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異世界迷宮のスナイパー《転生弓士》~神のイカサマ・ルーレットとスキル・スクロール  作者: 武蔵野純平
第3章 神の使命と追跡者

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閑話1(?) セシーリア・ザ・テンプルナイト

 仲間たちと入った店は、帝都ピョートルブルグの平民街にある居酒屋だ。

 ここは港町だし、ダンジョンもある。

 周りはイカツイ男たちで一杯だ。


 俺たちのパーティーは、店で注目を集めた。

 男は、俺一人まだ十三歳のガキ。

 他は同年代の女の子ばかり四人。

 そしてダンジョンで捕らわれていたエルフのお姉さんも一緒だ。


 からかわれたり、からまれない方がおかしい。


「よお~、お嬢ちゃんたち!」

「ああ、ミルクが飲みてえ! お嬢ちゃんのおっぱいしゃぶってもイイかな?」


 赤ら顔の髭面二人組が早速からんで来た。

 両手をモミモミするポーズで、一番小柄なちびっ子魔法使いエマに迫る。


 だが、それを許さないヤツがいる。

 ティターン族の長身のレイアである。


「ハハ! オモシレエな! 寝言は寝て言えよ!」


 ゴン! ゴン!


 レイアが鉄槍で男二人の頭を軽く撫でて、問題は解決された。

 良い夢見ろよ……。


 がっしりとした造りの木製の丸テーブルに、ブン投げても壊れなさそうな木のイス。

 俺たち六人はテーブルに座ると、大量の料理を頼んだ。


 肉、肉、ジャガイモ、肉、ジャガイモ……。

 料理自体は大雑把で、ガサツな味だがボリューム満点。

 港町なのに、魚料理が無いのが不思議だ。

 昨日ダンジョンに閉じ込められていた、俺たちは片端から料理を胃袋に詰め込んだ。


 意外な事にリアルお姫様のアリーが楽しそうにしている。

 こう言う如何にも庶民の店って言うのは、彼女には逆に楽しいのかな。


 食事が一段落した所で――長身レイアのネコ獣人カレンは、まだ食べているけど――お姉さんが自己紹介を始めた。


「この度は、危うい所をお助けいただきありがとうございました。わたくし、セシーリア・グリーグと申します」


 セシーリアさんは、アリーのように耳が横に長い。

 つまりエルフ族な訳だ。


 ……訳なんだが。


 なぜか胸がデカイ。

 なぜか?

 なぜなのか?


 エルフと言うのは、みんなアリーのようにほっそりとして、一部で人気な希少価値の高いツルペタ胸ではないのだろうか?


 理由を聞いてみたいが、アリーがいる手前怖くて聞けない。


 ……いや、待て!


 エルフが微乳であると言うのは、日本から来た俺の勝手な先入観なのではないか?


 そうだな。

 きっとそうだ。


「――ナオト君? お姉さんの話しを、ちゃんと聞いてますかあ?」


「えっ!? あぅ。はい!」


 聞いていませんでした。

 セシーリアさんの胸を見ていました。

 すいませんでした。

 あい、すいません。


「まったくのう。ナオトは、しっかりしているのか、抜けているのか良くわからんのじゃ」


 どうやら、俺がエルフつるペタ伝説について思いを巡らして、思考の宇宙を漂っている間に、女性陣は事情聴取を行ったらしい。

 光陰矢の如し、と言うが、好淫矢の如しとも思える、今日この頃。


 十三歳の思春期に突入しだした俺は、女性の神秘に首ったけなのだ。

 前世は四十のオッサンだったが、この若い体は青いエナジーに溢れているのだよ。


「――と言う訳じゃが。ナオト? お主聞いておらんかったじゃろ?」


 えー、はい。

 聞いていませんでした。

 アリーのほっそりした首筋と白いうなじに見とれていました。

 思春期とは……、青い稲妻……。

 ああ、環七をバイクで走り抜けたい。


「もう、良い。セシーリアもこのパーティーに入りたいと言う事じゃ」


「えっ!? セシーリアさんが!?」


「良いか? 今度は、ちゃんと聞くのじゃぞ――」


 今度はアリーの説明をちゃんと聞いた。


 セシーリアさんのジョブは、中級職のテンプルナイト。

 神官がレベル50になるとクラスチェンジ出来るジョブだ。


 それで、セシーリアさんは、エルフの神殿で働いていて神官として修業を積み、冒険者としても色々と経験をして……。


 つまり、テンプルナイトで神殿勤めであるので、神聖な職、神聖な身分であると。


 ところが!

 今回、教団地獄の火につかまって、それはもう色々あって神殿には帰れないのだそうだ。

 とても帰れないのだそうだ。


 何があったかは、紳士の嗜みとして聞かないでおいた。

 きっとナイフを抜き差しされる以外に、抜き差しならない事情があったのだろう。


「――と言う訳で、わらわたちが外国へ行くなら同行したいと申しておる」


「なるほど……」


 俺は改めてセシーリアさんを見る。

 エルフ特有の長い耳、白い肌に少し濃い金髪、ほっそりとした体に不釣り合いな暴力的な胸。


 俺はどこを見ているんだ……。

 ちゃんとリーダーとして、戦力として考えなくては!


