表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

8/21

仕事が早く終わったキモオタが職場でアニメを視聴しようとしたときに、背後から同僚に話しかけられるお話。

 この日、ハイネラル平社員の御神(みかみ) 龍彦(たつひこ)は珍しくここ三日間ほど仕事の調子が良く、早めに自分の業務を終わらせる事が出来ていた。


 そのため心にゆとりが出来た彼は、ふと手の動きを止めて思案にふける。


(……今の社会は20年もすれば大半の仕事が機械やAIにとって代わられる、って言われてるけど、ウチの会社は10年先ですら残っているのか怪しいもんだよな〜……)


 そんな場所で必要以上に真面目に働くのも馬鹿らしい、と判断した龍彦は職場でアニメを観る事にした。


 幸いにも辺りに人がいない事を確認した彼はスマホを起動すると、最初の頃から契約している『eアニメセレクト』でまだ視聴していないアニメを検索し始める。


 今回彼が選んだのは『カリキュア』。


 閉鎖空間に閉じ込められた青少年達が、日朝ヒロインに変身したりしながら現実への帰還を目指す物語である。


 龍彦はまだ最新話まで消化出来ていなかったので、続きである4話を観始める。


「このヤンキー、意外と隙があって人間的やんけ」


「ゲームではキッチリ戦っていたんだろうけど、アニメってラーメン回のアイツみたいに多少ギャグチックに敵を退けていくのん?」


「ブヒヒ〜!!ミニマムすぎる娘を見ていると、何か禁忌の門が開きそうなんだな〜!」


 などとニマニマしながら、龍彦は作品を視聴していた。


 そして、主人公達がおっぱい大きそうな女の子のいる場所に向かおう!と場面が動き始めた……そのときである!!





「おう、御神。調子はどうだ?」





 振り返るとそこには、龍彦の先輩にあたる社員:魔淵(まぶち)が立っていた。


 龍彦は慌てながらも、動作を中断させるため電源ボタンを押すと、平静に務めながら魔淵に答える。


「いや〜、ボチボチですかね〜!」


 そうして雑談は進んでいくが、何かがおかしい。


 なんと、電源ボタンを押したにも関わらず、スマホからはカリキュアの音声が流れ続けていたのだ――!!


 龍彦の全身に緊張が走る。


 せめてもの足掻きとして、音量を小さくしようと尻に敷いて雑談に興じるが、緊迫感あるシーンなのか『みずな――‼️』『××君⁉️どうしたの、一体……?』と結構音量が響く始末。



 だが、魔淵は気にする事なくそれに対してノーリアクションのまま雑談を続ける。


 その間にも様々な想いが、龍彦の中を駆け巡る――!!






 ……魔淵の優しさが辛い。オタクはキモい。仕事中にアニメなんか観るな。でも、ウシ娘とか観ている時じゃなかっただけマシ。eアニメを中断するときは戻るボタンを押せ。あの猪突猛進君はそこまで叫ばなくてはいけなかったのか。もしも他の同僚にこの事を聞かれたら『この前カラオケで歌ったコカトリス忍法帖の続編観てたんですよ〜‼️』って適当に嘘つく。



 …………。


 ……………………。

















『……そうして、様々な想念を極限まで圧縮し暴発させた我は、"永遠の王"との盟約のもと、既存の不条理に満ちた世界を否定し、全ての悲しみを拭い去るために、この理想郷『ガリアレーベル』を立ち上げたのだ……!!』


 今、田中(たなか) 裕也(ゆうや)の前には、この閉鎖世界に自分達を閉じ込めた元凶にして神へと変貌した存在――『ゴッド・ドラゴン』と畏怖された男:御神 龍彦が佇んでいた。


 裕也は圧倒的な存在を前にしても、臆する事なく龍彦を見つめながら強く拳を握りしめる――!!


「……お前にも、そんな悲しい出来事があって戦わなきゃいけない理由がある事も分かった……だけど、俺にも現実へと戻らなきゃいけない"約束(りゆう)"があるんだ――!!」


 だから、と裕也は続ける。


「俺はここで出会ったみんなの想いを背負っていく――その中にはお前の願いがあった事も忘れたりしない!!その上で、俺はこの世界の因縁をここで!終わらせてみせる!!」


『……やってみせるが良い、人であり続ける事が出来た者よ……まだ真に現実に希望があると言うのなら!この俺を超えてみせろ――!!』


「……あぁ、やってみせるさ。どんなに不確実で不条理だったとしても、俺達(・・)は必ずあの朝日へと帰るんだ――!!」


 ――これより始まるのは、数多の運命を巻き込んできた創世神話を終わらせ、人が神の理に反旗を翻すための逆襲劇。


 行きつく先は悲劇か、喜劇か。


 今、世界の命運を賭けた一世一代の幕が開く――!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