『§4.しょうせつをかこう』
『準備』にはじまり、全ての行程を辿られたあなたへ――
おつかれさまでした。そして、プロットの完成を心よりめでたく思います。
――ここからはいよいよ、『執筆』という長い長い作業の幕開けです。
順当にここまでを進められた方は、人によってはこれまで書いたことのないほどの文字数をプロットに充てられているかもしれません。ですがここからはプロットではなく、小説。単なる概要ではなく、それをお話として書き換えなければなりません。
多くの場合、その文字数はプロットに対して遙かに膨大なものになるでしょう。
※プロの作品などでは、作り込んだ設定の文字数の方が膨大という場合もあります。が…… よほど複雑な構成の作品でない限りはまず有り得ないことです。完成しない一因にもなりかねませんので、初心者の方にはオススメ出来ません。
人によっては辛く苦しい行程になるかもしれませんが、あとはここさえ乗り切れば“完成”です。
文句無く“完成”です。小説を書いているのですから、『小説』になってしまえば“完成”です。
あと一息―― と言いたいところですが、なっがい一息になります……
小説を書く―― 幼い頃にその作業を思ったみなさんは、そこにどんなイメージを浮かべたでしょうか。
おそらくとかつて誰しもが、この『執筆』の部分のみ―― それのみを思い浮かべていたと思います。私自身もそうでした。
小説に挑戦なさる方はとても多いです。具体的な数字はわかりませんが、きっとご自身で小説を読む方の半数近い―― もしくは半数を超える方が、人生で一度は「書いてみよう」と思い立ち、実行に移されたことがあるのではないでしょうか。それは例え、我に返るまでのほんの数分間の遊びであれ――
そして多くの方が、この『執筆』の部分からスタートされたことでしょう。
今、ここまでをお読みのみなさんからすれば、「なんて無茶な」「無茶だったな」と思えているかもしれません。ですが文字さえ書ければ始められる気楽な物事、スタートはきっと、みんなそんなものです。
ほんの数パーセントの人は、運良くも悪くも完成にまで至り。
その逆側、九十九パーセント近い方々は、途中にて終えられたことだと思います。
――かつてはあなたも、その九十九パーセントだったかもしれません。
ですがここに、全ての『用意』は整いました。
『準備』にて、書く気力を萎えさせるような面倒を下げ。
『妄想』にて、“描きたい物語”を明確に頭の中に持ち。
『ツール』にて、記憶を補佐する様々な道具を揃え。
『プロット』という、最後の一歩までを導く地図が広がっています。
全てご自身の力で整えられたのです、旅の用意も計画も万端です。
ならばあとは歩くのみです! この『§4.執筆』にて、行程を歩みきりましょう!
※大事な余談
『執筆』は、例えの通り“長い旅路”です。ですので私はプロットの段において、初心者の方に短いものをオススメしました。これは気合いや意志の問題ではなく、執筆という旅路における「基礎体力」の問題です。
「体力」が尽きれば、“あなたの物語”もそこで未完となります。未完で得られる学びは、完成で得られる学びには遠く及びません。運悪ければ作品が完成しないだけになく、挫折や自信喪失など、精神的に小説への再起が危ぶまれる事態にもなりかねません。それは活躍中のプロの作家にさえも起こり得る事態です。
いきなりスパルタスロンを走ろうというランナーや、レース・アクロス・アメリカを走ろうとするサイクリストは無謀としか言えません。まずは綺麗に完走できる、自らをコントロール可能なコースから始めましょう。
そして出来れば「賞を取りたい」、「この作品で作家になりたい」、「たくさんの賞賛の言葉や点数が欲しい」。そんな“想い”も、“重い”ので置いてきてください。それを背負い込むのはもっと体力がついてからで充分ですし、何より“あなたの物語”の世界や、その世界の人々にとっては無関係な荷物です。
難しいかもしれませんが、今は焦らず。良質は圧倒的な量の中からしか生まれないということを忘れずに、まずはその一作を。
どうかご自身の「体力」に合わせ、ご無理の無い旅路を――




