカブトのウラディス、ゼブラノコギリクワガタのマルテがいた。

 面々を見渡したのち。ミヤグニは言葉を放つ。


「君達、よく来てくれた。こうして私が呼んだのは他でもない。・・・人間達の起こした災いによって森に現れた外界生物。それらを相手に君達はすさまじい活躍を収めていると聞いている。・・・本栖湖からやって来てくれたコブタテヅノカブトのブラゼル、君もよくやってくれていると私は思っているよ。」

「ありがとうございます。」

「この本部から生まれ出た新鋭甲虫・・・光と風の二つを併せ持つカブトムシのノブナリ。風と雷の二つを併せ持つヒナカブトのウラディス。そして炎と氷の二つを併せ持つゼブラノコギリクワガタのマルテ。・・・つい最近魔操虫になったばかりだというのに、本当に君達には感謝してもしきれないね。」


 ほめちぎるミヤグニに、魔操虫達が頭を揺らす。少ししてミヤグニはひもを頭部で揺らし鳴子を鳴らした。すると・・・どこからかアリの大群がぶよぶよしたオレンジ色の塊を運んでくる。・・・その正体は魔操虫達の触角の動きで明らか。・・・樹液と似た味のゼリーである。・・・その大きさたるやその場にいたカブトムシの胴体部分の一回り…いや、二回りは大きいもので。それを前にノブナリたちは目をらんらんと輝かせていた。・・・いくら魔操虫と言えど、目の前で餌を吊り下げられて黙っていられるほど理性的ではないのだ。


「これは私からの少しばかりのお礼だ。受け取ってほしい。」

「こ、こんなおいしそうなもの…!頂いちゃっていいのか!?」

「ああ。遠慮なく頂きたまえ。」


 頂きます。その声の直後、ゼリーを喰らうノブナリたち。しばらくしてゼリーが姿形も見えなくなったのち。どこか満足そうな様子でノブナリたちはミヤグニのいる部屋を後にする。

 直後に腹ごなしの運動にと任務へ向かう魔操虫達。おいしいゼリーを頂いた後の効果なのか、ノブナリとブラゼルはトモユキとタカオの二匹をおいて行くような勢いで外界生物達を魔法で倒していく。

 その任務が終わったのち。ノブナリとブラゼルはどこかご機嫌といった様子で広場に戻り。外界生物の幼虫を肉食の蜂達に分け与え。トモユキとタカオはどこかうれしそうにスラグナーだったモノの一部をおいしそうに吸って行く。・・・そんな魔操虫達の生活の裏で。部屋の中から空を見上げミヤグニは独り言をつぶやいていた。


「我々の先祖は今でいうところの外界生物…まだ当時は正体不明の生物だった生き物達を駆除するために外国の甲虫達に頭を下げ頼み込むことに酷く反対していたらしいが、外国の甲虫達をこうして受け入れた事に対して私は大成功だと思っている。おかげで虫達の平穏はギリギリのところで保たれ。外国から来た甲虫達も何不自由なく平和に暮らしている。・・・しかしこのままではいつかこの平穏も崩れ去ってしまう。そうならないうちに、早めに手を打とう。」


 ミヤグニの言葉。それにどのような意味が含められているというのか。・・・外界生物との戦いのきっかけは、一体なんだというのか。

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