じゅんびをととのえよう
(1)はーどをよういしよう
小説を書く際に一番大切なもの、それは間違い無く『書く道具』です。当たり前ですが、まずは文字を残すための道具を用意しなければなりません。
文字を記すことが出来ればなんでも構いませんが、ここは一つパソコンを用意したいところです。
「自分はスマホのフリック入力が得意なので」という人はそれでも構いませんが、やはりパソコンが一番です。これからお話ししていくソフト(最近ではアプリっていうらしい)の面でもですが、本来執筆は何時間と途方もない時間が掛かるものですので、健康の面を考えるとパソコン一択になってしまいます。
タブレットやスマートフォンの場合、どうしても画面に目が近くなり、目だけでなく自律神経にも良くありません。そしてスマートフォンの持ち方次第では、指に負荷が掛かり続け、“指の形が変わる”恐れがあります。『スマホ指』で検索してゾッとした方は、ソッと候補から外しておきましょう。
「昔ながらに紙とペンは?」という方は、全くオススメはしませんが設定や下書きまでならOKです。ただし本稿は必ずパソコンなどの記憶媒体で仕上げてください。今はそれでよくても、いずれ「誰かに読んでもらいたい」と思った時、デジタルデータでなければ賞への応募やネット上への投稿も出来ませんし、趣味の範囲でも誰かに紙束を渡すのは渡された人にとって迷惑になりかねません。
さて、いきなり「パソコンを用意しろ」などと言われて、げんなりされた方もいらっしゃるでしょう。ですがここは、最低限の部分です。
今時パソコンなんて、ちょっと調べれば二万~三万円程度で手に入ります。必要なのは「文字が打てるパソコン」です、安いもので全然いいのです。ノートかデスクトップかは問いません。インターネットに繋げられて、ソフトがインストール出来るものであればなんでもいいのです。
「それでも高いよ~、なんとかならないの千場?」という人は…… あまり言いたくないのですが、とっておきの手段がないわけではありません。参考程度にお聞き下さい。
え~と、パソコンは…… 法律で「棄てるにも」お金がいる上に、面倒な取引があるのです。ですから…… そんなわけで、結構な確率でいらなくなったパソコンを家に寝かせている人がいるんですよね……
ですのでちょっと近しいパソコンに詳しい人に、「余っちゃってるまだ動くパソコンない?」って聞いてみると、案外すんなり貰えちゃったりすることがあります。
小中学生のみなさんは、お家の方に頼んでそういう人を探してもらうのもいいかもしれませんね。十数人に一人はいるような気がします。もちろんそれで貰えるのは、「古くて文字を打つくらいしかできないパソコン」だと思いますが。
※繰り返しますがあくまで参考程度。無いものとしてお考えください。
ご自身で苦労して手に入れられることもモチベーションには繋がります。
この(1)における最大の障害は、おそらくと「キーボード」だと思います。
ここでこれを読まれている時点で、大抵の方はネット関係には大丈夫なんだと思われますが、今の時代スマートフォンの発達で若い人ほどキーボードに馴染みが無いとか。ここばっかりはお金や物で解決出来ない問題ですので、苦しいところですね。
でも大丈夫、触ってみてほんの一週間くらいの苦労です。毎日カチャカチャやってれば勝手に指が覚えてくれますから。何気ないようでまず間違いの無い一生ものの技術ではありますので、小説を動機に覚えてみるのはいかがでしょうか?
