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故郷で過ごす幸せな日々  作者: ネコ2世
8/14

バイク

今日は金曜日である、そして明日は玲奈たちの家に行くことになっているのだがその前に俺には一つやらなければいけないことがあった。

それは俺のバイクをこっちの家に持ってくることである。

免許は高校1年の時、父がバイク好きであったから夏休みに取りに行かされた。

その時に難なく合格した俺は父にバイクを買ってもらっていたのだ。(そのとき父のテンションが高すぎて面倒だったので父にバイクを選んでもらったため車種が何かは知らない)

そしてそれを新居に持って来なければならない。

なぜ今日なのかといえば前借りていたマンションとの契約が明日で切れるからで、明日は玲奈の家に行かないといけないし、今日がちょうど学校が四時間で終わるという理由から行く決意をした。

ちなみにここから前の家まで高速道路を使って片道6時間ぐらいである。

今の時刻は2時くらいで、行きは新幹線なので帰ってくるのは深夜を超えるだろうが明日は昼から行くと言ってあるので問題ない。

「じゃあ行ってくる。夜ご飯は作ったの冷蔵庫に入れてあるから温めて食べろよ」

「わかった、いってらっしゃい」

そういってバイク用具を持った俺を玄関先で送ってくれた柚葉と別れて駅に向かった。


数時間後、俺は今昔住んでいたマンションの前にいた。

ここに来ると嫌でも自分の薄情さを思い出すから来たくはなかったというのが正直な気持ちだ。

こんなことを考えているが悲しいとは思えない。これはもう呪いだな。

最近は柚葉たちと一緒にいたことでまだマシだったがここに来たことでまたあの罪悪感のような感情が襲ってきた。

……やめよう、これを考え出すときりがない。

とにかくまずは管理人の澤田さんに挨拶して行こう。

そう思った俺は管理人用の個室を訪ねてみた。

「すいません、澤田さんいますか?」

「はい~、あら?祐斗君じゃない引っ越し終わったのにどうしたの?」

この人が澤田さん、確か今25歳で独身。

25歳にしてはかなり美人の部類に入るだろうがなぜか恋人はいないという。

なぜ俺がこんなにもこの人のことを知っているのかというと、澤田さんと母がなぜかは知らないがすごく意気投合して、たまに(うち)にすら来ていたからである。

来るたびに俺がいろいろ世話をしていたら求婚まで迫ってきたことがあった。

まあそんなわけでこの人とは知り合いで両親が死んでからも何かと俺を気にかけてくれていた。

「バイクを取りに来たんですよ。明日契約切れるのにずっとそこに置いてたじゃないですか」

「あぁ~そっか、もう契約切れちゃうのか~、寂しくなるな~」

そういってしんみりした顔をした澤田さんは慈愛のこもった顔をして言った。

「祐斗君、君のことだから大丈夫だと思うけど、体には気を付けてね。あと(たま)にでいいから私にラインしてね」

この人は両親が死んでから一度も両親の話をしない。たぶん気遣われているのだろう。

だからこそ自分が馬鹿なことを言って俺を笑わせようとしている。

ほんと何も考えていないようでよく考えて行動している。

そう思うと少し面白くて、笑みがこぼれた。

「はい、解りました。暇だったらラインしますよ、それじゃあまた機会があったら会いましょう」

そういって手を振りながら澤田さんと別れた。

話していた時間は短かったが多分あの人ならすぐにラインとかしてくるんだろうな。

そんなことを考えながら俺は新居を目指してバイクを走らせた。

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