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素人があえて伝えるすっごくユルい小説の書き方  作者: 千場 葉
さぁしょうせつをはじめよう
2/21

はじめに


 いらっしゃいませ! 『素人があえて伝えるすっごくユルい小説の書き方』へようこそ!

 いきなりな「ごあいさつ」の内容にもかかわらず、ページをめくってくださってありがとうございます。


 せっかくと本章に入っていただいたのに、「ごあいさつ」の延長のような話で申し訳無いのですが、本項ではまずこの講座(笑)の今後の内容と、方針についてざっくりと触れておきたいと思います。



 私、千場(センジョウ)はこれまで、いわゆる『小説の書き方』という本に何冊と触れてきました。

 また、ネット上で初心者が気軽に学べるようにと基礎を網羅(もうら)された、いくつかの素晴らしいサイトや、この「なろう」内に置かれた作品にも出会ってきました。


 知は力なり(のうれっじいずぱわー)、焼けばカリカリと美味しそうな名前の偉人がおっしゃる通りに思い、小説の初心者であった千場は、まず基礎的な知識を求めたわけでございます。実に日本人的かつ凡人的な発想ですね。


 知識集めに奔走した結果は、たしかなものでした。

 ログラインの立て方やプロットの敷き方、テーマを置くことの意味、その他文章の並べ方や、効果的な表現手法―― 多くの学びが得られ、学びは学ぶほどに奥が深く、楽しいものでもありました。


 しかし―― 効率が悪い。


 おそらくと、これまで上記の千場のように『学び』から入ろうとした人にはわかる話だと思います。


 書店やネットで手に入れられるいわゆる初心者本、そのほとんどが虚しいほどに“はずれ”本。

 特に失礼ながら日本人の()作家の書かれた本や、どこかのスクールティーチャーが書かれたような本は、ただでさえ数少ない『小説の書き方』本の中、その八割九割が読むにも値しない、人を小馬鹿にしたような内容です。


 ※昨今の「なろう発」ブームに乗ろうとしてなのか、私が精力的に本を漁っていたころよりは若干と本の種類が増えたような気がします。でも内容は言わずもがなでした。


 はっきり言わせていただきますと、お金によほど余裕のある方以外は、ネット上の親切な方がまとめられた初心者用サイトで学ばれた方が有益です。

 一般に「小説を書こう」と思われる方は、まだ書かれたことがない方でも“本”という形に一定のこだわりを持たれていると思います。それだけに学びも「一冊の体系的な本を熟読して」というお気持ちが湧くと思われますが、ヤメトキましょう。

 そんなわかりやすいお気持ちを突いてくるのが()()()達のやり方です。答えの無いもの、結果は本人の努力次第なもの、そういった保証の必要の無いものに対し、適当な情報を売りつけることは古来よりの詐術の基本ですので。


 「でも、一割くらいは役に立つ本あるんだよね?」と聞かれれば、あるにはあります。

 不思議とこういった“答えの無いもの、結果は本人の努力次第なもの”に関する書籍は、有益なものが海外産に偏ります。翻訳されたもので数千円する分厚いものを手にされれば、必ず得るものはあるでしょう。

 そう、必ず得るものがあるくらいに、『分厚い』ですから。

 全くと小説を書いたことのない人が、()()()()()部分も、何ページかはあると思います。それを良しとするなら、後のために購入しておくのも有りかもしれません。


 大枚をはたいて数少ない有益な本を読み、ネット上を何時間もサーフィンして「書き方」の基本を蓄積していく。おそらくと独学で学びを得るならば、これがなんとか筋道の通る、高効率な知識の集め方と言えるのではないでしょうか。



 ですがそれもどの道―― 効率が悪い。



 ショーペン・ハウエルさんは言います。


「『知は力なり』だって? そんなの持ってても貧弱な坊やはいるし、持ってなくても筋肉モリモリマッチョマンの変態はいるさ」



 知は力、しかし()()そのもの自体には、なんら力はありません。

 知識は“武器”であるどころか、“武器の素材”でしかないからです。

 バラバラの状態の銃を持ったモヤシっ子よりも、筋肉オンリーな兄貴の方が強い。そのまま使える棒きれ一本を手にしたところで、相手が森のヒグマさんならどうしようもない。そういうことです。

 「なろう」で例えるならば、『……』を『…』どころか、『・・・』と書いちゃう人に、人気も実際の面白さも遠く及ばないと言ったところでしょうか。

 知識とは、あくまで“それだけ”でしかないもの、そういうものだからです。いくら重ねたところで、本来身につけるべき実力とは関係が無いものなのです。



 本講座では、これより「一本の小説を書きあげる」までの簡単な行程を記していきます。

 ですがそれは講座という形式である以上の最低限の筋道であり、あくまで()()です。


 小説を書くことには多くの技法がありますが、そんなものは記しません。


 この講座の方針は―― 『とにかく敷居を下げること』。


 最低限、これさえ抑えれば「面白い小説が書ける」―― かもしれない。

 たったそれだけの可能性を得るに必要な基礎知識以外は、複雑な知識を伝えるつもりはありません。



 “知識”は実際に使い、使い慣れてはじめて“智恵”になります。

 “知識”ではなく、“智恵”こそが“武器”であり、やがて知らず同化して、本来の“力”となっていくものです。


 なにも哲学や、おかしなスピリチュアリズムを語っているのでも、言葉遊びをしているのでもありません。

 自動車の知識を学科で習い、教習所で運転していく内に考えずとも手足が動くようになり、気づけばひどく複雑な、イレギュラーな事態にも反応出来るようになっている。それと全く同じことを言っているだけです。

 自動車という“智恵”が身につけば、これまで全く興味の無かったはずの『車種』や、何が違うのか意味不明だった『パーツ』などの新たな“知識”が頭に入るようになり、そこから派生して『特殊車両』などに乗るようになる人もいます。『エンジニア』や『教官』としての“智恵”を身につけるような人もいるでしょう。


 ですがその元は“自動車の知識”、それも必要最低限の動かし方、それだけです。最初から一台の自動車が作れるまでの知識を持ち、レーサー級の腕前を持って教習所に臨むような人はいません。


 早い話が、「小説を書いてみたい!」という人には、何はともあれ書き始めてもらいたいのです。ハンドル、アクセル、ブレーキだけでも構いません。小説はそうそう事故りませんから。

 最低限の知識だけを持って、楽しく走り回って、それを智恵にすればどんどん新しい知識の吸収が早くなっていきます。それはきっと、『効率の悪い』愚を犯した千場よりも、もっともっと早いもので、その勢いのままに私を周回遅れにしてくれると思います。


 だから早く書いて! と、そのきっかけとなるようにと、これを書いていきます。



 さぁ、オカタイのはここまで!


 次回からは、一本を書き上げるまでの全知識(笑)をお伝えしていきましょう!


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