物事は楽しみと直結させれば、案外楽に覚えられるものですよ。
(2)そふとをえらぼう
ソフト―― パソコンを用意して貰った(?)わけですが、次はそれに入れる『執筆ソフト』を用意しなければなりません。
(1)で「紙とペン」や「スマホ」をほぼと否定し、パソコンをオススメした理由はここにあります。
アナログである「紙とペン」はもとより「スマホ」と比較しても、執筆のためのソフトは圧倒的にパソコン向けが多く、そしてそのほとんどが無料で手に入るものなのです。
パソコンに標準で入っている「メモ」で書かれているという人もおられますが、出来れば多機能なソフトを一つ、入手したいものです。
「執筆 フリーソフト」など、ネットで思いつく限りのワードを検索にかけ、探してみましょう。
さて―― ここで一つ、これを読んでいる皆さんに残念なお知らせと、謝罪をしなければなりません。
それはこの場所が「なろう」であり、広く一般的に公開できる場所であるだけに、私千場からは具体的なソフト名が出せないということです。
それに人によって執筆ソフトの相性は様々で、これがオススメとは一概に言い切れないところもあります。
申し訳在りませんが実際に扱うソフトに関しては、ご自分で色々と調べ、実際に使い(ダウンロード時、インストール時の悪質なアドウェアなどにご注意)、これだというものを選別してくださいとしか言いようが無いのです。
ただこれだけではあまりに面倒が高いので、ご参考までに選ぶポイントをお知らせしておきます。
・直感的で分かりやすい。
大前提です。設定部分が外国語であったり、改行に妙なキー操作がいる等、イミフな仕様があってはいけません。
・背景色を変えることが出来る。
実に重要です。何時間と作業するとなると、真っ白な背景の中に黒い文字は目に優しくありません。
千場はいつも深い緑に白文字と、目に配慮されてあの色彩にされている『黒板』をもとに背景色と文字色を設定しています。疲労度は雲泥の差です。
・外部ソフトとの連携が可能。
ここはあまり考えなくても大丈夫かもしれません。ただ、昔使っていた執筆ソフトがあとから導入した執筆補助ソフトAT●Kをまったく受け付けなかったので、変更せざるを得なかったことがあります。
ちなみに千場は、「アウトラインプロセッサ」と呼ばれるタイプのソフトを使っています。
本来は小説の執筆用にあるわけではないそうですが、本文を書く画面の左側に階層を持ったフォルダ状のアウトラインが置け、話数や章をその場で管理しやすいために使っています。
言葉では言い表しにくいですが、一度調べていただければその良さに納得いただけると思います。
※一応という形で書きましたが、最悪でも「背景色」については考えて選んでください。あなたの目は一生ものですので。
ソフト選びはなんでもいいようで見過ごされがちですが、一度しっかりと踏んでおくべき行程です。これから毎日使うものですから、しっかり選んでおきましょう。
そして選んだなら、デスクトップにショートカットも作っておきましょう。いつでも一瞬でアクセスできなければいけません。間に余計な面倒を挟んではいけません。
(3)かんきょうをととのえよう
ハードは用意した、ソフトも入れた―― さてここで、パソコンからは離れましょう。
「え?」と思われた方、今は『準備中』だと忘れていませんか?
これから最大の試練にして、最後の準備をしなければなりません。
それは―― 執筆に向かうための環境作りです。
さぁねんがんのぱそこんをてにいれたぞ、という状態でも、それがお家のリビングど真ん中に設置されたらどうでしょう。オカンや兄弟に真後ろからニヤニヤ見つめられて、それでも小説が書ける業の者はそうそういません。
いたとすればその人は、約束された大作家でしょう。
集中して書ける時間帯はいつですか? 孤独が許される時間はどれくらいですか? それも把握しておきましょう。高い集中状態に入るには、ある程度の助走的な集中時間が必要です。
パソコンの前の椅子の座り心地はどうですか? 腰は何時間まで痛くなりませんか?
キーボードは小さ過ぎませんか? 打鍵の音は心地良いですか?
マウスの線は邪魔くさくありませんか? 無線のマウスにした方がよくありませんか?
西日はどうですか? モニターを見辛くしてしまいませんか?
飲み物は手元に置けますか? 冷暖房は――
この(3)は、常に考慮し、これからもことあるごとに考え、ひたすらに改善していきましょう。
(2)でも触れましたが、この『準備』というのは、全体を通して『面倒』を下げることが全ての目的です。
最終的には「ん、書こう」と思った瞬間には着席し、執筆ソフトを起動出来ているくらいが理想です。
やる気が起きなくなる、物事が続かない――
その最大の敵は「楽しくない」ですが、双璧を成す敵は「面倒くさい」です。
(1)~(3)を通し、考え得る限りの最大の力をもって、この「面倒」を下げましょう。
それこそが入門者が第一に行うべき、『準備』です。