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凛々しい美少女が、夢の中では全力で俺にデレてくるっ!? ~俺の夢と彼女の夢が繋がってることに彼女はまだ気づいてない~  作者: 波瀾 紡


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46/46

【46:戦い終わって<最終話>】

「一本っ!」


 審判役の岸野の声が響いた。同時に俺の側の赤い旗を岸野が挙げている。


 ──よし、勝った!


 鬼頭は呆然とした顔で立ちすくんでいる。俺に一本を取られたことが信じられないようだ。


「鬼頭くん。試合後の礼だ」

「あ……そうだな」


 冷静に注意をする岸野に、呆然としたままの鬼頭が答えた。そして俺と鬼頭はお互いに礼をする。


「お……俺が負けたんだから、約束通り俺は岸野を諦めて、もうお前らの邪魔はしない」


 鬼頭は俺たちから視線を外しながらそれだけ言うと、そそくさと逃げるように更衣室の方に向かって行った。鬼頭の打ちひしがれたような態度からすると、邪魔をしないというのは信じてもいいだろう。

 元々、岸野に想いが通じる可能性はもうゼロなんだと鬼頭もわかっている。それにさらに試合で負けたという事実が加わった以上、岸野への気持ちは諦めざるを得ないに違いない。


「勇士くん……カッコよかった!」


 俺は鬼頭が姿を消した出入り口をしばらく眺めていたが、突然聞こえた姫騎士さまの声に振り向いた。岸野は目をきらんきらん輝かせている。


 あ……鬼頭がいなくなった途端、可愛いバージョンの姫騎士さまになってる。俺を名前呼びしてるし、頬はゆるゆるでニコニコしてるし。可愛い……


「あ、ああ。ありがとう」

「さっすがぁ、勇士くんすっごい!!」

「いや、姫には心配かけたな」

「うん……ホントはすごく心配だったよ……でも勇士くんが無事でよかった」

「さぁ、俺たちも帰ろっか」

「うんっ!」


 俺は道場の隅で防具から制服に着替えた。そして先に外で待っている姫騎士さまのところに急ぐ。

 それから二人で一緒に校門を出て、駅までの用水路沿いの道を並んで歩く。周りはもう同じ学校の生徒も少なくて、ぽつりぽつりしか歩いていない。


「あのさあ勇士くん」

「ん? なに?」

「鬼頭くんが勇士くんにケガさせたこと、今まで黙っててごめんね…… 中学で目撃した時は、なんだか怖くて誰にも言い出せなかったんだ。今から考えたら、ちゃんと誰かに言えば良かった。私もまだ幼かったんだって反省してる。それに勇士くんがずっと痛みが残るような大きなケガだって思わなかったから……」

「ああ、いいよ。気にすんな。俺だって、そんな長引くようなケガだって思ってなかったから」

「でもこの前いまだに勇士くんが痛みが残ってるってわかって、言うべきかどうか悩んだんだけど。証拠があるわけじゃないし。変に言って、勇士くんが嫌な思いだけ抱いても何にも解決にならないしって思った。だから別に鬼頭くんを庇おうと思ってたとか、全然ないんだ…… 信じてもらえないかもしれないけど」

「いや、信じるよ。姫の今までの態度を見て、鬼頭を庇おうと思ってたなんて、俺が思うはずがないじゃないか」

「ホント?」

「ああ、ホントだよ。それに、今まで内緒にしてくれてた方が俺にとってもよかったと思ってる」


 ──うん、そうだ。


 もしももっと以前にその話を聞いたら、きっと俺は怒り狂って一生鬼頭に恨みを持っていたかもしれない。だけど今日、このシチュエーションで知ったことで、俺は鬼頭に何も恨みを感じていない。

 それはきっと、岸野という存在のおかげだと思う。だからたまたまかもしれないけど、岸野が今まで黙っていたことはかえって感謝したいくらいだ。


「やっぱり勇士くんって優しい……」

「え? なんで?」

「だって私が傷つかないように、そんな言い方をしてくれんだもん」


 姫騎士さまは眉を八の字にして、情けない顔で俺を見つめている。

 あの凛々しく美しい姫騎士さまが、こんなに情けない顔を俺に見せるのも、なんだか可愛くて仕方がない。


「いや、それは俺を買い被りすぎだって。そんなんじゃなくて、ホントに姫には感謝してるんだから」


 そう。俺は姫騎士さまの存在そのものに感謝をしてるんだから。

 ああ、接すれば接するほど、岸野が愛おしく思えるよ。どうしよう。


「ありがとう。勇士くん……あのね……」

「ん?」


 姫騎士さまは横を歩きながら、顔を赤らめてもじもじしてる。いったいどうしたんだろ?


「やっぱりだぁーい好きっ!」

「へっ……?」


 ぱらぱらとは言え、周りにはウチの生徒が何人か歩いているのに。彼らにも聞こえるような大きな声で、岸野はそんなことを言った。

 実際に周りを歩いている奴らは、こっちを振り返って見ている。他の人の前では、凛々しい姿のままでいるって話じゃなかったのか?


「おいおい。周りに聞こえるぞ」

「うん。もういい。だって勇士くんを好きな気持ちがもう抑えられないんだもん!」


 そんなセリフまで、姫騎士さまは大きな声で言っちゃってる。

 確かに俺も岸野を好きな気持ちが溢れて抑えられないけど、いくらなんでもこのシチュエーションは恥ずかしいぞ。


「わあ、言っちゃったぁ~!」


 姫騎士さまは急に恥ずかしさがこみ上げてきたのか、真っ赤な顔を両手で押さえながら急に走り出した。


「あ、ちょっと待てよ!」


 俺は駆け出した姫騎士さまの背中を追いかける。

 しかし彼女は立ち止まることなく、駅の方に向かって走り続ける。


 いやホントに姫騎士さまって夢の中とおんなじで、デレデレバージョンの時はポンコツだな。困ったもんだ。


 でも……俺は姫騎士さまのそんなところも可愛くて可愛くて仕方なくて、好きになったんだよなぁ。


 この感じじゃあ、クラスの中でもポンコツな可愛いバージョンを垂れ流す日も、そう遠くはないかもしれない。でもまあ、それもいいか。恥ずかしいことは恥ずかしいけど、嫌な気はしない。


 こんなに可愛い彼女ができて、これから学校生活が楽しくなるよなぁ。

 そんなことしか俺の頭には浮かばない。

 たぶん俺も姫騎士さまのせいで、ずいぶんポンコツになってしまったに違いない。


「おーい、待てよ! 待ってくれよぉ~ 姫ぇ~!」


 俺はなんだかウキウキと楽しい気分のまま、そう叫びながら姫騎士さまを追いかけた。

 うん。やっぱ楽しい。


 俺は姫騎士さまのスタイルのいい後姿を眺めながら、心の底からそう思った。



=== 完 ===

最後までお読みいただき、ありがとうございました!!

当作品は当初の予定よりも、だいぶんギャグ寄りになってしまい、ご都合主義のオンパレードになってしまいました(;^ω^)

次回作はもう少しリアル寄りのものを考えています。

次作も何卒よろしくお願いしますm(__)m

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― 新着の感想 ―
[一言] お疲れ様でした。書籍化のほう頑張ってください!応援してます。
[一言] 完結おめでとうございます! ここまで楽しく読ませていただきました!ありがとうございます!
2021/01/31 23:03 退会済み
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