家族 1
『ピンポーン』
今俺は柚葉と一緒に日高家の前まで来ている。
昨日のあれから帰ってきたのが今日の明け方くらいで、帰ったら疲れた俺はすぐに眠り、起きたら割と早い時間だったのでのんびりして昼ご飯を食べてからここに来た。
『は~い』
「玲奈か?祐斗だけど」
『あ、祐斗君に柚葉さんいらっしゃい。入ってきていいよ』
そう言われたので俺と柚葉は日高家に入った。
柚葉はちょくちょく来ていたらしいが俺は久しぶりなので少し緊張していた。
まあ緊張しているのは玲奈たちの両親がある理由で前から苦手だからなのだが…
家に入った俺たちを出迎えたのは玲奈と美咲だった。
「いらっしゃい二人とも、今日は来てくれてありがとね」
「別にお礼言われるようなことじゃないと思うぞ、お邪魔するのは俺たちなんだから」
「あはは、まあそうなんだけど来てくれて嬉しいからいいの」
最近玲奈はこういう大胆なことを平気で言う。
そのせいで学校で俺たちの会話を盗み聞きしている奴らからすごい目で見られるから抑えてほしいのだが本人は無自覚だろうから何も言っていない。
それによく笑うようになったからか学校では『美しさに磨きがかかった』なんて言うやつが続出していた。
そしてそれを成し遂げた俺には感謝の念が……とかなるはずがなく普通に嫉妬の目を向けられ続けている。
最近では男子から距離取られてるのによく普通に学校通えてるよなと自分でも思うようになった。
まあそれには前の学校での事情が関係しているのだがそれはまた別の話。
閑話休題
「そうか?まあ玲奈がそういうならいいけど」
「それでいいんだよ。それでね…」
「姉さんその辺で、お母さんたちがリビングに連れて来てって言ってたのでリビングにどうぞ」
玲奈が他の話をしようとしたところを美咲が止めて俺たちをリビングに案内した。
そしてそこにいたのは…
「ひさしぶりだね~祐斗君、元気してた?」
「ほんとそうね何年振りかしら?」
俺の苦手としている玲奈たちの両親だ。
まあ呼んでるのがこの二人なのだからこの二人がいて当然なのだが。
「お久しぶりです、元気でしたよ。あ、これクッキー焼いてきたのでよかったらどうぞ。お二人ともお好きでしたよね?」
そういって渡したクッキーを二人は嬉しそうに受け取った。
「ありがとう、男の子にこんなことを言うのはあれだが本当に女子力高いよね祐斗君は」
「そうね~、しかも気配りがしっかりできるなんて、まったくいい子に育って」
この二人は昔からこんな感じだ。
父親の大輔さんは豪快な人で体つきもいいのだが、趣味は料理というアンバランスな人で、母親の真紀さんはおっとりとしていてかなり天然が入った人だ。
そして二人の大好物はクッキーで昔俺の作ったのを食べてもらったら大絶賛されたので手土産として自家製クッキーを渡したのだ。
そんな二人だが俺が苦手だと思っている理由は…
「やっぱり祐斗君には玲奈か美咲を貰ってもらおう」
「そうね、それしかないわ」
そう、小学生のころから散々俺を玲奈か美咲の夫にしたがっているからなのだ。
横目で玲奈と美咲を見てみると二人は恥ずかしそうな、呆れたような顔をしていた。
たぶん俺が来る前にもこの話はしていたんだろうな。
それと柚葉、不満なのはわかったから大輔さんたちから絶妙に見えないところでその怖い顔をするのやめなさい。
そんなことを思いながらこれから長くなりそうだと覚悟した。




