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故郷で過ごす幸せな日々  作者: ネコ2世
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柚葉の気持ち 2

 そんな私の大好きなユウにぃはこちらに帰ってくることになった。

 でも、その理由が私たちの両親が亡くなったからだったので喜ぶことはできなかった。

 小学生の時こそ両親はあまり良い印象を持っていなかったけど、今ではあの優しさが恋しく感じるくらいになっていた。

 だから亡くなったと報告を受けたときかなりショックを受けて現実が受け入れられなかった。

 それでも現実が変わるはずもなく暗い気持ちのままお葬式を開くことになった。

 その時まで何をしていたのか、あまり記憶にない。

 そして久しぶりにユウにぃと会った時、私は溢れる感情を抑えきれなくなりユウにぃの胸の中で泣いてしまった。

 知人も招いたお葬式だったのでかなりの人数がいた(日高家は大輔と真紀だけが参加)が、ほとんどの人の目に涙が浮かんでいた。

 それだけで私たちの両親が周りにどれだけ愛されていたのかが分かった。

 でもそんな中で、まったく涙を流さずにいる人がいた。

 ユウにぃである。

 その顔を見ただけでは何を考えているのかわからなかったけど、どこか悔しそうに見えた。

 でも周りでは、

「両親が亡くなったっていうのに、悲しくないのかしら?」

「頑張って子育てしただろうにこれじゃあ、あまりにも(むく)われないわね」

「人の心がないんじゃないの?」

 などと言う人がいた。

 何も知らない人が、私の両親とユウにぃの気持ちを勝手に決めるな!と思い、文句を言ってやろうと思ったけど、ユウにぃに止められた。

 その時のユウにぃの顔が自嘲気味に苦笑いしていたのを覚えている。


 時間は過ぎて、今玲奈たちの家で初めてユウにぃが両親の死を悲しめなかったことを知った。

 でもそれだけじゃないと、なんとなくそう思えたから、俯いてしまったユウにぃの手を取りながら聞いてみることにした。

「ユウにぃ…ユウにぃは本当にそれしか感じなかったの?」

 手を取ったとき、ユウにぃは目を見開いているのが分かった。

 本当に驚いていたんだろう、今まで一緒にいて私はどこか元気がなかったと自分でも思う。

 だからそんな私とは正反対の気持ちを持っていた自分は嫌われると感じていたのかもしれない。

 でも、私はユウにぃがそれだけしか感じないような人間じゃないことを知っている。

 じゃないとお葬式の時、自嘲気味な顔なんてしないだろうし…

 だから嫌いになんてならないし、ユウにぃが感じたことすべてを知りたいと思った。

 ユウにぃの気持ちをすべて聞いたとき、私は咄嗟(とっさ)に抱きついてしまった。

 自分でも何してるのとは思うけど玲奈と美咲もしてるし、こうするのが良いと思ったのだから仕方ない。

 ていうか玲奈と美咲も同じことを考えるなんて……

 そんなことを考える私だったが、ユウにぃに「それならこれからも一緒にいてくれると嬉しい」と言われたことが嬉しくて、そんなことどうでもよくなった。

 でも、こうして抱きついていると幸せな気持ちで包まれて、なかなか離れられない。

 それからどのくらいこうしていたのかわからないけど、ユウにぃが大輔さんたちと話し始めた。

 その会話の内容で、ユウにぃがハーレムを作るのはほどほどにと言われているのを聞いて、ここ数年で玲奈や美咲とは仲良くなって、友達の中で1番仲の良い二人になっていたので、恋のライバルとしてギクシャクした関係にはなりたくなかったから、それも良いかもしれないと思った。

 二人とも同じ意見なのか納得したような顔をしているし……ユウにぃはそうじゃないみたいだけど…

 そんなことはあったけど、ここに来たことでユウにぃの本当の気持ちを知ることが出来て、心の距離みたいなものが縮まった気がする。

 今ユウにぃが何を考えているのかわからないけど、できる限り一緒にいようと思う。

 まあそうじゃなくても嬉しいからずっと一緒にいちゃうんだろうけど…

 あと、玲奈と美咲も一緒にいたいと言うから、明日は朝から来ていいと伝えておいた。

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