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序章 入学

 新しいブレザー。


 新しいスカート。


 新しい鞄。


 私、梶川まりあは今年の春、中学一年生になる。


 鏡で最終チェックをしている真っ最中なのだが、自分の新しいスタイルに少しだけ大人を感じて胸をときめかせた。小学生の頃は伸ばしていた髪の毛も、これを機に肩くらいに切ってもらった。鏡には少し緊張した表情の自分がいる。


「友達、出来るかな……?」


 それは、引っ込み思案な私の一番の悩み。小学校までは仲が良い幼馴染がいつも一緒だったのに、中学校は別々になってしまったのだ。新しい友達は作るしかない。


「今から弱気になってどうするんだ自分! 頑張ろう」


 気合を入れるためにほっぺたを両手でパシンと挟んだ。良い音が部屋に響くと少しだけ勇気がわいた気がする。自信を持とうと少しだけ背伸びをして買った、ほんのりと色が付くリップクリームをポケットに忍ばせると、私は自室を後にした。



 リビングへ出ると、両親が食卓を囲んでテレビを見ていた。

 私もいつも通りその輪の中に入っていく。二人は私の制服姿を見るなり嬉しそうに目を細めるので、私としては少しくすぐったい。


「おはよう、お母さん、お父さん」

「おはよう、まりあ。制服似合っているじゃないか」

「あ、ありがとう」

「朝ごはん出来てるわよ。しっかり食べて頑張ってね」

「うん、お母さん」


 目の前にトーストと目玉焼きが並ぶと三人でいつものように朝のひと時を過ごしていた。


その時。


 --次のニュースです


 不意に、点いていたテレビが次のニュースを知らせ始めると、皆がなんとなしにテレビに注目し、私は少し首を傾げた。その風景はどこか、見た事があるような気がして止まなかったからだ。



 --先日、こちらの中学で『呪われた』事を訴えていた生徒三名が変死体で発見されました。死亡が確認された生徒達は全員同じ時間に気を失うように倒れ、近隣の病院に搬送されましたが死亡が確認されたと言う事です。警察は原因を調査中とのことです。


「ね、ねぇ……この学校……」

「嘘? まさか、そんな事……」


 私達三人は今のオカルトじみたニュースを見て食事の手を止める。両親も食事を食べる手を止めたと言う事は私の気の所為ではなさそうだ。


 テレビに映し出されていた学校、それは紛れもない、これから私が三年間過ごすことになる中学校だった。


「呪い? 何かの間違えだろ? 今時そんな、はは」

「えぇ、きっと警察も事情を把握しきれていないだけなんじゃないかしら。でも、死亡事故? 病気? どの道ちょっと怖いわね。まりあ、気を付けるのよ?」

「う、うん……」


 こうして私の中学校生活は不穏なスタートを切ることになった。


 それは、私が呪いにかかる、たった二週間前の出来事だった。

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