「セシーリアさん。鑑定をさせて頂いても良いでしょうか?」


「だめよお。お姉さんの秘密がばれちゃうでしょう? 女性に鑑定なんて、野暮はなしよ。うふっ!」


 無駄に色っぽいな、この人。

 秘密がばれちゃうって、年がバレるって事か?


 セシーリアさんて、いくつなんだ?

 パッと見の印象だと二十代の中盤……。

 色気ムンムンのお姉さんに見えるけれど、種族が違うし……。


 いや、待て!

 中級職だと!?


 中級職はレベル50になるとクラスアップ出来る。

 普通はレベル50になるのに、十年から二十年ほどかかるらしい。


 さっきまで一緒だったラリットさんは、中級職の重戦士でクラスアップに十五年かかったらしい。


 とすると……。

 セシーリアさんは……。


 突然、セシーリアさんの色っぽい顔が、視界一杯に広がった。

 顔を近づけて来たのだ。


「ナオト君。女性の秘密を探るような事をしちゃだめだぞ」


「えっと……。はい、わかりました……」


 優しい言葉、色っぽい表情。

 そして、断固とした意志が込められていた。


 撤収!

 撤退!

 この件は、もう、二度と触れもうさんですばい。

 オイはデッカイ金華山ですたい!


 俺は気を取り直し、セシーリアさんに質問をしなおす。


「中級職と言う事ですが、レベルをお聞きしても?」


「レベルは64よ」


 おっと、レベルは教えてくれるのか。

 レベル64は、かなり高レベルだ。

 そうそうお目にかかれない。


 ラリットさん曰く、高レベルになればなるほど、戦う魔物も強くなり死亡するリスクが高まるとか。


 セシーリアさん、見た目に反して強キャラか?


「テンプルナイトは、神官からクラスアップしたのですよね? すると回復魔法は?」


「もちろん、使えるわよ。テンプルナイトは、前衛で剣を振るいながら、仲間を回復するジョブなの」


「それは凄いですね! 前衛と回復役の両方こなせるんだ!」


「うふ! でも、その代わりね。使える回復系の聖魔法は、単体回復のヒールとハイヒールだけね。全体回復は使えないの」


 ああ、テンプルナイトには、そう言う欠点があるのか。

 でも、ウチは前衛がレイア一人だ。

 今後を考えるともう一人前衛がいても良い。


 剣を振るえるのも大きいな。

 物理攻撃の手が増える。


 聖魔法が使える人間はいないし、全体回復が出来ないとしても回復量が多いハイヒールは使えると……。

 うん、良いんじゃないかな。


「セシーリアさんは、俺たちと一緒で良いのですか? 他のもっと高ランクの人とも組めると思いますけど?」


「それも悪くないけれど。エルフのわたくしとしては、アリー姫様をお側でお守りしたいし、それに……」


「それに?」


「ナオト君は、勇者になるかもしれないのでしょう? だったら、エルフ族の掟にしたがって勇者に恩を返さなくちゃね」


 なるほど。

 後半は、置いておくとして、俺たちと一緒に行く動機としては、おかしな点はない。


 いや、可能性は低いけれど、セシーリアさんが教団地獄の火に取り込まれている可能性もゼロじゃないからね。

 用心はしないと。


「俺は良いと思うけど。レイアはどう?」


 ウチのパーティーで前衛を務めているのはレイアだ。

 レイアは、一旗揚げる為にティターン族の集落から出て来たのだ。

 こだわりとかが強そうだから、事前に聞いておかないと。

 へそを曲げられたらたまらない。


「おう! 良いぜ!」


 俺はかなりレイアに気を遣ったのだけれど、レイアはあっさり了承した。

 意外だな。


「良いのか? ワントップが気に入っていたのかと思ったけれど?」


「んー。気に入ってはいるぜ。けど、ラリットさんたちの戦いぶりを見てよ。ああやって、前衛の人数が多いと交代出来てパーティーとして強いと思ってな」


「ああ! 安定していたよね!」


 十階層のボス魔物は、ラリットさんたちが前衛を務めた。

 大砲役の魔法使いアリーが魔力切れてダウンしていたので、倒すのに時間はかかったが、前衛が多いと安定度が段違いだ。

 ボス魔物は後衛の俺たちに、一切近づく事が出来なかったのだ。


 レイアも何か学び取ったんだな。

 いや、成長していて何よりだ。


 レイアがオーケーなら、決まりだ!


「それじゃあ、セシーリアさん! よろしくお願いします!」


「うふ! よろしくお願いします!」


「ところで何で教団地獄の火に捕まったんですか?」

「お酒よお」

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